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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第一部 再会
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第三十九話 春の華

 俺は目を覚ますと、そこは元の惑星とは違う惑星だった。

「ここは......」

 起き上がると、左の腰に違和感を感じ、視線を向けると、エミナがくれた剣、神威があった。

「ありがとう、エミナ。」

「ここは月だ。」

 突然声がし、視線を向けると、そこには俺そっくりの男がいた。

「あ、あなたは?」

「お前から別れた別人格、とでも言おうか。」


 思い出した、あの時の......


 俺は別人格に近づこうとすると、男は手に持ってる剣で俺を刺した。

「ぐああああ!!」

 俺は傷ついた場所を治癒魔法で治し、剣を抜く。

「今からお前を殺し、俺は俺になる。」


 なにいってんだこいつ......それに、ここが月って。


 横を見るとそこにはとてつもなく大きな惑星があった。

「あれは......」

「俺たちがさっきまでいた惑星だ。」

 俺は視線を別人格に向き直すと、別人格は目の前に迫っていた。

「くっ!」

 必死に剣で防御し、すぐに眼鏡を外そうとするが、眼鏡はなく、オーバーアイも発動していた。

「じゃぁ、オーバーアイを発動してもこのスピードって事なのか。」

 俺は怯えて、一歩引き下がる。

 が、すぐに剣を構える。


 あいつを助けに行くって、決めたんだ。


 それから俺は別人格に向かって走っていったが、別人格は目にも止まらぬスピードで消え、俺を攻撃していった。


 ま、全く見えない。


 オーバーアイを発動しても見えず、ひとつも攻撃を与えられずに俺はただ一方的に叩きのめされた。

 俺は魔法を詠唱し、発射する。

 すると、敵は剣に黒い影のような魔法を込め、俺の魔法を吸収した。

「返すぞ。」

「ぐっ!」

 別人格は魔力を込めると、俺に向かって、魔法を打ち返した。

 それが終わると、今度はリオンに最初に出会った時、撃たれた黒い魔法が飛び出してきた。

「くっ!」

 俺も剣に黒い影の魔法を付与し、相手の魔法を消す。

「これって......」

「はぁ!!」

 魔法を消した瞬間、敵が俺のところに近づき攻撃をする。

「ごほっ!」

 またもや見えず、攻撃を食らう。


 あれを、やってみるか......


 そして俺は、あることを試そうとし、魔法で煙幕を張る。

「ちっ!」


 今だ!!


 俺は息を吸い、そして吐く。もう一度吸い、吐く。次はもっと早く吸い、吐く。どんどん呼吸を早くすると、血がどんどん速く流れる。


 もっとだ、もっと速く。


 オーバーアイのおかげで、人並み外れた速さで呼吸をすると、段々と相手の動きが読めるようになってきた。

 血がとてつもない速さで脈を流れ、全ての神経が覚醒する。

 オーバーアイが発動した時の金色の目に、赤い線が出現する。

 そして、

「!!」

 俺は飛んできた魔法を全て見切り、斬った。

「何をした!」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!!」

無幻の鼓動、オーバードライブ

異次元の速さで呼吸を繰り返し、血の巡り、神経、その他諸々を人間離れした速さで行う。

それにより、全ての感覚が研ぎ澄まされ、身体能力、五感がパワーアップする。

 今度は俺から攻撃をすると、相手はギリギリで防御する。


 これでもまだ足りないのか!


 俺は剣を構え、必死に相手に攻撃を仕掛ける。

 相手は冷や汗を流しながら、ギリギリで防御し、時には反撃する。

 が、どれも決定打にはならず、有利にはならなかった。

(なるほど、だいたい分かってきたぞ。)

 俺は一瞬の隙も与えずに何度も攻撃する。

 そこに突如、覚醒した神経のおかげでそれまで受け流した攻撃とは違った種類の攻撃が喉に当たる。

それはナイフだった。

ナイフが突然喉元に出現し、喉に当たると、俺は呼吸を止めてしまった。

 すると、身体中から血が吹き出した。

「あ、ああああ、うぅ!ごほっ!」

 目からは血が流れ、喉から、腕から、足から、どんどん血が流れる。

「その能力は、一時的に神経を覚醒させ、身体能力、危機管理能力を底上げする技だろう?呼吸を使ってな。なら呼吸を止めればいい。」

 俺はナイフを抜き必死に治癒魔法をかける。

 が、上手く発動しない。


 魔力切れ......


 俺は流れる血を必死に止めようとしたが、あまりの痛みに転がり回った。


 い、痛い!こんなに痛いなんて!甘かった、認識が甘かったんだ。


 必死に転がり回ると俺は左につけてある剣に手が当たる。

「!!」

 それは、エミナから貰った剣、神威だった。


 そういえば、さっき使った黒い魔法は練習もせずに最初から使えていた。ほかの魔法は何度も練習してから出来たのに。


 そこで俺は、あることが分かった。

「そうか、そうだったんだな。」


 ふたつの剣も、このコートも、オーバーアイも、さっきの黒い影の魔法のような能力も


「全部、お前がくれたんだな、エミナ。」

 頭の中でエミナの顔が思い浮かぶ。

 一緒に歩いてる時の笑顔、一緒にご飯を食べる時の笑顔、一緒に話をする時の笑顔、ただひたすら、あいつの笑顔が思い浮かんだ。

「助けるさ、あいつを倒して、お前を。」

 俺は二つ目の剣を逆手に持ち、二刀流になり、構え、黒い能力を二つに付与する。

「それは、なんだ。」

 敵は俺の黒い能力を指さし、質問する。

「違ったんだ、これは魔法じゃなかったんだ、これは、エミナがくれた能力、名は幻影、俺の心次第で、この能力は攻撃を消す。幻の影がお前という真実を引きずり出す!」

 俺はもう一度呼吸を速くする。

 それを見た相手は

「させない!」

 とてつもないスピードで近づき、攻撃する。

 それをふたつの剣でギリギリ防御し、すぐにそこから離れる。

「ちっ!」

 何度も敵は俺を追ったが、その全てをギリギリでかわし、呼吸をする。

 そして、再び神経が覚醒した。


 行くぞ!


 そこからは攻防が何度も続いた。

 俺が攻撃をすると、相手は防御し、相手が攻撃をすれば俺が防御する。

「このっ!!」

 敵は剣先からビームを出すと、俺はそれを幻影で受け止め、反撃する。

「ちっ!」

 そんな攻防が何度も続くと、俺は技を繰り出した。

 左手に逆手で持ってる剣をくるりと回し、通常の持ち方にすると、


 二刀流、かまいたち


 二刀流でかまいたちを繰り出すと、敵はそれをモロに受ける。

「がはっ!こいつぅ!」

 すると、敵も一本の剣でかまいたちを繰り出す。

 それを避けようとすると、ギリギリのところで左腕が切断される。

「ぐっ!!」

 すぐにそこから離れると煙幕を張る。


 これで最後だ!


「ちっ、小癪な。!!」

 敵がこちらを向くと、俺は右手に持った剣、幻想を上に向ける。

「そうか、これで最後だな。」

 相手も剣を上に向ける。

 残り少ない魔力を使い、10個の魔法の玉を作る。

 相手も10個の玉を作ると、お互い玉と剣を相手に向け、同じ魔法を繰り出す。


 この魔法の名前は.....


「幻光ーーー!!」


 玉から魔力が剣先に集まると、一斉に魔法を発射し合い、衝突する。

「うおおおおおお!!」

 しばらく撃ち合い爆発が起こり、お互いに魔力が完全に尽きると、俺はすぐに敵の懐に入り込む。

「ッ!!」

 敵は俺の姿を見ると、後ずさるが、


 遅い!!これで、本当に最後。これが失敗したら俺は本当に終わりだ。


 最後の技、かまいたちを繰り出す。

 三つの斬撃を思い切り仕掛け、手応えを感じた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁぁぁ......」

 呼吸をゆっくりと戻し、敵の姿を見ると、敵は倒れていた。

「もう終わりだ、お前の勝ちだ、俺は消える。」

 俺は、もう一人の俺のそばに駆け寄き、しばらく考えると、

「いや、お前は俺なんだ。だから、また俺とひとつになってくれないか?」

 もう一人の俺ははぁと息を吐くと、

「ごめんだな、二度とお前と一つにはならない。まぁ、生まれ変わったら友達にでもなってやるよ。」

「そう......」

 すると、もう一人の俺は光のように消えていった。

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