幕間
はじめまして。カレー大好き『リンゴと蜂ミッツ』と申します。いつも読んでくださっている方は、大変ありがとうございます。
スローな立ち上がりですが、10万字を目指して頑張ります。モチベーション維持のために感想を頂けると大変嬉しいです。
深い緑の森に囲まれた小さな集落の最奥。
辺りでは一番立派な造りの家の中、枯れ木のような体をした老婆と小さな少女が話をしている。
「ほれ、リンゴをやろう」
「おばあちゃん、ありがとう。わぁ~真っ赤だぁ~」
ベッドに半身を起して座っている老婆は、深い皺のあいだからのぞく細い目に慈愛の光を湛えて孫娘を見ていた。2人の耳は大きく横に突き出していて、先端が尖っている。亜人の特徴だ。
「フルエラや。おまえにやったリンゴは何個に見える?」
「1つだよ、おばあちゃん。目がみえなくなってしまったの?」
「質問をかえようかね。リンゴはこの村にいくつあると思うかい」
「たくさんあると思うけど‥‥‥」
「そのとおりだよ。たった1つのものなんてこの世にはないのさ」
老婆の言葉に孫娘は首を傾げた。聡い子であった。
「ちがうよ。おばあちゃんは1人しかいないよ。私も1人、村のみんなも1人しかいないよ!」
訳が分からない老婆の言葉に、なんだか怖くなった孫娘は強く言い返した。
「本当にそうかい? リンゴはたくさんあるんだろ? じゃあ、このオババが1人しかいっていうのはおかしなことだとは思わないのかい」
「リンゴとエルフはちがうもん!」
「違わないさ。この世界だってそうなんだよ」
「この世界‥‥‥!? おばあちゃんがへんになったぁ」
「はははは。リンゴだけじゃないんだよ。そこにあるってことは、ほかにもあるってことなんだ。今日はフルエラにリンゴの木の話を教えてやろうかね」
「あたらしいお話!? やったぁ~、みんなも呼んできていい?」
「そうさね~これは秘密のお話だから、困ったねー」
老婆は日頃から色々な話をして孫娘を喜ばせていた。口承によって守られてきた『世界樹』の話は、まだ孫娘にはいささか早すぎるようだ。
読んで頂きありがとうございました。
平日は最低でも3話以上(毎日が理想)の更新ができるようにと考えています。
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