第六十四話 傘の原血
「ふむふむ、なるほどなるほど。」
傘を差し、太陽の光を遮りながらその女性は街の中を歩いていた。
「やっぱりお散歩はいいねぇ、心が穏やかにな」
「ケツジャーンプ!!」
「ぎゃははははいいぞいいぞー!おっ〇い飲みたいんでちゅママーー!!」
「あれ今回量少ないんじゃない歳ー!?」
女性がギルドの前を歩くと、ギルドから変態共が出てきました。
「......」
女性はそんな変態さんを軽蔑の眼差しで見ると、その場から離れようとしました。
「おいおいそこのねーちゃん一緒に飲まねーか!今ならタダだぞタダ!」
(話しかけられたー!!)
「いや、結構よ。」
「なによいいじゃない女の子同士仲良くしましょうよー!!」
ギルドから出てきた女に手を引かれ、女性はギルドの中にいやいや入っていった。
「わー......」
中は地獄だった。
受付の人まで宴に参加しており、辺りには酒や食べ物が錯乱していた。
「あれー?その子どうしたのー?」
ギルドに入った途端、別の女性に話しかけられる。
「店の前にいたのよー!一緒に飲もうと思って!」
「いいねいいねー!一緒に飲もう飲もう!ん?どっかで見たことあるなぁ。」
連れられた女性は話しかけられた女性を見ると、
「え......ネオス?」
「はいはいはい私がネオスですよどすこいどすこいお相撲さんいえーい!!」
ネオスは酔っ払っており、自身には気づいてない様子だった。
「ネオス!私だよ私!ノリスだよ!」
「えー、ノリスー!あー、いたいた、ちっさい頃よく遊んでたよねー!んで、そのノリスがどうしたの?」
「だーかーら、それが私だって!同じ原魔六血家の一人、傘の原血の、ノリスだよ!」
「......あーー!!ノリスだーー!!」
やがて、全員がギルドから出て、帰宅すると、ノリスは俺に自己紹介をした。
「初めまして、私はノリス、ネオスとは幼なじみで原魔六血家の一家、傘の原血。」
ダイヤモンドに似た髪をした女性、ノリスは俺の目を真っ直ぐ見ながら自己紹介をした。
「俺は輪、よろしくノリス。」
俺とノリスは握手を交わすと、まだ酔っ払っているネオスを椅子に座らせた。
「輪さんは酔っ払ってないのね。」
「酒に強くてね。ネオスは見ての通りこんなだけど。」
「そんにゃー、私だってお酒には強いんだぞー!今だって酔っ払ってないしー!」
そのうち、ネオスは寝てしまった。
「ネオスがこんなに酒に弱かったなんて、知らなかったわ。」
「ネオスとは幼なじみなんだね。」
「うん、小さい頃からよく遊んでて、一緒に魔法の練習もしてたんだ。」
「ふーん、それでノリスはなんでこの街に?」
「七つの大罪に、会いたいんだ。」
「七つの大罪?」
聞いたことないな
ノリスに七つの大罪のことを聞くと、
「七つの大罪はその名の通り七人がそれぞれ大罪を持っているの。そして、この世界で最強の戦士らしいわ。」
「ふーん、そんで、なんでノリスは七つの大罪に会いたいんだ?」
「それは......」
ノリスは話しずらい様子なので、質問を取り消した。
「それじゃあ、三人で七つの大罪を探しに行こうよ!!」
いつから目が覚めたのか、ネオスが突然そんなことを言い出した。
「いいの?ネオス、君たちを危険な目に合わせるかもしれない。」
「いいよいいよ!ね!輪くんも大丈夫だよね?」
「うん、俺も大丈夫だよ、なんとかなるでしょ。」
そして、七つの大罪を探すことになり、俺たちは街を出た。
「そんで、まずはどの大罪に会うの?」
「まずは、怠惰の罪に会おう。怠惰はこの街から北に進んだ先にいるの。」
怠惰は何年もの間、そこに居座り、動こうとしないのだそう。
街を出て北に進むと、何匹かの猛獣に襲われる。
3人でそれらを撃退する中、俺は2人の動きを見ていた。
この2人、3年前の時点なら確実にルーナ達より強い。一体どんな修行を......
そんなことを思っていると、怠惰が住む洞窟に着き、俺たちは洞窟の中を進んだ。
「うわあ、汚ったないなー、空気がよどんでる。」
中はネオスが言うようにとても汚く、とても人が住んでいるとは思えないほどだった。
そして、
「人の家を汚いなんて、失礼なやつだなぁ。」
突然、気配を感じ、その方向を見ると、
ダルそうな体勢で俺たちの足元を見る男がいた。
「あ、あんたは怠惰の罪か。」
「はあ。」
?
俺たちが返事を待っていると、
「はあ、そうだと言ってるんだ。」
「ああ、そう。」
俺はノリスに目配せをすると、
「あの、死の世界を知ってる?」
「......知ってる......」
怠惰がそう言うと、ノリスはハッとし、
「じゃあ、そこに行く方法を教えて!」
「......いいぞ......」
ノリスは喜んだ顔になり、方法を聞く。
「......それは、貴様らが残りの大罪と出会った後に教えるとしよう。」
「......それで、残りはどこに......」
「......コア・シティの方向に一人、天の次元に二人、裏の世界に三人だ......」
怠惰がそう言うと、俺たちは洞窟から外に吹き飛ばされた。
「「「わあああああ!!」」」
俺たちはしばらく洞窟の前に立つと、
「それじゃ、とりあえずコア・シティに行こうか。」
「うん。」
すると、ノリスが俺たちの近くに寄り、傘を差し、くるくると回した。
「?」
すると、周りの景色が変わり、
「......!ここって、コア・シティ!?」
なんと、先程までいた森から、一瞬にしてコア・シティまで移動していた。
「これは私の魔法、いつもは歩いて街を巡ってるけど、今回は特別。」
「久しぶりに体験したなぁ。」
どうやら、ネオスはノリスのワープ移動を知ってたらしい。
「よし、それじゃまずは天の次元に」
「よーし、まずはここの美味しいものを食べよう!」




