第五十四話 箒と杖の喧嘩
「なになに?次の街に集合。次の街ってここじゃない?」
「おうそうだな、じゃぁ、ここで待ってればいいか。」
ルーナとアルンは午後に起き、パールから届いた手紙を読んでいた。
「おし、じゃあ依頼をこなしに行くか!」
「うん!」
依頼の紙を見ながら、二人は街を出る。
「依頼の内容ってなんだっけ?」
「えーと、北にある洞窟にいる虎の討伐だ。」
「わかった、じゃあとっとと達成しに行こう。」
「だからさぁ、たい焼きを焼くポイントは焼く時間なのよ、ちょっとでも遅れたら焦げて舌触りが悪くなっちゃうからさ。」
「へぇ、そういや、私たちがいるあの街って結構たい焼き屋があったよな。帰ったら食べに行こうぜ。」
他愛ない話をしていると、いつの間にか北の洞窟についた。
「そいじゃ、行くか。」
箒を出し、くるくると回すと、ルーナとアルンは歌を歌いながら洞窟へ入っていった。
「輪の〜顔は〜たぬきの顔で〜!いーつかちん
○をもぎ取るぞ〜!!」
「あ、おーい、パールー!」
次の街へ着くと、入口でルーナ、アルン、ターナ以外の全員と出会った。
「ルーナとアルンとターナはまだか。とりあえずギルドに行って、なにか食べようよ!」
ハルネの言葉に全員が同意し、ギルドに向かった。
「もぐもぐむしゃむしゃ!」
「ばりばりごっくん!」
「もちもちもっちん!」
俺たちは次々と出されてくる料理を暴飲暴食し、お腹を満たした。
「あんた達、なかなかいい食べっぷりじゃないか。」
食べ終わると、突然、周りにいた男に話しかけられた。
「い、いやぁそれほどでも。お金くれないなら話しかけないでくれる?」
「ここの料理が美味しいからだよ、ところで君男に興味無い?」
ハルネとキイが照れながらそう言い、飲み物を一口飲んだ。
「ああ、そういや昨日ここに来た魔法使いの帽子を被った女ともう1人の長髪の女もなかなかいい食べっぷりだったな。」
「「ほどろべーー!!」」
パールは立ち上がり、その男に聞いた。
「ねぇ、その二人って、帽子をかぶった青色の髪でちょっと顔が調子乗ってる子と、赤色の髪でもう一人の子に異様に好意を持ってる成金のような人達だった?」
「あ、ああ、そんな感じだったな。」
パールは質問を重ねる。
「その二人、どこに行ったかわかる?」
「えと、確か昨日、依頼の紙を持って出ていったな、北の洞窟の虎を討伐する依頼だったな。」
「サンキュー三三七拍子」
俺たちはそれを聞くと、お礼を言い、ルーナ達を探しに行った。
「ふぅ、あと少しで最深部だろ。」
洞窟に入ってる途中、たくさんの獣と出会い、その全てを倒しながら、二人は奥へと進んでいった。
「きゃあああああ!」
「「!!」」
最深部で悲鳴が聞こえ、二人は急いで向かうと、
「う、うわあああ!」
そこにはルーナ達が狙っていた大型の虎と瀕死の状態の三人の冒険者がいた。
「アルン、お前は治癒魔法を、私が引きつける。」
「うん!」
アルンはすぐに倒れてる3人のもとに向かうと、治癒魔法をかけ始めた。
「かなり危ない状態ね、時間がかかるかも。」
ルーナは箒をロンギヌスの形に戻すと、空中に浮かせ、虎に襲いかかる。
「おらぁ!」
ロンギヌスで虎の側面を切りつける。
「ぐぎゃああああ!」
(ロンギヌスが全てを貫けるのは100パーセントの時のみ、それ以下だと、ちょっと強い槍だ......かといって、100パーセントにしちゃうと、周りの被害がやべぇ......この虎、神獣だろうな、なかなかやるぜ。)
「!!」
突然、虎がいなくなり、姿を探すと、虎はアルンのすぐ近くにいた。
「アルンー!!」
「!!くっ!」
アルンはギリギリ虎に気づいたが、治癒魔法をやめず、虎の攻撃を全て受けた。
「きゃああああ!!」
「アルン、何やってんだお前ー!!」
すぐにルーナはアルンの元に行き、未だに治癒魔法をかけてるアルンを怒鳴る。
「何やってんだお前!!今のは防御出来ただろ!」
「何言ってんの!この子達、死にかけなんだよ?今治癒をやめたら、死んじゃうよ!」
「その結果、お前も死にかけてんじゃねぇか!腹に穴が空いてるぞ!!」
アルンとルーナが言い合いをしていると、神獣の虎が魔力を込めていた。
「「!!」」
虎の口から光線が発射され、アルンとルーナは瀕死の三人を担ぎ、横に飛んだ。
「ルーナ!早くその人を治癒して!!」
「何言ってんだ!今治癒をしたら、私たちが危ねーんだぞ!」
「でも、そうしないと死んじゃうよ!!」
「この、わからず屋がー!」
「そっちでしょ!!」
「ちっ!!」
ルーナは瀕死の一人をアルンに投げると、ロンギヌスに魔力を込める。
「ライトニング・ボルト!!」
魔法を槍に込め、槍を投げると、虎に刺さる。
そこに電気が流れ、虎が倒れる。
「こりゃ、素材は無理だな。」
虎の死体の状態を見ながら、ルーナは時空収納に入れる。
「ふぅ。」
すぐにアルンの元に向かうと、冒険者の三人の治癒は完了されており、三人はお礼を言い続けていた。
「本当に、ありがとう!」
「この恩は、一生忘れません!」
三人が洞窟から離れると、
「なんであの時、防御しなかったんだ?」
「言ったでしょ、あの時治癒をやめたらあの三人は死んでた。」
「だからって、お前まで死にかけたら意味ねーだろ!!」
「なら、あなたはあの三人が死んでもいいっていうの!?」
「そうじゃねー!自分の命を大切にしろって言ってんだ!!」
「ルーナのわからず屋!大っ嫌い!」
「ああ!私もお前が大っ嫌いだよ!!」
ルーナとアルンがしばらく無言でいると、
「お前も早く治癒しろよ、それ以上血が流れたら、死ぬぞ。」
ルーナということにアルンは素直に従い、治癒魔法をかけた。
その後は二人とも喋らず、ギルドに向かった。




