第三十七話 冬の歌
「おーい、エミナーー!!どこだー!」
街の中を飛び回り、エミナを探すが、見当たらず、最後に行った城の中へ入っていった。
「とりあえず天使の輪っかと翼が生えたやつがエミナだから、見つけたら大声で呼んでくれ!」
ハルネ達にそう伝え、ルーナも城の中を探すが、いなかった。
「くそぉ、こうなったらこの魔法を使うしか。」
ルーナは城の前で詠唱をすると、地面に足跡が出現した。
「えーと、あ、この足だな。あっちに行ったようだ。」
「分かりました!」
キイとハルネとリーノを置いて、ルーナ達はもう一度空を飛び、足跡の痕跡を辿ると、場所はとてつもなく遠く、行くのに時間がかかった。
そして、やっとエミナのところに着くと、そこはマグマがある火山だった。
「おいおいおいおい、まさかここにエミナを落とせば生贄完了だとかいうやつじゃねーよな!」
ルーナ達は火山を走って登っていくと、そこにはたくさんの女神や天使がいた。
「!!お前ら、人間だな、ここは立ち入り禁止だ!帰れ!」
女神がルーナたちにそう告げるが、ルーナ達は逃げず、進もうとした。
「!!」
後ろから魔力を感じ、防御魔法を使う。
「なっ!人間ごときが、女神の魔法を防御するだと!」
ルーナは自身の手を見つめる。
(すげぇ、神器であるロンギヌスのおかげか?今までの魔法とはそもそもの質が違ぇ!これなら行ける。)
ルーナはロンギヌスの槍を使って敵を倒していく中、ターナは鍛錬屋で手に入れた錆びた刀を使い、戦っていた。
しかし、リオン、ラノとリナは戦う術がなく、近くの岩に身を隠していた。
「ぐっ!」
「ターナ、大丈夫か!」
「はい、大丈夫です。何故でしょう、この刀を抜いてから身体能力が上がったような気がするんです。」
しばらく攻防が続き、天使と女神の数がかなり減ると、
「おい!こっちを見ろ!」
「「!!」」
声のした方向を見ると、ラノとリナが首に光の剣を当てられながら、天使たちに拘束されていた。
「ラノ!リナ!」
ガンッ!
二人に気を引かれた瞬間、後ろからルーナが頭を思い切り叩かれ、気絶した。
「ルーナ!!」
急いで駆け寄り、ルーナの頭を見ると、血がどくどく流れ、このままでは死んでしまう。すぐに魔法を唱え、治癒する。
が、魔法は使えないのでいくら唱えても魔法は発動しない。
「そんな、いま、いま発動しなきゃ!お願いします!出て!お願い!治れ!治れ治れ治れ!治れー!」
そこに女神が現れ、頭を叩かれ横に吹っ飛ぶ。
「ぐぅ!」
ラノとリナの方を見ると、
「!!」
「痛い!痛いよぉ!」
「やめて!痛い!」
女神や天使はラノとリナの体に少しずつナイフで傷をつけていた。
「......!」
その瞬間、何かが切れた。
ターナの中で、切れてはいけないものがついに切れた。
ザンッ!
気づくとターナはラノとリナをいじめた奴らの後ろにおり、錆びた刀で首を切っていた。倒れた死体は光のように消え、錆びた刀がどんどん剥がれていった。
「あ!あれは!」
「まさか!」
「呪いの神器、ムラマサ!」
ターナは刀を構えると、いつの間に発動したのかゾーンと言われるものを使い、
「遅せぇよ」
その辺にいる女神共を斬り倒した。その死体達も先程と同じように光のように消え、その光の粒が刀にまとわりつく錆を消していく。そんなことなど気にせず、ターナは次の獲物を斬った。
「お前らは絶対に許さねぇ」
そして、何十人もの女神と天使を倒すと、
「ああああああああ!!!」
突如、ターナが苦しみだし、攻撃をやめる。
残った女神達は少し困惑したが、すぐに攻撃を開始する。
ターナは苦しみながら避けるが、やがて左腕がちぎれる。
「ぐっ!」
「やっちまえー!」
「がはっ!」
ターナに近づいてきた奴らが突然倒れ、ターナが倒れた方向を見ると、
「サンキューな、ターナ、私たちのために怒ってくれて。」
ルーナは頭から血をダラダラ流し、ターナの後ろについた。
「安心しろ、後ろは私が守るぜ!」
「......」
(そうだ、落ち着きなさい私。ムラマサ......と言いましたね、あなたの名前。......とてもいい名前だと思います。)
カッ!!
突如、ムラマサが光だし、形が変わった。
それは禍々しさを保ちながらも、己の信念を貫くようなものを感じた。
神器はものによって使用者によって形が変わることがある。
それは、使用者を認めた時や、色々な時など様々である。
「行けるか、ターナ!」
「はい、行けます!」
そして、二人で全員の女神と天使を相手取る。
「ロンギヌス、行くぜ!初戦だ!」
「ムラマサ、切り裂いてください。」
天の次元に来た時はたった一人の女神にも太刀打ち出来なかった2人が、神器を持つことによって女神と天使を数人倒すぐらいの成長を遂げた。
2人は傷つきながらも、周りの天使や女神を倒していき、
「終わったー!!」
「終わりましたー!」
やっと全員を倒しその場に倒れ、しばらく休むと、ラノとリナがやってきた。
「二人とも、ありがとう!」
「ありがとう!」
「おぉ、ラノとリナ、ちょっと待ってろ、治癒魔法かけてやるから。」
ルーナがラノとリナに治癒魔法をかけ、ターナにもかけようとするが、上手く発動せず、
「魔力切れ?」
「私は大丈夫です。それに、あと少しで。」
「おーい、みんなぁ!!」
下からハルネとキイとリーノがやってきた。
「ハルネ、例のやつあったか?」
「うん、あったよ!アルンさんの杖!」
そう言ってハルネはルーナにアルンの杖を渡した。
それからリーノに治療をしてもらい、ルーナとターナはちょっとまだ頭がフラフラするが、
「よっし、それじゃ、頂上へ向かうか!」
「ちょっと待ってください、リオンはどこですか?」
ターナの言葉に皆が周りを見渡すが、リオンはどこにもいなかった。
「私たちがリオンさんを探しに行ってくるね。」
そう言ってハルネとキイとリーノはその場に留まった。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
「どこだーい、でてこないと分からないよー。」
リオンは火山から引き離した天使と女神を引き連れて森の中へ身を隠していた。
(ルーナとターナのために連れてきたけど、失敗だったかな。)
リオンは輪のことを考える。
(いや、私に出来ることなんてこのくらいしかないんだから。)
リオンはさらに奥へ進もうとすると、
「みーつけた!」
女神に見つかってしまい、必死に反対の方向へ逃げるが、
「逃がさないよ。」
腕を掴まれてしまう。
「離して!お願い離して!」
「ダメだ、人間であるお前は死刑だ。」
腕から逃れるため、もがいていると、
「妾のご主人様に触らないで貰えます?」
ボンッ!
玉藻の前が現れ、目の前の女神を殴り飛ばした。
「玉藻の前!ありがとう!」
「ご主人様、ここでお待ちを。ちゃっちゃとあのもの達を、倒してきますので。」
玉藻の前が女神達と戦闘になり、どんどん出てくる敵を倒していくと、置くからとてつもない気配を感じた。
「こいつ......」
目の前には他の天使とは比べ物にならないほどの気配を持った天使がいた。
「あなた、名前は?」
「ガブリエル、君は玉藻の前だね。裏の世界の妖怪が、なぜ地の次元に?とっとと自分の世界に戻りな。」
「黙りなさい、妾が相手になってあげるわ。」
ガブリエルと玉藻の前がぶつかり、最初は玉藻の前が有利かと思ったが、
「!?」
ガブリエルの一撃で玉藻の前が遠くに吹っ飛び、戻ってこなかった。
「玉藻の前!玉藻の前!」
いくら叫んでも玉藻の前は来ず、目の前にガブリエルが歩いてきた。
「それじゃ、人間撲殺ー!」
ドンッ
しかし、ギリギリで玉藻の前が現れ、横からガブリエルを殴りかかった。
玉藻の前は血をダラダラと流し、左腕を抑えていた。
「あれぇ?死んだと思ったのにー?」
玉藻の前は目に流れた血を振り払うと、リオンの方を見た。
(今ここで使ってもいいけど、それにはご主人様の身が......)
玉藻の前が迷っていると、
「いいよ、玉藻、やって.....」
玉藻の前が驚いた顔でリオンの顔を見る。
「やって!」
その声を聞いた玉藻の前は嬉しそうに喜んだ。
「ありがとうご主人様!この玉藻の前、本気の本気でやらしてもらうわ。一尾でも三尾どころでもない、九尾の力を!」




