第七十一話 紡がれし大地
「あっははははは!!どう!!どう!!」
オーバーアイとオーバードライブ、そのふたつを発動してもなお、俺はシーパに押されていた。
「ぐっ!」
身体中は傷だらけ、対してシーパは傷一つない。
「もうおしまいかしらね、そろそろ殺すわ」
!!まずい、またあれをやられたら、この船が完全に壊れる!
どぼん!
「自ら海に落ちるなんて、何か考えがあるのかしら」
「おい、ノアまだか!?そろそろもたんぞ!」
マーリンは操縦室にいる間、俺とシーパの戦闘をずっと見ていた。
(輪、何をするつもりだ)
「よし、これでなんとか船は動けるようになった。」
ノアは全ての箇所を確認し、操縦室へ走った。
(この船の名前の由来、それは、君との約束を果たすためだ!ホイ!)
「......?」
なぜかノアはある者の名前を考えた途端、頭がぐらついた。
(あれ?ホイ?ホイって....誰だっけ?)
「....いや、ホイは僕の親友じゃないか。何忘れてるんだ!ちゃんと覚えてる、あの日のことも..ちゃんと」
「ノアよ......貴様はいつか来る大天災に備え、船を作っておくんだ。」
(だ、誰だ?僕にそんなことを言うのは誰だ?)
海に潜ったはいいが、ここからどうするかをまったく考えていなかった。
どうしよう。
「!!」
すると、シーパが天災、ウェーブを発動したのだろう。
周りの海水が竜巻となって襲いかかる。
「がばっ!ごほっ!」
まずい!水を大量に飲んでしまった!!早く上に上がらないと!
しかし、竜巻が激しく、上に上がれない。
どうすれば......
俺はしばらく考えると、
そうだ!あれを使えば!
ひとつの技を出すことを決める。
天災には天災をぶつける、それで威力は相殺されるはずだ。
剣を上空へ向ける。
「......メテオ!!!」
「そろそろ死んだかしら」
シーパは空に浮いたままウェーブを発動していた。
「それにしても、やっぱりこの技は少し疲れるわね。」
すると、突然上空の雲が裂ける。
「!!」
そこには、信じられない光景があった。
「まじ?......隕石......」
空から隕石が降ってきたのである。
「くっ!!きゃ、きゃあああああああ!!」
隕石がモロに当たり、シーパは海中の底まで沈んでいった。
「ぷはっ!」
シーパのウェーブが消え、急いで海面へ上がると、そこには雲が割れた後があり、シーパの姿はなかった。
「か......勝ったぁ......」
俺は安堵し、力が抜けると、海の中に溺れてしまった。
このまま死んじゃうかもな、でももう体が動かないや
俺の体はシーパによってボロボロに傷つけられ、1ミリも動けなかった。
このまま沈んでいくのを待っていると、
「おーい、輪ー!」
突然声がし、その方向を見ると、
「まじかよ......」
なんと、約束の船が海の中に潜っていた。
その中でマーリンが声を上げ、ノアが操縦していた。
潜水艦かよ......
「ぴゅー、ぴゅー、ぴゅー」
「起きろ輪ー!死んじゃダメだー!もうすぐ島に着くんだぞー!」
「はっ!ここマダガスカル!!」
目を覚ますと、そこは海上のようで、マーリンが蘇生術をしていたようだった。
「さんきゅー、マーリン。あれからどうなったの?」
マーリンに話を聞くと、あの後、俺を助けてから、3時間経ったらしい。
「シーパは、どうなったの?」
「あの女なら海中の底まで沈んだよ、もちろん助けなかったがな!」
それを聞くと、俺は少し心配したが、
「それで、あの、船が海中を潜ってたような気が」
それについては、ノアが説明してくれた。
「この船には潜水機能がついていてね、今はまだ僕しか操縦できないけど、そのうち、誰でも操縦できるようにするよ。まぁ、一歩間違えば、沈んじゃうとこだったけどね。」
「なっ、そんな危険を犯してまで、俺の事を助けてくれたなんて」
するとノアはニコッと微笑むと、
「約束だからね」
「「?」」
言ってる意味が分からなかったが、気にせず周りを見ると、
「あ、あれが島じゃない?」
それを聞いたマーリンが身を乗り出しながら、
「おぉ!あれが我が新たなみちしるべ!!」
マーリンが身を乗り出しているところを、俺は服をつかみながら落ちないようにし、ノアと一緒に島を見た。
「今度は、ちゃんと無事に着いたよ。」
「それじゃ、ここでお別れだね」
ノアとその他の乗組員が俺とマーリンに別れの挨拶をし、俺たちはその場から歩いた。
「じゃあねーー!!また会おうねー!」
「さらばだ!我はこの出会いを永遠に忘れないぞ!」
しばらく街を歩いていると、突然マーリンが立ち止まった。
「どうしたのマーリン」
「輪、今までありがとうな」
いきなり何言ってんだこいつ
「我は時空の番人マーリン、今まで共に旅をしたお前ならわかると思うが、時空の番人はそう易々と地上を歩き回れなくてな」
いきなり何言ってんだこいつ
「今回の旅はなかなか楽しかったぞ、しかし、我は感じる。貴様とはまたいつか会うだろう!」
いきなり何言ってんだこいつ
「どしたのいきなり?早くご飯食べに行こうぜ」
正面を向き直し、再び歩き始める。
「ここでお別れだ、輪」
「いきなり何言ってんだこいつ......」
俺は立ち止まり、ため息を漏らすと、マーリンの方を向く。
しかし、そこにマーリンはいなかった。
「マーリン?」
どこ行ったんだあいつ
周りを見るが、どこにもマーリンの姿はいなかった。
「あいつ、もしかしてほんとに」
しばらく俺はそこに立ちつくしたままだった。
「時空の番人、マーリンか......」




