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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第二部 物語の始まり
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第四十四話 新たな原魔六血家

「う、うーん、は!!ここマダガスカル!!」

 俺は目を覚ますと、そこはギルドの医務室のようだった。

「あ、目が覚めたわね。」

 声のする方に視線を向けると、そこにはそれは美しいナースさんがいた。

「あ、えと、俺はどうしてこんな所に......」

 ナースさんはふふっと笑うと、

「あなた、泥棒が入った家の前で、泥棒の親玉に頭を殴られて気絶したのよ。」


 あ、思い出した!


「あ、ありがとうございます。じゃあ、自分もう大丈夫なんで。」

 そして、ベッドの横にあるマフラーとコートとポーチを手に取ると、あることに気づく。

「あ、あの、俺の背中と腰にあった、二つの剣は?」

 そう言うと、ナースさんは言いにくそうに、

「えっと、あれは泥棒さんが持って行っちゃったの。」


 な、な、ななななな、なんだってーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!


 俺はすぐに医務室から出ようとすると、ナースさんに引き止められた。

「なにするんですかナースさん、俺は取り戻さなくちゃいけないんです!」

「落ち着いて君、それはもう諦めた方がいいの。」

「なに?」

 ナースさんに話を聞くと、俺から剣を奪った泥棒共は、ここの界隈では有名の盗人集団らしい。

 なんでも、そのボスがとてつもなく強いらしく、この街では手が付けられないとか。

「下の掲示板で依頼内容にもなってるのよ、盗人集団を壊滅させる依頼をね。」


 そうか、依頼にもなってるのか、なら。


 俺はナースさんの制止も聞かず、すぐに下の階に行くと、掲示板から依頼を探し、受付に差し出した。

「え、えと、こちらで間違いないでしょうか?」

「はい!」

 俺はすぐに冒険者カードを返してもらうと、盗人集団のアジトを教えてもらい、全速力で走った。

 この時にオーバーアイを使えばよかったのだが、実は使えないのだ。

 エミナから貰った能力、周りが遅く見える目、オーバーアイ、幻影は幻想と神威がなければ、使えないようになっている。

「うおおおおぉ!!」

 盗人のアジトに着くと、俺は目の前にある扉を開けた。

 そこにはたくさんの男たちがおり、一番奥には盗人のボスがいた。

「おいおいおいおい、ここが盗人集団のアジトとわかって乗り込んできたのかあぁん?」

 俺の目の前に顔を突き出しながら、やってきた男を拳で振り払うと、それを機に残りの男たちも襲いかかってきた。

「ぐえっ!」

「ごはっ!」

「ぐっはぁ!」

 次から次へとやってくる男たちを返り討ちにし、ボスの所まで行くと、でかい椅子に座っていたボスが立ち上がる。

「ここに来たのは理由があるんだろ?」

「俺の剣を返せこのぶっとびやろう!!」

 ボスは横にある袋に手を突っ込むと、ゴソゴソと探し、そして、中から二つの剣を取り出す。

「!!」

「これのことか?」

「そうだ返せ今すぐ返せ!」

 ボスは剣を床に置くと、拳をボキボキとし、

「これを返して欲しければなぁ、俺と戦って勝ってからにしろ!!」

 そして、俺に殴りかかった。

 俺はそれを避けると、すぐに反撃をする。

「おらぁ!!」

 腹に一発入れ、一歩下がる。

「なかなかやるじゃねえか!」

 ボスも俺の腹に一発入れ、俺は後ろに後ずさる。

「痛いよぉ」

 そこからは殴り合いだった。

 こっちが殴ればあっちが殴り、やがてお互いにボロボロになると、

「ぺっ!」

「まだまだぁ、かかってこいやぁぁぁ!!!」


 負けられないんだよ、お前ごときに......


 素早くボスの後ろに周り、股間を蹴りあげた。

「なっ!それは......反則......」

「うっせばーか、犯罪者が反則だとかほざいてんじゃねぇ」

 その場にボスは倒れ、俺は拳を上にあげた。

 その瞬間、全員が降伏し、俺は剣を取り戻した。

「ん?なんだこれ?」

 盗人共を拘束していくと、樽の中にたくさんの物が入っていた。

「こいつらが盗んだもんか、ギルドに預けよう。ん?」

 盗まれたものの中から特別目を引かれたものがあった。

「なんだこの水晶?ねぇねぇ、この水晶は誰から盗んだの?」

 拘束した盗人に聞くと、

「ちっちげぇよ!それは盗んだんじゃなくて拾ったんだよ!!だからそれは俺たちのもんだろ?な?な?」

 俺は少し考えると、

「もちろん、ギルドにはそう伝えておくよ。」

 盗人集団全員と、盗まれた物をまとめてギルドに持っていった。

「はい、あなたはBランク、Aランクの依頼をこなしましたので、只今より、あなたのランクはBランクとなります!この度はありがとうございました!」

 周りからは大歓声が聞こえ、

「やるなぁお前!!」

「これ私のだわ!!ありがとーー!!」

「金、たんまり持ってんだろぉ!」

「きゃー!ご主人様奢ってー!」

 周りからはそんな声が聞こえ、俺はしばらく目を瞑り、調子に乗ると、

「それじゃ、この金で今日はいくらでも奢るよー!」

「おおおおおお!!」

「やったーーー!!」

 それからはギルドのみんなとたくさんの酒と食いもんを頼み、夜が明けるまで騒いでいた。

「ふぅ、幸せ......」

 時空収納から盗人から盗んだ水晶を見つめながら、自分の泊まった部屋で寝転んだ。









「もう行くのか?」

 昨日の一件で、すっかり仲良くなったギルドのみんなと別れを告げ、俺は街を後にした。

「ふぅ、みんなと宴って、いいもんだな。」








 俺は山の中を歩いていると突然、

「きゃーーーー!!どいてどいてどいてーー!」

「え?ぶぎゃ」

 突然山の上の方から声がし、振り向くと、勢いよく走ってくる女性がおり、それに俺は潰された。

「あー!大丈夫ーー!!」

 俺を潰してもなお、下の方に走っていく女性を追いかける。

「ちょちょちょちょ!とまれとまれ!」

 女性に追いつくと、服をつかみ、勢いを止める。








「ありがとうー!助かったよーー!!」


 この女性、もしかして......


「いやぁ、初めてこの山に来たんだけど、思ったよりも角度があってね!それに降りている最中に転んじゃって!えへっ!!!」

「ねぇ、もしかして君って。原魔六血家の人間?」

 そう言うと、女性は驚いた顔をすると、

「すごい!なんで知ってるの!!すごいすごい!!」

「なに、俺にも同じ家の知り合いがいてね。」

 すると、女性は目を輝かせながら、

「え!私と同じ家の知り合いがいるの!どこにいるの!教えて教えて!私その人に会いに行くんだ!」

「落ち着いて落ち着けcalmdown、えと、俺の名前は輪、君の名前は?」

「私はナル!札の原血の人間!よろしくね!」

 その女性、ナルの見た目は若干宝石色のオレンジをした髪色で、髪は短い。

 背は俺より少し低く、顔はルーナやパール、アルンとそっくりだった。

 俺とナルは握手を交し、ナルがどうして原魔六血家の人間に会いたいのかを聞いた。

「私ね、原魔六血家の人間なのに、全然魔法が使えないから、同じ家の人間に修行をしてもらおうかなって思って、家から飛び出してきたんだ!」


 ふむ、それならアイツらに任せるか。


「よし、わかった、俺の知り合いの所まで案内するよ。よろしくナル!」


 多分、今のアイツらなら既に業の里に到着してる......いや、あいつらのことだから、どっかで道草食ってるかもな。


「とりあえず、俺の知ってる奴らは三人いて、そいつらは多分今頃一緒に行動してると思うから、そいつらが住んでる里に行こうか。」

「それじゃ、私たちはその間、臨時のパーティってことね!私はあんまり使えないけど、よろしくね!」








 ナルと出会って数日、一つ目の街につき、宿を取る。

「いやぁ、輪は強いね!どうしたらそんなに強くなれるの?」

「それは血のにじむような努力と覚悟を持った修行と何度も死にかけたからな。」

「へぇ、じゃあ、私もそのくらい修行すれば......輪みたいに......強く......すぅ、すぅ。」

 疲れたのか、ナルはベッドに転がると、すぐに寝てしまった。

「ふう、本当、子供みたいだな。」

 最初に出会った頃に自分はあまり使えないと言っていたので、道の途中で動物に襲われた時は全て俺が戦闘していた。

「俺も寝るか。」


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