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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第二部 物語の始まり
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第五十話 早すぎた解散

「なるほど、それであなたは、魔法が普通に使えるように、私たちに特訓してもらいたいって事ね。」

「うん!よろしくお願いします!!」

 あの後、一つの大きな宿を取り、全員でテーブルに座ると、ナルは自分のことと、自分の目的を話した。

「おう!いいぜ!私たちがあんなことやこんなことやムフフなことも教えてやるよ!なんせ、同じ原魔六血家だからな!」

「いいよ!私たちが特訓してあげる。」

「やったーー!!」

 早速、街の外へ出て、ナル達は特訓を開始した。






 が、

「な、なんでここまでやって上達しないんだ?」

「どの魔法も失敗、出来たとしても、効果が全部でたらめだ。」

「もう私無理、教えられない......」

 三人が疲れ果て、その場で休んでいると、ナルは奥にある硬い石を見つけると、懐から札を取り出し、魔法を書く。

「ん?あなた、何やってるの?それって札?へぇ、あなた、札の原血だったのね。」

「でも、札があっても、魔法が使えなくちゃ。」

 ナルは札を口に咥えると、息を吹く。

 字が浮き出し、それが魔法陣となって石がある地面に移動する。

 そして、石が粉々に吹っ飛ぶ。

「「!!」」

「これが私の札を使った魔法。これだけは、ほかの魔法より精度がいいの。」

 三人はしばらくそのまま動けないでいると、ハッと我に返り、

「す、すげぇ!」

「これは、やり方次第では、使えるかもしれない......」

「てかなんでそれを早く言わなかったの?」







 あれから俺たちは色んな所を巡り、一日を楽しんでいた。

「ん?何書いてるんです?」

 相手が敬語のため、こちらも敬語で話していると、

「敬語じゃなくていいですよ、私はこういう口調なんです。というか、そもそもこっちが敬語を使ってるからって自身も敬語を使うなんて、あなた変わってますね。」

 この世界では目上の人とかにも敬語ではなく、自分の言葉で話している様子だった。

「ふぅん、それで、何を書いてるの?」

「手紙です、両親宛に。」

 歌姫は手紙を書き終えると、蝋を垂らし、シーリングスタンプを押す。

「よろしくね。」

 歌姫は近くにいた鳥に手紙を付けると、鳥は遠くに飛んでいった。

「手紙なんか、意味あるのか?」

「手紙は大事なんですよ?自分の心を言葉にできる。こんな素晴らしいこと、ほかにないです。」


 俺の時代ではスマホでポチポチだったからな、実感が湧かない。


 気づけば辺りは真っ暗になり、俺たちは別れ、俺はみんなが泊まってる宿に向かった。

「お!おーい、輪!」

 宿のところでルーナ達と出会った。

「修行は完了したのか?」

「まぁ、一応はな。」

 そのまま俺たちは一緒に部屋に歩いた。

「あ、輪!」

「輪だ!」

 扉を開け、部屋に入ると、ラノとリナが目の前でお出迎えをしてくれていた。奥ではハルネたちが明後日のステージのための計画を考えていた。

「あ、ほらほら三人とも、ここに座って!明後日のための計画を練るよ!」

 ルーナ達が明後日のための準備をしてる間、俺は街から出て、その辺の川の近くに座った。

「......」


 今夜は月が綺麗だな。


 空を見ると、それは美しい月があった。

 俺はしばらく月を見ていると、そこに足音が聞こえた。

「......リーノ......」

「やぁ、輪。」

 リーノは俺の隣に座ると、俺の体を見た。

「な、なに?」


 そういや、三年前に旅したヤツら以外とはあんましゃべってなかったんだよな......


「僕はあまり戦闘向きじゃなくてね、本職は医療なんだ。」

 リーノは俺の体を診ると、安心したような顔になった。

「うん、何も異常はないみたいだね、治癒魔法だけじゃ治らないところもあるから。」

「そ、それはなんだ?」

 リーノはしばらく俯くと、

「心だよ。」








「ぐー」

「すやすや」

「みんみん」

 部屋に戻ると、俺とリーノ以外のやつらは全員寝ていた。

「僕達も寝ようか。」

「そうだな。」

 俺たちは空いてるベッドに横になり、そのまま眠りについた。








 そして、次の日はルーナ達四人が歌の特訓をし、あっという間にさらに次の日になった。

「おっしゃーー!!絶対勝つぞー!!」

「頑張るぞー!」

「一生懸命やりましょー!」

「おーう......」

 ほかの三人とは違い、嫌にテンションが低いパールに理由を聞くと、

「私、本当はアイドルなんてやりたくなかったのよ、衣装も私好みじゃないし、ルーナ達に無理やり......」

「......がんば。」

 ステージは交互に歌を歌うことになった。

 会場には、既に沢山のお客がおり、中には城に住んでる者もいた。

 ルーナ達が歌の準備をしてると、そこに歌姫が歩いてきた。

「みなさん、今日は楽しいステージにしましょう。」

 歌姫が手を差し伸べ、握手を交わす。

「それでは、まずは私たちから。」

「みなさん、お待たせしました!ただいまより、歌合戦を始めます!」

 表から大歓声が聞こえ、俺とナルは観客席についた。

「まずは、チームアクトから!」

 ステージにルーナ達が現れ、歌が流れる。どうやら、流れてる歌は魔法で流れてるようだ。


 なんでもありだな。


 ルーナ達の歌が思ったより盛り上がり、客がどんどん集まってきた。

 4人の顔は笑顔で観客と共に歌を楽しんでいる様子だったが、俺にはわかる。

(ここまで客が集まるとは、勝ったな)

(これでこのまま歌姫を超えて、ライブを有料制にしてガッポガッポね。)

(ここにいる人たちみんな銃で撃ちたい)

(カタツムリ食べたいなぁ)

 ルーナ達の歌が終わり、ルーナ達がステージの裏に行くと、歌姫が出てきた。

 すると、ルーナ達の時とは比べ物にならないほどの歓声が上がった。

「きゃー!!歌姫ーーー!!」

「こっち見てーーー!!」

「うるぶああああああああ!!!!!」


 あぁ、負けたな。


 歌姫の歌が始まり、それを聞いた途端、ルーナ達の負けを確信した。








「「負けましたー!」」

 ライブが終わり、勝敗は言わずもがな。

「ちくしょぉ!負けた!」

「もう、引退するしか......」

「お、終わるの!?私たちのアイドル人生、もう終わり?」

「良かった......」

 チームアクトの解散が決まり、歌姫は

「な、なんか、悪いことしちゃいましたかね?」

 歌姫はその後、城に入っていき、俺たちは、歌姫の帰りを待った。

 が、歌姫はそれから何日もかえってはこなかった。

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