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第5話 俺の年齢、お前の年齢

 はじめまして。カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。

 スローな立ち上がりですが、10万字を目指して頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。

 もうやめだ、やめ!

 半年、半年だぞ。費やした時間を返せ、クソ運営!!

 何が、「ゲームバランスの調整を行いました」だあああ!!!

 

 そもそも何で過去形なんだよ。告知してたか? さすがに今回は改悪に過ぎるだろうよ……。

 俺に少しでも影響力があったなら、声を大にして言いたいことが山ほどある。無課金勢を舐めるなあああああ~!!!


 夜明けは、大体くだらない愚痴で迎えることが多い。

 ふぁぁぁあああ、と大きな欠伸が自然と口から漏れ出た。


 そろそろ寝るか‥‥‥。


 スマホを放り投げた俺は、万年床の上で布団にくるまって目を閉じた―――すると脳裏に広がる空想世界が鮮やかに色づく。


 ◇◇◇◇◇


 俺たちは城門がギリギリ見通せる位置―――大通りを交差するように流れる水路に架かる橋の傍に立って辺りの様子を窺っていた。

 

 先の城門に目を向ければ、厳重な警備体制を確認できる。目の前を行き交う人馬のなかに溶け込むようにして、不肖の弟子見習いと言葉を交わした。


「初めて来た王都っすよ!? まずは娼館ってのが定番っす」

「それなら冒険者ギルドだろ」


「娼館っすね」

「あのな~そこは冒険者ギルドだろ。定番中の定番!」


「じゃあ宿屋で」

「もう休憩かよ」


「休憩なんてさせないっす。一戦交えてからの~~~」

「‥‥‥」

 

 意味のない会話でも、黙って立っているよりは周囲に溶け込むことができていた。


「そもそも俺たちは冒険者じゃない」

「こんな所にボーっと突っ立てても進展なんてないっすよ」


「ボーっと立っているのはお前だけだ!」

「むむ‥‥‥師匠もキョロキョロしてるだけじゃないっすか」


「確認だ!」


「あぁあああ~お腹が超減ったしぃ~~~ノドがもの凄く渇いたっすぅー」

 

 不肖の弟子見習いが()()()()()()に駄々をこね始めた。やっぱりこいつはクビにするべきか?

 

 体を器用にくねらせているルールーを無視して、辺りの様子を窺う―――。

 大通りを城門の方向に進む荷馬車には大量の積み荷。おそらくは城内へ搬送されるものだろう。荷物の中に紛れるのも1つの手だが―――あの警備体制だ。全ての荷物は改められると考えた方がいいな。


「師匠って、僕と出会う前は何してたんっすか?」


「出会うって運命の人みたいに言うな。もう10年以上は旅をしてる」


 周囲を観察しつつ、ルールーの唐突な質問に答えてやる。


「―――10年!?」


「サキュバスのおまえが驚く年数じゃないだろう」


「驚いてないっすよ。ただ見た目がボクと同じくらいだから……人間の師匠はまだ子供っすよね……」

 

 そうなのだ。この世界の俺は、引きこもる前―――17歳の頃のスリムな容姿。それにちょっとしてみたかった金髪だった。


「そうだな。お前といっしょで子供だよ」


「‥‥‥‥‥‥」


 俺の言葉の意味は分かるよな、ルールー。外見と中身の齟齬。拾った不肖の弟子見習いルールーはサキュバス―――この世界では上位存在の悪魔である。

 そもそも寿命があるのかどうかも疑わしところなのだ‥‥‥。


「あっ! 師匠、あれ見るっす!」


 目の前を通り過ぎる集団をみてルールーが指を差す。

 こいつ‥‥‥いろいろと誤魔化しやがった。

 

 ルールーは自分に都合の悪い話はスルーする癖がある。

 とかく年齢に関する話題にその傾向が強くみられた。正直なところ真実を知るのが怖かった。やはりルールーの実年齢に触れるのは止めておこう‥‥‥。


 ルールーの人差し指が示す集団を観察した。

 屈強な男たちが木材や土砂を満載した数台の荷車を曳いている。その後ろには長物の道具を手にした男たちが続いた。


「あれだな」

「あれ?」


「ああ、俺たちの目標は城の中だ。あの集団に紛れ込む」

「ど、どうやって?」


「あの集団は城の建設や修繕を行う職人たちだ。俺たちは王都の入口で職人ギルドの掲示板を見ていて声を掛けられた」


 俺は瞬時に都合のいいよう()()()()()した。


「師匠、な、なにを言うてますのん?」

「依頼を完遂するためには城の中に入らなければならない。俺たちは職人に雇われたんだ」


「や、雇われた? でもボクたちの素性は……職人に化けたってあの厳重な城門を通るのは絶対に無理っすよ」


「―――ふんっ。俺たちはどうやって王都に入ったんだ」


「あっ!」


「長い間、他国からの侵略や脅威にさらされてない国ってのは、すべからず内側から腐っていくもんだ。貴族も平民も、どこかの国みたいにみな平和ボケだ。蟻の子一匹通さないような厳重な体勢に見えても内幕は同じ―――俺たちが請負った仕事がその証拠だ」


 今日は情報収集だけのつもりだったが、こっちの動きを察知されているのなら急いだ方がいいだろう。


「親方~!」


 ルールーとの会話を切り上げて、目の前を通り過ぎた先頭付近を歩く屈強な中年男の背中に向かって声を掛けた。

 

 振り返った男が歩みをとめ、俺たちの方へ近づいてきた。


「ああ、おまえらか。約束通り来たんだな。人手不足で困ってたんだ。俺は()()ケスだ。手当をはずむからしっかりと頼んだぞ」


「請負った仕事は完遂する」


 人手不足を補えた職人の親方は嬉しそうに笑った。

 こっちも最低限の言葉を返す。


 そして仕事の段取りについての短いやり取りがあって、親方はルールーを一瞥した後、歩みを止めていた集団の先頭に戻っていった。


「‥‥‥師匠」


「なんだ」


「掲示板見てましたっけ!? むむ!? ああ‥‥‥そういえば見ていたような? 見てなかったような?」


 ルールーの質問はもっともなことだ。でもそこには秘密なんてなにもない。単純な話しだけがある。世界を空想する俺は、いわばこの世界の創造主―――神である。

 なので、空想世界の状況を、『現状を修正』するチートスキルを使って書き換えることは造作もないこと。


 本当は掲示板なんて見ていない。

 今に繋がる過去を改変し現状を、『見ていた結果』に修正しただけだ。そうすることによってこの世界は俺の都合のいいよう何度でも修正―――書き換えることができる。

 

 突然の現状修正に戸惑うルールー。

 だが、それもすぐに真実となり違和感がなくなるはずだ。首を傾げるルールーをその場に残し、俺は職人集団の後に続いた。


 ここで強い眠気に襲われて空想世界が揺らぎ始めた。目の前の景色が色を失い、深い眠りの底へ‥‥‥落ちてゆく。

 読んで頂きありがとうございました。

 平日は最低でも3話以上(毎日が理想)の更新ができるようにと考えています。

 もしよかったらリンゴと蜂ミッツを推してくださいね。ブクマ、評価をよろしくお願いします。


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