第四十五話 タイトル思いつかない
目を覚まし、顔を洗っていると、ナルはまだ寝ていた。
「おい、起きろー。」
「うーん、もう少しだけぇ。」
原魔六血家の人間は寝起きが悪いのか?
しかたなく、もう少し寝かせることにし、俺はこの街のギルドに向かった。
「なにか手頃な依頼はないかなぁ。」
探してみると、今日俺たちが進む道の途中で採取依頼があった。
「お、これにしよう」
依頼の紙と冒険者カードを渡し、依頼を受注すると、俺は宿に戻った。
宿ではナルがまだ寝ており、俺はベッドからナルの足をつかみ下ろした。
「うぎゃぎゃぎゃ!ん?あ、輪、おはぁよう。」
まだ寝ぼけている様子のナルを洗面所に連れていき、顔を洗い、服を着せ替える。
子供を持った親って、こんな気分なんだ。
朝食を済ませ、街を出る。
「ねぇねぇ、なんの依頼を受けたの?」
「キノコの採取依頼。」
そう、俺が受けたのは道に生えてるキノコの採取だった。
だいたいこういう依頼はあまり受注されず、溜まっているようなのだ。
「なになに?キノコを25匹採取すると、報酬金が5000円。うーん、大変なのかどうか実感わかないな。」
「次の街に着くまでに採取しておきたいからナルも探してくれる?」
「あいあい!!」
朝食を食べ終え、街を出て、次の町をめざしながら、キノコの採取を始めた。
それからしばらく経ち、23匹のキノコを集めると、
「!!ナル隠れるんだ!」
突然殺気を感じ、ナルを隠れさせる。
殺気を感じた方向から人が飛んできて、短剣を俺に投げ、それを剣で弾く。
「やっぱりお前か。」
「また会ったわねぇ、輪くん。」
俺を狙った女性、シーパは唇をペロッと舐めると、短剣を構える。
俺たちは同時に近づき、剣を撃ち合う。
「おら!」
俺は前回の戦いから学び、一旦距離を置くと、魔力を込め、剣先に小さな光の玉を10個作り、
「幻光!」
幻光を放ち、その光線がシーパに近づくと、
「ふふっ。」
それをシーパは正面からぶつかり、そして、
「なっ!」
シーパの二つの短剣の剣先に、ひとつの黒い穴が空いており、そこに、幻光は飲み込まれてしまった。
「返すわ。」
黒い穴から俺が繰り出したはずの幻光が飛び出す。
俺の幻影と似たような魔法か!
それをオーバーアイを発動し、避けると、俺はシーパの懐に潜り込む。
「!!」
俺はニヤリと笑い、剣を振りかざすと、シーパもニヤリと笑った。
すると、俺がシーパの体を斬った瞬間、シーパはなぜか後ろにもたれず、そのままの勢いで短剣で俺の右腕を切り落とした。
「くっ!」
直ぐにその場から離れ、右腕の止血をすると、隠れていたナルがでてきた。
「な、なにやってんだ!早く隠れろ!」
ナルは緊張した様子で俺に背を向け、シーパの方を見ると、
「極魔法、浄化。」
ナルは札を持つと、そこに魔法の名を書き、口にくわえた。
そして、
「ふぅ。」
と息をすると、札に書いたはずの魔法の字が空中に浮き、ひとつの魔法陣に変わる。
その魔法陣がシーパの足元に移動すると、突然魔法陣が光り出す。
「ぎゃああああああああ!!」
光り出すと、シーパは叫び出し、その場に倒れた。
「なっ!」
あれは、極魔法か?いや、今はなんでもいい。とりあえず、今は逃げなくては!
俺は剣をしまい、切り落とされた右腕を持つと、ナルを連れてその場から走って逃げた。
「ふふふ、なかなかやるじゃない、あの子......」
「お前、なにやってんだ!生きてたから良かったものの、死んでたかもしれないんだぞ!」
まぁ、自殺した俺が言っていい事じゃないけど......
「えへへ、めんごめんご、でも!私のおかげで逃げきれたでしょ?」
確かに......
「でもお前、魔法は使えないはずじゃなかったのか?」
「使えないんじゃなくて、制御出来ないんだよ。さっきもちょっと足止めする程度だったけど、結局あんな威力になっちゃったし!」
そういう事か......
とりあえず別れた右腕を治癒魔法で治し、ギルドに向かう。
「はい、それでは、今回の依頼は未達成ということで、報酬金はありません。」
結局、残り二つのところでシーパに襲われ、必死で逃げたので、集める機会がなかった。
周りからは笑い声が聞こえた。
「あーはっはっはっ!採取依頼で失敗とか、見たことねーぜ!あーはっはっはっ!」
うぅ、シーパのやつ、絶対に許さん!
とりあえず、今日のところは宿を取り、ナルを寝かせた。
うーん、まだお金はあるから数日は持つけど、なるべく達成出来る依頼は引き受けたいな。
もう一度ギルドに行き、掲示板を見て、依頼を集める。
「なるべく討伐系がいいなぁ」
「おいさっきの兄ちゃん、採取依頼もこなせねーやつは、こんなのがいいんじゃないか?あ!これも達成できねーか!ガーハッハッハッ!」
先程からギルドにいた男に笑われながら差し出された依頼は、迷子の子猫ちゃんの捜索依頼だった。
こ、こいつぅ!
俺はそれを無視し、討伐系の依頼の紙を剥がし、受付に行こうとすると、
「おい待てよ、お前、その依頼受けるのか?なら、俺たちと組まねーか?今夜だけ。」
先程笑った男が俺の方に手を回し、そう提案する。
すると、そこに男の仲間らしき人達が二人来た。
「報酬金は山分けだぞ?」
「いやいいよ、こんくらい俺一人でもいけるから!」
そう言うと、またもギルド中に笑いが上がった。
「なーはっはっはっ!そうかそうか!お前一人でもいけるか!なら、一人でいってきな!なーはっはっはっ!」
俺は後ろから聞こえる笑い声を無視し、夜の森に向かった。
今回俺が受注した依頼は一匹狼の討伐とその狼の牙の採取だ。
一匹狼はその名の通り、一匹で行動する狼のことだ。だから前みたいに数匹で行動していることはない。
「牙の採取は大変そうだけど、頭をそのまま持っていけばいいかな。」
が、
「どこにもいねぇ!一匹狼が一匹もいない!!孤高の心を持てよ狼!!うわぁぁん!」
いつの間にか時間が0時を回っており、流石に帰ろうかと思った途端、
「あおおおーん!」
「!!」
狼の雄叫びが聞こえ、その方向へ走り出すと、
「いた!」
そこには一匹で行動している狼がおり、俺は剣を抜いた。
すると、狼は俺とは反対方向へ逃げた。
「逃げんなばか!」
俺は必死に狼を追いかけると、突然狼は方向を変え、俺から隠れた。
「どこだ?」
俺は狼を探していると、
「わんわん」
という小さな声が聞こえ、こっそりとその声の主を探すと、そこには先程追いかけた一匹狼とその子供が数匹いた。
狼は子供の狼に餌を与え、こちらに気づくと、
「うぅぅ!」
と警戒する声を出した。
は?なんだこいつ、自分から気づかれるような声出しといて。
「弱ったなぁ。」
俺は狼の討伐を諦め、街に戻り、ナルが寝ているベッドの隣で眠りについた。




