第八話 賭けの街
「はい、動かない」
俺たちはみんなの元まで帰ったあと、傷の手当をしてもらっていた。
「イテテ、もうちょっと優しくしてくれよ」
「十分優しいわよ。まったく、輪はともかく油断して背中に傷を負うとか、前から油断しないって言ってたでしょ」
アルンにそう言われ、ルーナは何も言い返せそうになかった。
「ま、まぁ敵は倒せたし、OKでしょ」
「そ、そうだよな輪!そうだそうだ、敵は倒したんだから万事OKだ!」
薬や包帯を巻いてもらい、それらを収納する。
「何がOKなんだか、そんなことよりも、あなた達戦ってる時に何かあった?なんか妙に仲良くなってない?」
「そりゃ死線を一緒にくぐりぬけ、同じ場所に怪我をしたもの同士なんだからな!な、輪?」
「うん」
アルンが不思議そうな顔をしているところに、パールとターナが俺たちが釣りをしていた場所から魚を持って帰ってきたので、それらとパール達が取った鳥の肉を焼いていき晩御飯にすることにした。
「この鳥、脂が乗ってて美味しー!」
「なるべく身が多そうなやつを狩ったからね」
「魚も美味しいね。リナ、そこの魚取って」
「まだ食べるのラノ?太っちゃうよ?」
「問題ないさ、太ったら痩せればいいんだから」
そんな話を聞きながら、俺は黙々と手に取ったものを食べていった。
晩御飯を食べ終わり、寝ることにした俺たちはそれぞれ寝袋を用意し、すぐに寝てしまった。
(寝れないな)
寝れそうにないアルンは寝袋から出て、顔を洗いに川に行くと、そこにはルーナが川に足をつけて星空を見ていた。
「ルーナ」
「アルン、お前も寝れないのか」
アルンも顔を洗ったあとルーナと同じように川に足をつけ、星空を見る。
「綺麗だな」
「うん」
そのまましばらく2人で何も言わずに星空を見ていると森の方からガサガサという音がした。
「なんだ、お前も寝れないのか。パール」
「あんた達もなのね」
パールもふたりと同じようにして、星空を見上げる。
「もう少しね」
「あぁ、もう少しで私たちの妹に会えるんだ」
「仲良くなれるかな」
アルンはそんな心配をし、ルーナたちの方を向いた。
「なれるさ、私たちの妹なんだからな」
「うん、そうだね」
そして、アルンはひとつの疑問をルーナに問いかけた。
「ねぇ、ルーナは輪のことが好きなの?」
そんな問いにルーナは即答した。
「好きに決まってるだろ、もちろん仲間としてだぞ。恋の相手はまだまだ決めらんねーよ」
「そう...」
アルンはその言葉に少し残念そうな顔をし、川につけていた足をバシャバシャと動かした。
「お前はどうなんだよ、アルン」
ルーナがアルンの方を向き、そう問う。
「私はよくわからない、まだそんなに話したことないし....パールは?」
「私は好きっていうか、守りたい存在ね。輪は弱いし、頭もあまり良くないけど、それが逆に守りたいって気持ちにさせてるのかもしれない」
「そうか、ならこれからも輪と一緒に旅を続けないとな」
それからも色々なことを3人で話し、しばらくするとルーナがあくびをした。
「話しすぎちゃったわね、そろそろ寝ましょうか。」
「久しぶりに3人で寝ないか?私の布団で」
「いいよ、いつぶりだろうね。3人で寝るのは」
「家出して、里に住み着いてからしばらくは一緒に寝てたよな。怖くて怖くて、いつ追っ手が来るかわかんなかったからな。」
右にパール、左にアルン、真ん中にルーナが並び、一緒にまた、星空を見る。
「それじゃ、おやすみ」
「「おやすみ...」」
「起きてくださーい!」
朝になり、俺たちはそれぞれの寝袋を片付けている間、既に片付けを終えたターナはいつもの3人を起こしていた。
1人は布団の下の方に横になり、1人は枕とは正反対の方向に寝ており、1人は完全に布団から離れた場所で寝ていた。
「もう少しだけ.....」
「まだ朝じゃない....」
「寝たい....」
いつもの言葉を聞き、ターナは呆れた顔をし、ある言葉を放った。
「あなた達が今起きて、今日中に街に着けば、夜には暖かいベッドでゆっくり寝られるのですがねー」
そんなことをターナが言った途端、3人は一斉に立ち上がり、走って川まで顔を洗いに行き、踊りながら帰ってきた。
「さぁ、行こうぜ!」
「街が私たちを呼んでいる。」
「あなた達、早く行くわよ」
いつの間にか布団も片付けられており、俺たちが待たしてる側になっていた。
急いで準備を終え、街へと出発する。
道中、たくさんの世間話をみんなはしていたが、俺は何も言わずにただ聞いているだけだった。
しばらく歩くと、次の街が見え、みんなで走っていった。
「ここが、賭けの街...」
「ハルネの本によると、その名の通り、この街は賭け事が沢山行われているようです。そして、この街の地下にたくさんの魔力が集まった部屋があるそうです。ん?注意、この街は盗人も沢山いるので気をつけてね、ですって」
ターナがそう言うと、ルーナが懐からお金の入った袋を出した。
「大丈夫だって、ちゃんと金はこの袋の中に入ってる....ぜ?あれ、なんか軽いんだが....はっ!?」
ルーナが持っている袋を見ると、袋の下の方が破れており、お金は1枚もなかった。
「あぁ.....あぁ....あああああああああ!!」
全員口をポカンと開け、心の中でルーナが叫んだことと同じことを叫んだ。
「どうするのよ!!このままじゃあ何も出来ないじゃない!!金がー!」
今回ばかりはパールも落ち着きを取り戻せない様子でルーナに向かって叫んでいた。
他のみんなも、ラノとリナでさえ今回ばかりはまずいと思っているようで、真顔でブツブツと話していた。
そんな俺らを通行人は関わらないようにそそくさと歩いていった。
「ちょっとお待ち、みんな!」
そんな中、1人だけ落ち着いた口調でみんなに話しかける。
「アルン?」
アルンはみんなの顔を一通り見たあとあることを言い出した。
「ここはどんな街?そう、ここは賭けの街!お金が無いなら賭けでお金を稼げばいいのよ!」
そんなアルンをルーナは呆れた顔でこう言い返した。
「あのなアルン、私たちは今、完全な1文無しなんだよ。賭け事をするにもまず、お金が必要なんだぜ」
ルーナの言葉にアルンは自慢げな顔をしながら、
「大丈夫!賭けるものならあるわ!さぁ、まずはあの店に行くわよ」
アルンは軽い足取りで近くにある店に入っていった。
俺たちは不思議そうな顔をしながらそんなにアルンの後をついて行った。




