第六十一話 玉の原魔
次の街につき、まずはギルドに入った。
中はとても荒れていた様子で、依頼が貼ってある掲示板もボロボロだった。
「なぁおい、見ねー顔だな、おまえ、名前はなんだ?」
俺が依頼を探していると、突然後ろから手を回され、名前を聞かれた。
「えと、君、黒薔薇の剣士って知ってる?」
「なっ!?く、黒薔薇の剣士だって?」
「黒薔薇の剣士だと!?」
「えっ、この街にいるの!?」
黒薔薇の剣士という言葉を出した途端、ギルド内の空気が変わり、他の人達は一斉にギルドから出ていった。
「ひ、ひいっ!」
俺に話しかけてきた男も逃げようとしたので、肩を掴んで逃げないようにした。
「ちょちょちょ、黒薔薇の剣士はなんなのか聞いてるんだ、答えてよ!」
その男は酷く脅えた様子で答えた。
「く、黒薔薇の剣士は殺し屋だ、でも、殺しの依頼は受けない、自分で殺したいと思ったやつだけ殺すイカれたやろーだ!」
男は俺の手を振り払い、ギルドから逃げようとした。
すると、先に逃げた人達が何故かギルドの出入口の前に立っていた。
なんだ?
「ひ、ひぃっ!」
出入口からシーパが入ってきた。
「く、黒薔薇の剣士だー!!」
「な、なんでこんなとこに!?」
シーパは俺の元に歩いていき、俺の目の前に立った。
「4日ぶりね、輪くん、いや、無幻の剣士くん。」
「無幻の剣士?」
「確か黒薔薇の剣士の襲撃を何度も防いだっていう。」
「あ、あんな子供が!?」
俺とシーパは近くの席に座り、食べ物と飲み物を注文した。
まず飲み物が出てきて、シーパは美味しそうに飲んだ。
「あー、おいしー!!ほらほら、輪くんも飲んでよ!一気、一気!」
シーパに押され、俺はビールを一気飲みした。
「わー、すごーい!」
次に料理が出てきて、シーパはたくさん食べた。
「それで、今日はなんの用なんだ?」
「そうそう、しばらく私とパーティを組んでくれないかな?」
「嫌だ。」
俺は即答し、シーパは驚いた顔をした。
「ええええええ!?なんでなんで!?一緒にパーティ組もうよー!」
「断る、いつ殺しにくるか分かったもんじゃない。」
「じゃ、じゃぁ今日だけ!今日だけ一日付き合って!」
シーパの異様な誘いに俺は根負けし、一日だけ付き合うことにした。
「それじゃ、出発ー!」
シーパが俺の手を引き、街の中を歩いた。
一日を一緒に過ごし、俺は少しだけ、こんな状況を楽しんでいた。
すると道端で、泣いている子を見つけた。
「あっ......」
「助けるの?」
俺はシーパを無視し、泣いている男の子に話しかけた。
「どうしたの?」
「お買い物っ頼まれたんだけどっ紙を無くしちゃったー!」
男の子は更に泣き、地面に涙が落ちる。
「そう、君、今日の夜ご飯は何?」
「......カレーライス......」
それを聞くと、俺はニコッと笑い、
「それなら材料を一緒に買いに行こう。」
「!うん!」
俺は男の子と手を繋ぎ、カレーライスの材料を買いに行った。
「そんなの、ほっとけばいいのに。」
シーパは渋々着いてきて、俺たちは材料を全て買い、男の子はお礼を言い、帰っていった。
あたりはすっかり夜になった。
「あーあ、あんな子供に時間を割いちゃったから、夜になっちゃった。」
「俺はお前と過ごす時間が短くなって嬉しいよ。」
「ひっどーい。」
俺とシーパは一緒に月を見ていた。
「知ってるよね?百鬼夜行の過去は?」
突然シーパはそんなことを言い出した。
「私たちはスラム街で生まれた。そこでは殺しは当たり前、むしろ殺さなきゃ生きていけなかった。だから私たちは殺した。何人も、何人も。そのうち、私は殺しは生きる術から趣味に変わった。他の百鬼夜行は生きる術のままだったけど。おかげで、私は百鬼夜行にも馴染めず、一人で行動してたんだけどね。」
「そうか。」
しばらく経つと、シーパは立ち上がり、
「あなたのいい所は、全てをちゃんと見てること。じゃあね、無幻の剣士くん、しばらく私はのびのびと暮らしていこうかしら。」
そして、シーパはいなくなった。
「それじゃあ、しばらくは俺を殺しにはこないってことか。」
俺は安心し、宿に戻ると、すぐに眠った。
目を覚まし、ギルドに向かおうとすると、
「ちょっと、離しなさいよ!!」
「!」
俺は声が聞こえ、方向を声のする方へ変えた。
そこには、俺と同じくらいの女性と、その女性を取り囲む男たちがいた。
「なぁ、いいだろう?ちょっとだけだから。」
「いい顔してんじゃねーか。」
ちっ。
俺が男たちの手をつかもうとすると、
「いいかげんにしなさいよ!!」
突然女性の近くにある玉からビームが出現し、男たちは遠くへ吹っ飛んだ。
「へ?」
「ん?」
男たちがいなくなり、その場にいるのは俺と女性だけになった。
「......」
「......」
「なーんだ、助けようとしてくれてたのね!」
「う、うん、でも俺がいなくても良かったみたいだね。」
「そんなことないよ。」
ギルドに行き、そこでその女性と一緒に食事をした。
「あ、俺の名前は輪、よろしく。」
「あ、私の名前はネオス、原魔六血家が内の一人よ。」
若干宝石色のピンクの髪を払い、オシャレ用品を沢山身につけた女性、ネオスは答えた。
「あー、原魔六血家ね。」
俺が軽く流すと、ネオスは驚いた顔をした。
「えぇ!私、原魔六血家だよ?超すごい魔法の家なんだよ?おっかしいなぁ、大抵の人は驚いてこぞってパーティに誘われたんだけどなぁ。」
それから食事を済ますと、ネオスは閃いた顔になった。
「そうだ!ねぇねぇ輪くん、一緒にパーティ組もうよ!」
ネオスは手を差し出す。
俺はしばらく考えると、手を差し伸べ、握手を交わす。
「きまり!これからよろしくね!」




