表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/44

第37話 机上の知識は死を招く

 はじめまして。カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。

 スローな立ち上がりですが、10万字を目指して頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。

「火の周りから離れるな―――!」

「数が多いっす!」


「もう2日もお風呂に入ってないのよぉ~、汗をかきたくないのよねぇ~」


 フルエラの村を出発した俺たち寄せ集めの5人パーティーは、何もない荒野で2日目の夜を迎えていた。

 焚火で暖を取り交代で見張りをしていたはずなのだが‥‥‥気づけば囲まれていた。


「くっ! す、すまぬ。ついうとうとしてしまった‥‥‥」


 そう言ったのは弓を構えるエラノア。

 確かこいつは、俺の見張り中に居眠りをしてたよな‥‥‥まさかの常習犯だった。


「オオカミは火を怖がるんじゃ‥‥‥!?」


「あぁら~やっぱり世間知らずのお姫様ね」


 直剣を構える色白の少女―――セリーナはこっちを向いて群青の瞳に俺を映す。

 からかうように言ったカラミヤの()()が笑っていた。いつの間にか黒猫の仮面(マスク)を被っている。

 ‥‥‥どこにあったんだ、そんなもん。


 狼の群れは焚火を背にした俺たちを取り囲んでいた。

 ゆっくりと包囲の輪が小さくなる。


 確かにセリーナの言ってることは正しいのだが、それは教科書通りの知識であって冒険には役に立たなどころか、半端な知識は死を招く。


「ルールーは魔法の準備だ。俺がいいと言うまで撃つな」

「ほいさー!」


「‥‥‥えっ!?」


 俺の言葉にいきなりズボンを下ろした弟子見習い。セリーナは目を丸くして驚いていた。

 こんな状況下でルールーの魔法事情を知らなければ奇行に走ったとしか思えないだろう‥‥‥なにかと誤解を生みやすい行為である。このあと説明が必要だ。


 辺りには断続的に聞こえる低い唸り声が響いていた。

 輪の中の数匹が体を低くして今にも襲い掛かってくる様子を見せた。

 と、そこに、


 ―――ヒューーーーーー!


「―――焔っ!」


 エラノアが矢を放ち炎を纏って一匹のオオカミに命中して爆ぜた直後、それが合図だったかのように乱戦に突入した。


 一斉に飛び掛かってくるオオカミの群れ。

 俺たちはそれぞれの得物を手に、目の前の獣を相手にする。


 横目でセリーナを見れば、見事な剣さばきで同時に飛び掛かってくる二匹のオオカミを切り伏せていた。―――やるな、経験を積めば良い冒険者になれる。


 カラミヤの扱う鋼のムチは、蛇のように地を這って同時に複数のオオカミの足を切断していた。

 獰猛なオオカミの群れが、その数を大きく減らした頃だった。突然、セリーナが小さな悲鳴を上げた。


「きゃぁー!」


 動揺するセリーナが剣先を下げて構えを解くと、その隙を見逃さなかった一匹がすかさず襲い掛かかり、それをエラノアの放った矢が貫いて地面に縫い付けた。


「火を怖がらない理由だ」

 俺は肩を震わせているセリーナの傍に寄って説明した。

 セリーナの見つめる先には、俺たちが倒したオオカミたちの()()()()()()()。結構な数が地面に転がっている。

 一見して獣の姿をしているそれは、よく見れば茶色い体毛の間から、人のような肌の色が覗いていた。死骸の中には、明らかに人間の顔をしたものまである。


「人間、なのですか・・・・・・!?」


「元人間と言ったほうがいい―――ワーウルフ(人狼)だ。人や亜人の肉を喰らう。一度でも血の味を覚えた者は獣化が進む。理性は失うが知能は高いままなので厄介な相手だ」


 エラノアが同時に矢を3本つがえ、それぞれが炎を纏って命中した。

 ルールーはズボンを脱いで俺の背中に隠れている。‥‥‥安心してください。パンツは履いてますよ。

 そして、あまり時間が掛からず、最後の一匹をカラミヤの鋼のムチが引き裂いた。


「これでお姫様にもわかってもらえたかしらぁ~もっと実践的が勉強が必要でしょ」

「もう姫ではありません」


 からかうように言ったカラミヤの言葉に、セリーナが動揺を引っ込めて言い返す。


「あら、そう。可哀想な()()()()


 セリーナに対してどうしてカラミヤはあんなに突っかかるのだろうか‥‥‥貴族に対する感情は人それぞれだがそれにしても解せぬ。


 おそらくセリーナと同じ因子を持つ人物は―――元の世界では天野芹那だ。そう考えればコンビニで喧嘩をしていた2人の姿を思い出す。


 ―――同じ因子を持つ者同士。世界が変わっても、関係性は変わらんのじゃなかろうか。


 世界樹の力を宿すエルフの長老フルエラの言葉だった。


 ―――ワァォオオオーーーーーー!


 と、ここで思考の海に深く潜りかけていた俺の耳に、怒りを湛えたような冷たい遠吠えが聞こえた。


「―――来るぞ! ルールーは合図を待て」


 最悪な予感はいつだって当たる。だからルールーの魔法を温存して正解だった。


 遠吠えのした方向にククリナイフを構えた俺。背中にルールーがしがみつく。

 セリーナとカラミヤが自然と体を寄せ、エラノアが少し離れて矢をつがえた。


 そして目の前に現れた。ワーウルフ(人狼)を作り出した親玉が―――。

 読んで頂きありがとうございました。

 平日は最低でも3話以上(毎日が理想)の更新ができるようにと考えています。

 もしよかったらリンゴと蜂ミッツを推してくださいね。ブクマ、評価をよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ