第六十話 手紙
「ではでは、行きましょうか!」
次の日、朝食を食べた俺たちは歌姫の両親の元へ向かった。
そこにまた、
「あーはっはっはっは!またまた来たぞ!」
「あなた達のものは私たちのものよー!」
「消えてね。」
どっかーん
ハルネがロケットランチャーを撃ち、二人は遠くへ飛んでいった。
「あいつらいつまでやんだ?」
それからしばらく歩き、歌姫の両親の家に着く。
「......俺が行くよ。」
みんなが下がり、俺が家のドアを叩く。
「はいはい、あら?あなたは?」
「初めまして、僕は輪と言います。あなた方に娘さんからの手紙を届けに参りました。」
「あの子から!?あなたー、あの子からの手紙よー!」
そして、
「う、うぅ......」
「くっ、うう......」
歌姫の両親は泣いていた。
当然だ、自分の娘が死んだのだから。
俺は歌姫の手紙の内容を知らない、なのでどんなことが書かれてるかはわからない。
しばらく経つと俺は、キイが言ったことを思い出し、二人に提案する。
「あの、手紙を書きませんか?娘さんに向けて。」
「......」
両親は了承し、俺たちは手紙を書くことになった。
手紙を書き終えると、三つの手紙を瓶に詰め、海へと流した。
「ほんとうに、ありがとうね。」
「ありがとう。」
二人は俺にお礼を言ったが、
「いや......俺は......何も出来なかった......なにか出来たかもしれないのに......ごめん......」
海へと流れていく手紙を見えなくなるまで視線を向けていた。
「それでは、さようなら。」
二人の元を別れ、俺たちは次の町へと向かった。
そこは、イリアムの街だった。
「んー、懐かしいぜイリアムの街!あと少しで我らが故郷!」
俺は先を行くみんなの後ろで立ち止まる。
「輪?」
「ここで、お別れだ。俺はエミナを探すよ。」
そう言うと、アルン達は寂しい顔をし、俺を見た。
「そうね、でも、最後に今夜はみんなで美味しいものを食べに行きましょう!」
パールがそう提案した。
「いいねいいね!!やろうやろう!」
「おう!早速あそこの店に行こうぜ!」
ナルに手を引かれ、俺は屋台の店を巡り巡った。
「うんまー!」
「おいしいー!」
あれから数時間、ほとんどの店の食べ物を食べ、俺たちはお腹いっぱいになった。
そして、
「じゃあな輪、また会おうぜ。」
「輪、またね。」
「私はまた銃を作るから、それまで。」
「絶対に忘れないから。」
「あなたは最高の弟子です。」
「また会ったら俺と勝負しような。」
「それじゃあね、輪くん。」
「今度もまた一緒に夜を過ごそうね。今度はそっちも裸で。」
「ばいばい、輪!」
「ばい!」
「またロケットランチャー撃たせてね。」
「輪、私はあなたと会えて嬉しいよ!!」
俺はみんなと別れを告げると、イリアムの街を後にした。
「さて、まずはどこ行こうかな。」
イリアムの街から北に進み、森を歩いていくと、
「!!」
突然横からナイフが飛んできた。
それを避けると、今度は茂みから女性がでてきた。
その女性は、シーパだった。
「久しぶりね、輪くん。」
「そうだな。」
俺は二本の剣を抜き、構える。
「はああああ!」
俺とシーパは剣の鍔迫り合いをしながら、お互いを押しあっていた。
「くっ!」
「私もあれから修行を続けてね、前より強くなったのよ。」
シーパはとてつもないスピードで俺の剣を受け流し、俺の右肩をかすめる。
「くっ!」
だったら、
俺はオーバーアイを発動し、シーパの速さについていった。
「あら、目が金色に変わったわね、あなたの能力?すごいね。」
オーバーアイを発動することでやっと同じ速さになり、攻防が続く。
「はああああ!!」
「うおおおお!!」
お互いに決定打が生まれず、体力と時間だけが過ぎていった。
ここは、オーバードライブを使うしか。
でも、オーバードライブは時間が必要だ。数秒、シーパがこちらに攻撃してこない時間が。
シーパは一旦後ろに下がると、魔法を撃ってきた。
それを俺は幻影で消し、剣に魔法を付与する。
「今のもあなたの能力?欲張りさんね。」
右の剣に炎の魔法を付与し、左の剣に氷の魔法を付与する。
俺は剣を交差し、Xのようにシーパへ切りかかる。
「ふん!」
鍔迫り合いが始まり、しばらくお互いに押し続けていると、俺は一旦、後ろに下がった。
「あら、もう終わり、もうちょっと続けま!!」
シーパが俺の元に歩こうとすると、シーパの踏んだ場所が沼地となっていた。
「なっこれは!?」
「炎は氷を溶かす、溶かした氷が水となり地面に落ちればやがて、沼地となる。俺は魔法でそれを促進させたんだ。」
シーパは沼地から抜け出そうと足を出そうとしていた。
今だ!
俺はオーバーアイを発動させたまま、呼吸をはやくする。
「はあ、はあ、はあ、はあ!」
全身が覚醒し、黄金の目に赤い線が入る。
「......」
シーパはそれを黙って見ていた。
オーバードライブを発動させると、シーパの元に一瞬で近づき、
二刀流、かまいたち
目にも見えぬ速さでかまいたちを繰り出し、シーパは奥の木にぶつかる。
しばらく経ち、俺はオーバードライブとオーバーアイを解除すると、シーパは立ち上がり、笑顔だった。
「素晴らしいわ、その速さ、その動き、私の目でも追いつけないなんて。こんなに経っても殺せないのは、黒薔薇の剣士と呼ばれ続けて初めてね。」
「黒薔薇の剣士?」
「あら?知らないの?名のある剣士には通り名がつくのよ。そうだ、あなたにも通り名をつけてあげるわ!そうね、無幻の剣士なんてどうかしら!」
シーパはダラダラと流れる血を気にせず、俺の通り名を考えていた。
「じゃあね、輪くん、また会ったら、殺し合いましょう。」
そして、シーパはどこかへ飛んでしまった。
「今追いかけても、無駄だよな、俺飛べないし。」
無幻の剣士、か。確かあいつは、黒薔薇の剣士だったよな。今まで巡った街でシーパの名前を出しても、何も反応がなかったけど、黒薔薇の剣士だったら、どうかな。




