第六十五話 繋がれたもの
コア・シティの食べ物を巡りながら、コア・シティを散策した。
「前来た時も結構歩いたけど、全部は見て回れなかったなぁ。」
歩いていると、街の片隅にある古本屋が目に付いた。
「......」
俺は何故かそこが気になり、2人に何も言わずに中に入っていった。
そこは本屋というにはあまりにも廃れていた。
至る所にホコリがあり、店全体が薄汚れていた。
カウンターには人がおらず、営業すらしていないのではないかと思った。
「なんでこんな店がよりにもよってコア・シティに......」
店にある本を見ていると、歴史に関する本があった。
その中にひとつ、異様に気になる本があった。
タイトルは、「神代」
表紙には天の次元と地の次元、そして裏の世界の景色が混じったような絵があった。
ページをめくる。
「この世界とこの星はかつて、アダムとイブが生み出した。その最初の時代が神代、今は別れし全ての次元が別れる前の時代。そこでは人がおり、神がおり、妖がいた......」
次のページをめくろうと、紙を指でつまむと、突然、本はボロボロになり、そのまま文字通り崩れてしまった。
「?古い本だったから?それとも何かの魔法がつけられていた?」
なぜ本が朽ち落ちたのかが疑問になったが、ふと上を向く。
俺は目を見開く。
そこには、絵があった。
店の中は電気も点いておらず、暗いはずなのに、何故か天井に描いてある絵ははっきりと見えた。
絵には、星が描いてあった。
「周りは、宇宙?」
星の周りには、月らしきものや太陽らしきもの、そして他の星があった。
その中に奇妙なものがあった。
「......人?」
そこには小さく描かれた人らしきものが二人ほどいた。
その2人は、地球を見ながら、手を繋いでいた。
「......」
「どこに行っちゃったの輪ー!」
ノリスとネオスが来た道を走りながら輪を探している。
「別に大丈夫でしょ〜、どうせユグドラシルにいつか来るって。」
ノリスと違い、ネオスは余裕そうにし、鏡を見ながら化粧をしていた。
すると、古びた本屋から輪がでてきた。
「あ、輪!」
「ほろびす!!!」
ノリスが輪の前で止まり、それに気づかなかったネオスがノリスと思いっきりぶつかる。
「やーん化粧が崩れちゃったー!」
「なにしてたのさ!とっとと天の次元に行くよ!」
「はいはい」
輪は何か考え事をしていたようだったが、ノリス達は気にしなかった。
夕日が見える頃になった。
「さあ、天の次元に行くよ!」
「おっけーおっけー!」
コア・シティの中央、ユグドラシルの前に立ち、次元を越えようとすると、
「ちょーと、待ったー!!」
突然、どこからか声がし、当たりを見渡す。
「お?」
「か?」
「ま?」
すると、何も無い空間から男が現れた。
その男は薄い灰色の髪の毛をし、右目に眼帯を、左腕には包帯を巻いていた。
「我こそは時空の番人マーリン、貴様ら、時空を超えようとしているな!!」
俺たちを指さし、マーリンという人物は決めポーズをしていた。
「えと、時空を超えちゃまずいの?言っとくけど、俺は二回ぐらい時空越えてんだけど。」
右腕を後ろに回し、バレないように少し魔力を込め、警戒する。
「いや別に、この言い回しがかっこいいから言っただけだ。」
「なめてんのか!」
俺たちはそいつをスルーし、時空を超えようとすると、
「ちょっと待った、これは運命だ諸君、我もついて行こう!!」
「えーいいよ別に、人に会うだけだから。」
「いいや!我はついて行くぞ!絶対について行くからな!」
時空を超えようとした瞬間、マーリンが俺に掴まり、一緒に時空を超えた。
「んー、重いよォノリスー!」
「あ、ごめんごめん、いきなりだったから......」
起き上がると、そこは天の次元のようだった。
「......」
エミナ......
俺はしばらくエミナのことを思い出していると、ノリスが早速七つの大罪がどこにいるのか調べた。
「えーと、この本によると天の次元にいる七つの大罪は強欲と嫉妬らしい、強欲と嫉妬はここから北に進むんだって。」
北に向けて、歩き出そうとすると、遠くから気配を感じた。
「これって、もしかして!」
「え、嘘!本当に!」
気配のする方向を見ると、
「天使だ......」
そこには天使がたくさんおり、武装をしていた。
俺は剣に手を添え、警戒をしていると、一人の天使が降りてきた。
そいつは、
「ウリエル......」
「やぁ、初めまして、そこの人は久しぶりだね。まずは僕たちの話を聞いて欲しい。」
それを見て、俺は剣から手を離した。
「まずは、そこの久しぶりの人、この前は済まない、実は私たちは三年前から、誰かに操られていたんだ。」
操られていた?
「いきなりどういうこと?」
「ある日、天の次元に男が現れた。その男は僕たちに出会うと、催眠術をかけ、僕たちに地の次元を攻め込むように洗脳したんだ。そして、その洗脳がついこの間、やっと解けたんだ。」
つまり、その男がいなければ、エミナも死なずに済んだっていうことか?
「その男は、誰なんだ?」
「それはわからない、見た目は魔獣に似てるかと思ったら、人のような形でもある。髪が長くて黒髪で、肌はどす黒く、目がオッドアイだった。」
目がオッドアイで魔獣に似ているかと思ったら人のようにも感じる......
「それで、君たちは今回、どんな用件できたんだ?」
ウリエルが話を戻し、ノリスが話した。
「この次元にいる七つの大罪に会いたいんだ。」
そう言うと、ノリスは驚いた表情に変わり、少し悩むと、顔を戻した。
「わかった、案内するよ。」
ウリエルに案内された場所に行く途中、俺はノリスとネオスに三年前何があったのか聞かれた。
俺は全てを話した。
すると、ノリスとネオスは泣きながら、
「ぴええええんんん!その人に......会えるといいねぇぇぇ......」
「私達も何とか探すからね......」
しばらく歩くと、ひとつの家が見えた。
「あそこの家が強欲と嫉妬が住んでる場所だよ。」
野原が広がる大地にキョトンとした大きくもなく小さくもない生活感のある家。
......え?あれが?もっとこう洞窟だとか、危険な場所かと思ったんだけど。
「ありがとうウリエル、じゃあね。」
「ご武運を......」
そして、ウリエル達は戻って行った。
「まさかまさかの展開だけど、行こうか。」
「ふっ、我がいるから大丈夫だ!我には封じられし右手と特別製の目玉があるのだから。」
「つまりただの厨二病でしょ?きしょ」
「ちゃう!」
ノリスがドアを叩く。
「はーい。」
返事が聞こえ、ドアが開く。
「んー?誰だあんたらはー?」
そこには長身の女性とちっちゃい女の子がいた。
「あ、えと、あなたたち、七つの大罪?」
「そうだけど?」
長身の女性、強欲と、小さな女の子、嫉妬はお互いに抱き合いながら、俺たちの前に立った。
「あー、確か死の世界に行きたいって言ってる人?怠惰から話は聞いてるよ。」
「じゃあ!」
「私たちと一日買い物を付き合ってくれたら、次の大罪に会ってもいいよ。」
「「へ?」」
ということで、俺たちはこの二人の買い物に付き合うことになった。
「ほらほら、次に行くよ!」
「な、なんで俺たちが荷物を......」
「男が女の荷物を持つのは当たり前だろ、これは神代の時代から決まってんだよ。」
それにしても
「あの二人、仲がいいなぁ。」
買い物に出かけてから、強欲と嫉妬はお互いに手をつなぎながら、歩いていた。
「......ねえ、ノリス、私達も手つなごうか。」
「え?なんで?」
「いいからいいから、幼なじみなんだから。」
それを見た嫉妬と強欲は何故かニコッとした。
「よし、ネオスにノリス、この店でお前たちが一番気に入るやつを買ってやるよ。」
「強欲、私には?私にはないの?嫉妬しちゃうよ?」
嫉妬が強欲に自分もとねだる。
「よしよし、お前も気に入るやつを選びな、買ってやるよ。」
ネオスとノリスは店の中を歩き回ると、ひとつの商品の前で立ち止まった。
「これは?」
「おお、いいものに目をつけたな、これは運命の首飾り、この割れた星のカケラ同士を持っていた奴らはまたいつかどこかで出会い、これを手に入れると言われている。」
「これにしようよノリス!」
「うん、そうだね。」
片割れの首飾りを一組強欲に買ってもらうと、嫉妬が横から現れた。
「ねぇ輪、私もあなたに何か買ってあげる。」
「え?俺も?」
「うん。」
店の中を回り、欲しいものを探すと、
「あ」
俺はある商品の前で立ち止まる。
それは、木彫りの翼だった。
「これにするよ。」
「ほんと?これでいいの?」
嫉妬は何故か何度も聞き、俺は再度これでいいと言い、店主に会計してもらう。
が、
「兄ちゃん、これはうちの商品じゃねーよ。」
「え?でもここにあったんだけど。」
「でもうちのもんじゃねーから、タダでやるよ。」
思わぬ収穫にラッキーと思うと、俺は嫉妬の方を向いた。
「これ、あげるよ、俺はいらないから。」
嫉妬は驚いた様子で、
「ありがとう!」
と笑顔になった。
それを見た強欲は嫉妬に抱きつき、
「私の嫉妬に手を出すんじゃねえぞ?嫉妬もそんな笑顔になったら、強欲なのに私、嫉妬しちゃうよ。」
「ごめんね強欲、私は強欲のものだよ。」
全ての買い物が終わり、俺たちは次の大罪に会うことを許された。
「またね、みんな。」
「元気でな。」
嫉妬と強欲に別れを告げ、俺たちはそのまま裏の世界へと移動した。




