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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第一部 再会
33/76

第三十二話 春の歌 その二

 目の前の女性は女神の方を向くと、

「ここは、引いてもらうよ。」

「貴様、まさかあの?悪いが、その人間共と一緒に貴様も着いてきてもらおう。」

 女性ははぁと息を吐くと、俺たちの方を向き、

「癒しの大地。」

 俺たちの場所に元々生えていた草原からさらに草や花が生え、瞬時に傷が治っていった。

「こ、これは。」

「すげー、ぴんぴんになった。」

 ルーナ達も目を覚ますと、女性は女神の方を向き直し、腕から光の剣を出現させると、

「!?」

 目にも止まらぬスピードで女神の後ろに周り、これまた目にも止まらぬスピードで出現させた光の剣で腹を貫いた。

「がはっ!?ちっ!!」

 貫かれた女神はその場から離れ、どこかへ行ってしまった。

「助けてくれてありがとうございます!」

「サンキューな」

「サンキュー」

 光の剣を消すと、女性は俺の目の前に立ち

「初めまして、えと、輪。あの、覚えてる?生と死の狭間で何度か会ったんだけど。」

 女性が顔を赤める。

「え、えと、うん、覚えてる。」


 生と死の狭間?あの暗闇の空間のことか?


「なぁ、あんたの名前はなんて言うんだ?」

 ルーナが女性に質問すると、女性は少し考えると、

「私の名前はエミナ。天使と女神のハーフなの。それでね、あの、輪!」

「は、はい。」

 エミナという女性は俺の手を掴むと、

「ずっと、会いたかった。ずっと、こうして触れたかった。ありがとう、来てくれて。」

 エミナは泣きながらそう言い、俺たちは困惑した。

「おーい、みんなー!」

 洞窟で待機させといたリオンとラノとリナがこちらに走ってくるのが見え、エミナのことを伝えた。

「よろしくエミナ、私はリオン。この子達はラノとリナ。」

 泣き止んだエミナは3人に自己紹介をした。






「とりあえず、街に案内するね。あ、これちょっと守ってもらいたいんだけど、私が天使と女神のハーフってことは内緒にね。」

「なんで?」

「ちょっとこみいった事情があって。」

「まぁ、本人がそう言うんなら言わないわ。」

 しばらく歩き、街が見えると、

「みんなここに並んで。」

 言われた通りに並ぶとエミナから俺たちへ魔法陣が移り、しばらく経つと、魔法陣が消えた。

「なにしたんだ?あれ、お宅ら髪が銀色に、それに翼や輪っかも」

「お前もだぞ。」

 みんなの姿を見ると、翼がある人だったり天使の輪っかがある人がいたり、髪も銀色に変わっていた。

 エミナの方を見ると、さっきまであった天使の輪っかが消え、翼だけになった。

「あなた達は人間だからね、ここの人達にバレたら大変だから。それじゃ、レッツゴー!!」

 街の中に入ると、たくさんの天使や女神がいた。

「おお!これが天の次元の街!ほらほらアルン、パール!行くぞー!」

 ルーナがアルンとパールの手を引き、走り出すと、リオンとターナとラノとリナもそれを追いかけ、その場は俺とエミナだけになった。

「......」

「......」


 やばい、どう会話すればいいんだ。


 しばらく無言が続き、やっと話す内容がまとまると、

「あの」

「あの」

 話すタイミングが被ってしまった。

「あ、お先にどうぞ」

「あ、いえいえそちらこそ」

「いやいやそっちが」

「そんなそんなそっちが」

「......」

「......」

 お互い相手に話す内容を譲り合い、結局何も話せなかった。

「それじゃ、あの店に入ろうか。奢るから。」

 俺が指さした先には飲食店があり、それを聞いたエミナは嬉しそうに入ってった。






「あ、あ、あ、あ、」

 目の前の光景は異様だった。

 次から次へと運ばれてくる料理をエミナはお皿が綺麗になるまで食べ続け、おおよそ1人では食べきれない量をペロッと食べてしまった。

「ふー、美味しかったー!ご馳走様ー!」

 結局店側がお金はいらないから出てってくれと土下座をして、エミナは食べるのを辞めた。

「腹八分目って言うしね。」







 それからも何件かの飲食店に入り、どの店も金入らないからと追い出された。

「あー、美味しかったー。」


 この人の胃袋はブラックホールか......


 街中を歩いていくと食べ物を両手に持った見覚えのある人達と出会った。

「ルーナ......」

 その仲間たちは口にたくさんの食べ物を頬張りながら両手にも沢山の食べ物を持っていた。

「ほお、ひん、ほほおはえほほふっへふはひほ(よお、輪、ここの食べ物すっげーうまいぞ。)」

「ふあふいへふあふいへほんはひはっふぁっはほ(うますぎてうますぎてこんなに買っちゃったよ。)」


こいつら全員飯のことしか考えてない......


 ルーナ達とも合流し、俺たちは宿に歩いていった。





「ふう、次の人、シャワーいいですよ。」

 順番にシャワーを浴び、最後である俺の番になると、俺はタオルを持ってシャワー室へ行った。


 そういえば、なんでエミナは俺をこの世界に呼んだんだろう。シャワーから出たら聞いてみるか。


 シャワー室から出て、エミナにその事を質問しようとすると、

「......」

 俺以外のみんなは全員眠っており、

「明日聞けばいっか。」

 ふと、エミナが寝ているベッドに座り、エミナの顔を見る。

「......」

 しばらく顔を見ていると、何故か俺はエミナのほっぺたをツンと触る。

「は!?」


 俺は何をやっているんだ、寝るか。


 そうして、俺は自分のベッドに横たわり、眠りについた。








 かんかんかんかん

「起きてくださーい!!」

 久しぶりのターナの起きてくださいを聞き、大人しく起き、顔を洗う。

 洗面所に行くと、エミナがおり、顔を洗っていた。

「あ、おはよう、輪。」

「お、おはようエミナ。」

 昨晩のことを思い出すと、恥ずかしくなり、顔を洗うと俺はすぐに出ていった。

「ほらほらほらほら起きてください3人とも。」

「いーやーだー!」

「逆に考えるんだ、起きたら負けじゃない?」

「眠気が止まらなーいやめられなーい。」

 全然起きない三人をターナは必死で起こし、朝飯になる頃に三人は目を覚ました。

「むっしゃむっしゃ。」

「んまいんまい。」

 朝ごはんを食べ終わり、この後の予定を相談する。

「私とターナとラノとリナは図書館に行くわ。調べたいものが沢山あるから。」

「私とアルンとリオンはまたこの街を回ろうかね」


 俺はどうしようかな。


 俺とエミナ以外が宿から出て、部屋に俺たちしかいなくなるとエミナは、

「ねぇ、この街だけじゃなくて他の街も紹介してあげる。」

「え?」








「わああああああああ!!」

 エミナの背中に乗り、街から出ると、エミナはとてつもないスピードで空を飛んでいた。

「どう?輪速いでしょー!!」

「うん!とっても速いーー!!」


地面を見てみると、そこは森やらなんやらで、街はそんなにたくさんはなかった。

「開拓が全然進んでないからねぇ、というか開拓する気がない感じかなぁ。」


地の次元と似たような感じだな


「ふー、はがべっ!!」

飛ぶ速さにも慣れてきたところで突然エミナがその場に止まった。

「着いたよ、ここが次の街」

あの速さでここまでの時間ということは凄く遠い街なのだろう。

降りて街に入ると、そこには最初に来た街と同じように生きている人間が天使と女神なだけで、光景は地の次元とあまり変わりはなかった。

「さ!いこ輪!」

「え?行くってどこに?」

俺がそう言うと、エミナはへっ?とした表情になり、少し考えた。

「えーと、そうだ店を一つ一つ見ていこ!いいでしょ?」

「あうん」

そうして、近くにある店から入っていく。






「ふーー!」

一通り店を見て周り、ベンチに座る。

「あの、楽しくなかった?」

エミナが不安そうに聞く。

「いや、新鮮だった、ただ店を見て回っただけなのに、一緒にいる人がいるだけでこんなに楽しくなるんだね。」

それを聞いたエミナは、とても嬉しそうな顔になり、

「ほ、ほんと!?私と一緒で楽しかった?」

「うん、本当に楽しかった。」

エミナはベンチから立ち上がり、子供みたいにはしゃいだ。

「よしよしよしよしよし、やったやった」

それからしばらくベンチに2人で座っていると、エミナがそーっと手を動かす。

そして、その手を俺の手の上に添え、俺の肩にもたれかかる。


寝ちゃったのか?


そう思い、エミナの顔を覗くと、


「......くす」

エミナは寝てはおらず、からかうような表情だった。

「む」

ちょっとそれが悔しくそっぽを向いた。


実際にエミナ会うのは初めてなのに、なんでこんなに落ち着くんだろう、ずっとこうしていたいような......








 あっという間に夕方になると、俺たちは元いた街に戻った。

「それじゃ宿に帰ろっか。」

「ごめん、輪、私ちょっとここで別れるね。」

「え?」

 突然のことに困惑していると、エミナはその場からすぐに消えていった。

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