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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第二部 物語の始まり
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第五十七話 アルンのたい焼き

「まずは、一つ目のたい焼き!どうぞ!」

 審査員の前にたい焼きが置かれ、それを口にする。

「こ、これは!?」

「中に果物が!」

 食べている審査員達は全員満足のような顔をしながら、たい焼きを食べていた。

「大丈夫なのかこれ。」

 俺はあまりの審査員の顔を見て、少し不安になった。

「これで勝たないと、ターナを取り戻せない......」

 続いて、次のたい焼きが出され、審査員がひと口食べる。

「おお!これは美味い!」

「中身はつぶあんとこしあん、両方を入れて、とてもバランスよく作られている。」

 俺はそれを見て、さらに不安が増した。

 そして、最後から二番目のたい焼きがやってきた。

「あ、あいつら......」

 そいつらはこの街のたい焼きの材料を買い占めたやつらだった。

「な、なんだこれはー!」

「こんな形があるなんて!」

 あいつらが出したたい焼きはたい焼きの形の周りにサクッとしたバリがあった。

「いやまぁあれは美味しいけど、バリがあるなんて今どき普通じゃないか?」

 俺がハルネ達に言うと、

「あれバリって言うんだ。」

「あんなのどうやってつけたんだろう。」

「初めて見た。」


 この世界ではバリは普通では無いのか。


 審査員がまずバリから食べる。

「パリパリで美味しい!!」

「こんなたい焼きがあったとは!」

 次に皮と中身のあんこ。

「中身も最高にうまい!」

「もう全部食べちゃう!」

 審査員はその勢いのまま手に持ってるたい焼きを全てたいらげた。

「あわわわ、どうしよう、あんなに食べちゃったらお腹いっぱいになっちゃうよ。」

 俺は終始不安げな様子だったが、ふとハルネたちの方を見ると、ナル以外の全員が自信満々の様子だった。

「この勝負、勝ったな。」

「ええ。」

「やっぱりアルンちゃんには敵わないか。」

「「うんうん。」」

 そして、最後の順番、アルン達の番がやってきた。



 その裏では、

「ふっふっふ、あいつらの材料は全部使えなくした、あいつらはたい焼きを出せずに失格だ!!」

「さすがだぜ!これであいつらの精神を地に落として、あいつらをボコボコに」

 そう思っていると、

「アルン、たい焼き持ってこうぜ。」

「うん」

 普通にアルン達はたい焼きを持っていった。

「「えええええええええええええええええ!!!」」







 アルン達が持ってきたたい焼きは先程とは違い、見た目は普通のたい焼きだった。

「ふーん、まぁ美味しそうではあるけど。」

「見た目はさっきの方がいいわね。」

「さっきのを全部たいらげたから、お腹もいっぱいだ。」

 審査員達は渋々げにたい焼きを手に取る。

「まぁ、いただこうか。」

 むぐっ。

「......」

「......」

 審査員はアルン達のたい焼きをひとくち食べると、しばらく無言の状態だった。

 そして、

「!!」

「!!」

 いっせいにたい焼きを食べていった。

「う、うますぎる!!」

「なんていう甘さだ!」

 審査員は目の前にあるたい焼きを全て食べると、

「も、もっとないのか!?」

「もっと食べさせてくれ!!」

 審査員はそう言って、調理室へ向かおうとした。

 それを観客が必死に止め、なぜうまいのかを聞いた。

「全てだ!全てが最高なのだ!」

「皮はひと口食べた時はサクッと、だが二口目にはなぜかもちもちになる。そして、クリームは小さい点が入ったカスタードクリーム、食べた瞬間、甘みが広がり、次のひとくちを食べたくなる。なんなのだこの小さい点は!?」

「そ、それで優勝は!!」

 審査員は口を揃えて、

「もちろんこのたい焼きだ!!」

 その瞬間、観客席から歓声が広がり、アルン達が照れた様子で出てきた。

「あどうもどうも、どうもどうも」

 三人が審査員の目の前に立つと、審査員はこぞって質問をした。

「な、なぜこんな皮が作れたんだ!!」

「いや、それよりもなんだあの点のようなものは!」

 アルンはごほんと咳払いをすると、質問に答えた。

「それは、いつものように焼いたあと、トースターでもう一度焼いたのです。そして、点の正体はこれだ!!」

 アルンが懐からガラス瓶を取り出す。

「そ、それは!?」

「これは、バニラビーンズ!これによって味に深みが出たんだよ!そして、一番大事なのは、企業秘密ってことで。」

「ええーー!!」

 檻からターナが解放されると、アルンはターナの手を引き、俺たちの方へ走ると、

「さぁ、次の街へ行こう!みんな!」

 後ろから追いかけてきた人達から逃げるように、俺たちは街から逃げた。










「ふー、ここまで来れば大丈夫ね。」

 川の近くまで逃げ、街から追いかけてきた人達がいなくなったのを確認すると、今日はここで野宿することに決めた。

「アルン、釣りに行こうぜ!」

「おっけ。」

 アルンとルーナが魚を釣りに行き、俺たちは別の準備を始めた。

「ふー、今日は楽しかったなー!」

「そうだね、本当は危なかったけどね。パールがもうひとつのボウルに分けてくれてなかったら、優勝なんて出来なかったからね。」

「ほんと、パールさまさまだな。お、釣れた。」

 2人同時に魚が釣れたと思ったら、2人の糸が絡まっていただけだった。

「へへへ。」

「あはは。」

「そういや、輪が持ってきてくれたカスタードクリームも普通のとは違って、バニラビーンズが入ってた時は驚いたな。」

「そういえば確かに、あんなのどこで買ったんだろう、おかげで勝てたけど。」

 2人は頭をこてんとすると、お互いの頭がぶつかり反対に倒れた。

アルンが作ったたい焼きがうまいかどうか、本当にトースターで焼いただけでああなるかは知りません。

作ったことないので

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