第三十話 コア・シティ
「はぁ、はぁ、はぁ、こ、こ、こ、ここはどこだーー!!!」
どこを見渡しても砂漠の中でルーナは叫んだ。
暗殺チーム百鬼夜行を倒したあと、追っ手が来ないよう寝る間も惜しんで山を登り、俺たちは砂漠を旅していた。
「おいパール!ほんとにこの先にコア・シティあるのかよ!砂漠に来てからどんだけ日にちたったと思ってんだ。」
「あともう少しのはずだけど。」
「それ前から聞いてるんだが!一週間前からずっと同じこと聞いてんだけど?」
「じゃぁ箒に乗って先を見てきてよ。」
ルーナは箒に乗り、先まで見に行ってる間、俺たちはその場で一休みをしていた。
「でも、ルーナの言う通り、全然街が見えないな。」
「ハルネが実際に行ってマッピングしたからルートは間違ってないはずだけど。」
俺とパールがそんなことを話していると、ラノとリナが
「私たちもう歩けなーい」
「けなーい」
それに続いて、アルンとターナも
「私ももう無理ー。」
「街が見えたとしてももう歩けませーん。」
しばらく経つと、ルーナが物凄い勢いで戻ってきた。
「おいお前ら!街だ!!超でっかい街があったぞーー!!」
「え?ほんとか?やっぶへ!」
俺が喜んで走ろうとした瞬間、後ろにいた奴らに体を踏まれた。
そのままやつらは俺の事なんか気にもとめずに、街へと走っていった。
「おじさんおじさん!水と食べ物沢山用意してくれ!なんでもいいからたくさん!」
「あとから仲間が来るんでどんどん料理出してください!!」
結局先にコア・シティに着いたのは体力のあるルーナとターナだった。
「はいよ」
おじさんがカウンターからたくさんの料理と水を出すと、2人はそれらを一気に口に含みどんどん食べていった。
しばらく経つと息切れを起こしながらアルン達が入ってきた。
「もぐもぐもぐ、あうん、ほおひょうひほへほふあいほ(アルン、この料理とてもうまいぞ)」
「ほあほあひあさんほ、はふはんはへはひょう(ほらほらみなさんも、沢山食べましょう)」
全員テーブルにつくと、料理を片っ端からたいらげていった。
「ふぅ、うまかったー!」
出された料理を全て食べ終わると、俺たちは宿を取りに行った。
「それじゃ、天の次元に行くのは明日にして今日は休みましょうか。」
俺以外のみんながシャワーを浴びに行き、俺は街を見たくなったので宿から街に出た。
「ふーん、さすがコア・シティ。ほかの街より高級そうな建物がたくさんあるな。」
いくつかの食べ物を持ちながら街を歩き回っていると、街の人達がざわめいていることに気づいた。
なんだなんだ?
「もうこの街はおしまいだー!!」
「早く逃げましょう!」
街の人達がそんなことを言っている中、中央にいる人が話した。
「これからこの街にあの神獣、獅子が来る!その獅子を倒すため、勇気あるものは集まってくれ!!」
獅子?神獣?なんだそれ?
とりあえず街のピンチなら助けなくてはと思い、ほかの人達と一緒に獅子が来る門に歩いた。
門の前でしばらく待つと、遠くからそれはでかい獅子と普通サイズの獅子が走ってくるのが見えた。
「かかれーー!!」
男がそう言うと、他の人たちも叫びながら獅子へと向かった。
「よし。」
俺も今までの旅で強くなったはずだ。普通サイズの獅子ぐらいなら。
男たちと一緒に走り出し、一匹の獅子と相対すると、メガネを外した。
「頼む、発動してくれ。オーバーアイ!」
しかし、
「発動しない!?くそっ!」
オーバーアイは発動しなかった。
「このままやるしかないのか。」
俺に向かって来る獅子のかみつきを剣でガードし、一旦引くと、獅子はその勢いのまま俺のコートを切り裂いた。
そういえば、今までの戦いでボロボロだな、このコートも。
「くっ!かまいた!!」
俺は自分の技、かまいたちを出そうとしたが、そこでターナに言われたことを思い出した。
「いいですか輪、かまいたちは確かに強力な技ですが、あくまで人に対しては有効な技です。獣にはあまり期待しないでください。」
だったら
俺はかまいたちを出すのをやめ、獅子からの攻撃をギリギリ横にかわすと、獅子の首辺りを剣で斬った。
「や、やった。」
周りを見ると、他の男たちは俺よりも早く獅子を倒しており、そこら中に獅子の死体があった。
「すごい......」
しかし、一匹のでかい獅子の方を見ると、あんなに強かった男たちが血まみれで倒れていた。
「え...嘘......」
その場に立っているのは俺一人だった。
恐怖で足がすくみその場から動けないでいると、獅子がそのでかい手で俺をなぎ払った。
「げほっごほっ!」
倒れた場所からすぐに立ち上がり、剣を構える。
「あれを試してみるか。」
剣を上に向けそこに魔力を集中させる。
ぽん!
剣の先に小さな光の玉が現れ、それを確認した俺は剣と光の玉を獅子に向ける。
「はああああああ!!」
光の玉から小さなビームが発射され、獅子に当たる。
しかし、獅子はなんともない様子で次の攻撃を仕掛けた。
「そんなっ!」
攻撃が当たる瞬間、いきなり獅子の動きが遅くなった。
オーバーアイが発動したんだ!
いつまた効果が消えるか分からないので、獅子からの攻撃を避けると、さっきやったのと同じことを始める。
今度はひとつじゃなく、もっと沢山......時間はあるんだ
まず1つ目の光の玉を作る。次に2つ目、さらに3つ目、合計10個の玉を作る。
剣を獅子に向け、10個の光の玉から魔力を集め、大きなビームを放つ。
「ぎゃあああああ!!」
初めて使う魔法だったので、狙いが定まらず、獅子の体にかすっただけだった。
そして、獅子が噛み付こうとしたところを避けようとすると、いきなり動きが早くなった。
ここで効果切れるのか!
オーバーアイの効果が消え、獅子に噛みつかれる。
「あああああ!!あああああ!!」
とてつもない痛みを感じながら何とか逃げ出そうとしたが、抜け出せずにいると、
「おらぁああ!!」
倒れていた男たちが一斉に攻撃を始めた。
「あんな子供が頑張ってんだ!俺達も頑張らなきゃダメだろー!!」
男たちのおかげで獅子から抜け出すと、俺はすぐに自分に治癒魔法をかけた。
「おい兄ちゃん、さっきの魔法、もう一度使えるか?」
俺の元に駆け寄った男が聞き、俺はもう一度あの魔法を使うことにした。
「あの魔法を使うには光の玉を10個作らなきゃいけないんだけど。時間さえ稼げれば。」
「任せろ!!」
男が獅子の方へ走っていくと、俺はすぐに魔力を集中させ、玉を作る。
獅子に男たちがなぎ払われるのを見ながら、急いで玉を作る。
ほとんどの男たちが倒れた時、ついに10個の玉が完成する。
「できたぞー!離れろー!!」
獅子に向かって大きなビームを放ち、獅子に当たると、腹に大きな穴が空き、倒れる。
「やったーー!!」
「わーーい!!」
やった、倒せた。
俺がその場に崩れ落ちると、周りの男たちが集まり胴上げをされた。
「わーしょい!わーしょい!」
「わわわ!わー!」
「なんだこれ」
「ちょっと眠ってたらいつの間にかお祭り騒ぎ。」
ルーナ達が宿で睡眠を取り、目覚めると最初に来た時とは違って、お祭りのような騒ぎだった。
「あ、おーい輪ー!!」
「あ、お前ら起きたんだ。」
ルーナ達に事情を説明すると、ターナが関心した様子で、
「ほぉ、そんな技を。やりますねぇ。」
ターナと話しているとルーナとアルンがいつの間にか屋台からたくさんの食べ物を持ってきていた。
「食べようぜ食べようぜ!」
そこから俺たちはお祭りを楽しんだ後、宿に戻り眠りについた。
「それじゃ、みんな忘れ物はないわね?」
宿で荷物をまとめ、コア・シティの中央にある大木、ユグドラシルへと行った。
「それじゃみんな、これから天の次元に行くけど、天の次元にはどんな人がいるかわからないわ。十分気をつけるのよ。」
「大丈夫だって、私たちならどんな敵でも心配ないって。」
そうだ、俺たちならやっていける俺たちなら
そして、パールが魔法を唱え、俺たちは天の次元へと向かった。
「そ、そんな......」
周りを見ると、血だらけで倒れてるルーナ達がいた。全員動けそうになく、俺も立ち上がれそうになかった。
「これが、天の次元......」




