第四十話 春の華 その二
俺は走った。
城にいた天使にエミナの居場所を聞き、無くなった左腕の止血をし、オーバーアイを発動するとすぐにエミナのいる場所へ急いだ。
「エミナ、もう少しだからな。」
「ちくしょぉ!!なんで....うぅ、頭がクラクラする。」
「ルーナさん、下がって!その傷でこれ以上やったら死んじゃう。」
魔法のバリアにはカウンター魔法が付与されており、一生懸命攻撃したルーナとターナとキイとハルネは傷だらけだった。
その中でも特に傷が酷かったルーナは死ぬ一歩手前だった。
「ルーナ!とりあえずこっちに来て、傷を治すんだ。」
ルーナはしばらく考えると、
「お前ら、ちょっと下がってろ。」
他のみんなはルーナの言う通りに下がると、ルーナはロンギヌスの槍を使う。
「初めてやるから、死ぬかもしれねーな。」
ルーナは空に飛ぶと、
「ロンギヌス、拘束、100パーセント解放!!!」
ロンギヌスの槍がとてつもなくでかくなり、ルーナはそれを苦しそうに浮かせた。
ルーナの目からは血が流れ、治ってきた傷跡が開く。
「いっけーーーーーー!!!!!!!」
ルーナはロンギヌスを魔法の壁に貫かせると、その魔法はいとも簡単に崩れ落ちた。
「やったーー!!」
「ルーナ、やったよ。!!ルーナ!」
リナがルーナの方を向くと、ルーナはそこら中から血が飛び出し、倒れていた。
「みんなは先に行って!ルーナは僕が治す!」
「私も手伝う!」
「私も!」
その場にリーノとラノとリナが残り、残りのメンバーは頂上へと向かった。
「いた!」
ハルネがエミナを見つけると、すぐにそこへ駆け寄るが
「来るな!」
女神と天使がその場に立ち塞がり、ターナ達を拘束した。
(くっ、もう、体が動かない......)
(この人たち、強い!)
その場に動けないでいると、後ろから
「!!」
「輪......」
俺は走ってエミナの元へ行くと、巨漢の男がエミナをマグマへ落とした。
「くっ!」
俺はフラフラと走りながら、エミナの元へ行く。
「今だ!取り押さえて、落下させろ!!」
俺に向かって襲いかかってきた奴らを避け、スピードをあげる。
「くっ!お、おぉ、お前はあのハーフを愛すべきなのだ!さぁ、あいつを愛して死ね!!」
俺はその巨漢の男もスルーすると、
「愛すべき人じゃない、愛したい人なんだ!!」
崖から飛び降り、エミナの元へ落ちていく。
「!!輪!!」
俺は縛られていたエミナの縄を斬ると、空中で上手く掴めないエミナの手を掴もうとする。
「今度は、絶対に掴む!!」
「輪!!」
そして、俺とエミナは手を掴んだ。
「良かった、エミナ......」
「ありがとう、輪......」
手を掴むと、額を合わせ、俺たちは涙を流した。
すると、エミナは翼と天使の輪っかを出し、俺を乗せて、そこから飛び立った。
ターナ達はそれを見ながら、
「良かったですね、輪......」
「リーノ......」
アルンとパールとサタールがやっと火山に到着すると、リーノがルーナを治療している最中だった。
「どうしよう二人とも、ルーナの血が足りない、このままじゃ死んでしまう!」
「「!!」」
三人は走ってルーナの元へ駆け寄ると、ルーナの名前を必死に呼んだ。
「ルーナ!ルーナ!」
「お願い!起きて!ルーナ!」
「おい起きろルーナ!勝手に死んでんじゃねぇ!!」
どんどんルーナから血の気がなくなっていくのを見ながらアルンとパールは泣いた。
「そんな......」
リーノはそんな二人を見ながら、
「二人とも、確かルーナと同じ血だったよね?」
「?うん、私たちは原魔六血家だから、血は同じはずだけど。」
「ならいける!!」
リーノはアルンとパールの血を魔法でとると、直ぐにそれをルーナの体に流し込んだ。
「頼む、ルーナ、起きてくれ!」
しばらく経つと、ルーナから血の気が戻り、皮膚に艶が蘇る。
そして、
「はっ!!ここはどこ?私は美人?」
「ルーナー!」
アルンは泣きながらルーナを抱きしめる。
「うわうわうわ!どうしたんだお前ら、そんなに泣いて!誰かに虐められたのか?」
「バカ.....バカぁ!」
しばらく経つと、頂上から天使と女神が空に飛び立っていき、ターナ達が歩いてきた。
「ターナ、輪とエミナは?」
ターナはフッと笑い、
「もう大丈夫です。ではでは、私達もここで暮らす準備をしますか。」
「ねぇ輪、まずはどこへ行こうか!」
「そうだなぁ、どこに行こっか!」
エミナに体の傷を治してもらい、どこに行こうか話していた。
「そうだなぁ、まずは地の次元へ行く方法も探さないとなぁ。」
「そうだねぇ。」
人目につかない場所へ隠れると、俺たちはしばらくそのままでいた。
「ねぇ、輪!輪廻転生って知ってる?」
「お前が俺にかけた魔法だろ?」
エミナはフフっと笑うと、
「その魔法はね、人生に一度だけ効果がある魔法でね、魔法研究者の間じゃ、奇跡の魔法って言われてるんだよ!まぁ、使える人は私の知ってる限りでは、私だけだけどね。」
ふぅん、つまり俺はまた死ぬと二度と転生できないって訳か。
「それがどうしたんだ?」
「私、もしも死んだ時ように私自身にかけ」
ザンッ!
突然、そんな音が目の前でした。
俺は目の前の光景が信じられなかった。
さっきまであんなに楽しそうな顔をしていたエミナが驚いた表情でその場に倒れ、上半身と下半身が別れていた。
「え?エミナ......エミナ!エミナ!」
「り、輪......」
誰だ!誰がやった!
「!!」
そこにはあの時の巨漢の男が立っていた。
その男はニヤリと笑うと走って逃げ出そうとしていた。
「はっはっはっ!あとはお前だけだ、見ていろ!必ずいつか殺してやるからな!!」
すぐに俺はオーバーアイを使い、そいつを捕まえると、剣を抜く。
「ひっ!ま、待て、もうすぐここに援軍が来る!大人しくして」
ザンッ!
俺はまず左腕を切った。
「あぁ!儂の腕が!腕がー!」
次に右腕、右足、左足を斬り、最後に首を斬り落とす。
そして、何度も何度も心臓を突き刺す。
「おまえ!お前お前お前お前お前ー!!」
俺は涙を流しながら、何度もその男を刺していると、
「り......輪......」
エミナの声がした。
すぐに振り返るとこちらに向かって手を差し伸べていた。
エミナの元に戻り、手を掴むと、
「エミナ......死ぬな!治してやるから!今すぐこんな傷......」
しかし、俺の魔法では力不足のようで、治せなかった。
「輪......話を聞いて......」
「エミナ......」
エミナは血反吐を吐くと、
「私、自分に輪廻転生魔法をかけたの。それでね、ここで死んでも、私は多分地の次元のどこかへ三年後に転生するの......」
エミナの体はどんどん光のように消えていく。
「だから、いつかまた私と会ったら、もっと強くなって、私を守って......そして、私を思い出して......お願い...ね......あぁ、あと、桜が見たいな......」
すると、エミナはボロボロになった俺のコートを掴み、
「嬉しい......私があげた......一番最初のプレゼント......こんなにボロボロになるまで使ってくれたなんて......」
そして、エミナは消えた。
「エミナ!エミナ!ああああああ!!」
俺は何も無くなった空間へ必死に手を差し伸べるが、何も感じない。
そして、ずっとエミナがいた場所を見つめていると、やがてルーナ達がやってきた。
「輪、エミナは......」
涙も枯れ果て、ルーナたちの方を見ると、みんなは察した様子でずっと黙っていた。
そして、さらにしばらく経ち、俺は立ち上がり、地の次元への扉へ向かい、コア・シティに戻る。
そして、俺はみんなの方を振り向くと、
「俺、修行する。」
「「「!!」」」
「誰よりも強くなって、いつかあいつとまた出会った時、あいつを守れるように。」
それを聞いたみんなは顔をフッとすると、
「私達もそれぞれ、修行することにしたんだ。」
俺たちは三年後にまたこのコア・シティで集まることを決めた。
すると、ルーナが拳を前に出し、俺たちを円のように集まらせた。
「お前ら、拳を出せ。」
そして、俺たちは素直に拳を前に出し、
「私たちは、三年後にまた、ここで会おう!!」
「「「おう!」」」
そして、俺たちは別れ、自身の道を進んでいった。
第一部 完




