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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第一部 生きている世界
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第二十九話 百鬼夜行3

「アルン、大丈夫?」

 アルンの目が覚め、パールが安堵した表情を浮かべると、

「あれ?私、どうしたんだっけ?」

「ゼロに耳をほじくられたのよ。私が治癒魔法をかけたからもう大丈夫だけど、あと少しでも遅れていたら、死んでたわ。」

「そう、ありがとう。ルーナと輪は?」

 アルンが聞くと、パールは深刻そうな顔で、

「輪はゼロに連れていかれてそれをルーナが追っていったけど。」

「私も追う。傷はもう大丈夫。パールも自分の傷を治癒して。」

 アルンがルーナが向かった先に行こうとすると、奥からルーナが吹っ飛んできた。

「ルーナ!!」

「ちくしょう!みんな気をつけろ!あいつ、まじでやばい!」

 そう言うと、すぐにルーナは両手に魔力を込める。

 アルンとパールも魔力を込め、弓矢と銃を出現させる。

 森の奥からゼロがものすごいスピードで飛び出し、

「来たぞ!!」

 ルーナがそう叫び、ゼロの元に飛んだ。

「ライトニングボルト、三連射!!」

 ルーナが魔法を出すために腕を差し出すと、ゼロはその腕を掴み、折った。

「ぎゃあああああああああ!!」

「ルーナー!!」

 ルーナはその場に倒れ込み、ゼロがルーナの頭を掴もうとすると、

「ルーナに、なにすんのよー!」

 アルンがゼロの体に何本もの矢を構え、一気に突き刺す。パールも銃をかまえ、一斉に撃つ。

 アルンとパールの攻撃は全てゼロに当たったが、ゼロはそんなことなど気にせず、ルーナの髪の毛を掴む。

「ああ、ああ!」

 ルーナを地面に叩きつけようとした瞬間、ゼロの腕が落ちた。

「ターナ!」

 ターナがゼロの腕を斬り、ルーナを解放すると、すぐに刀を構える。

「遅れてすいません。」

「ターナ、サンキューな。」

「1度体制を立て直しましょう。」

 そう言うと、パールが魔法で煙を発生させ、その隙に4人で逃げた。




「ルーナ、早く治癒を。」

「あぁ、だがその前に作戦があるんだ。」

「作戦?」

 3人がルーナの方を見ながら作戦の内容を聞くと、

「いちかばちかね。」

「ああ、これで効かなかったら、私たちはおしまいだ......パール!!」

「え?」

 ちゅん

 後ろからゼロが現れ、パールの両目を潰した。

「きゃあああああ!!」

 パールが両目を抑えながら断末魔を上げると、

「パール!仕方がない、お前はここで治癒してろ!あとは作戦通りに行くぞ!」

 ターナが刀を抜き、ゼロに斬り掛かるが、それをゼロは難なくかわし、次にルーナが魔法を使い、攻撃する。2人の攻撃を余裕そうに受け止め、それが何度か続くと、

「2人とも、詠唱が終わったよ!離れて!」

 アルンが叫ぶと、2人はゼロから離れる。

「極魔法、リヴァイアサンアロー!!」

 空から雨が降り、その雨全てが龍の姿になり、ゼロに向かって突き刺さる。

「これで!!おしまい!!!」

 最後に雨粒がひとつの大きな龍になり、ゼロの体を貫く。

「やったぞ!」

 ゼロの体を見ると、身体中、極魔法によってズタズタにされていた。

「これで生きてたら、正真正銘の化け物だ。」

 そう思った瞬間、ゼロの体が動くのを見た。

「「!!」」

 すぐにルーナがゼロの体に跨り、魔法を拳に込める。

「ありったけの攻撃をするんだ!!」

 そう言って、ゼロの顔を何度も何度も殴った。ほかのみんなもそれぞれの攻撃を入れ、ゼロが立ち上がれないようにした。

「うおおおおおおおお!!!」

 そして、しばらくそんな攻撃が続き、最後にルーナが顎にアッパーを食らわせると、ゼロは奥の木まで吹っ飛んだ。

 だが、

「あいつ、まだ生きてますね。」

「でも、私たちから逃げようとしています。」

「もう、私にはあいつを追う余裕はねーや。」

 3人がその場に倒れ込み、アルンがパールの傷を治していると、

「はっ!あの人が向かった先にたしか輪がいましたよね!」

 その言葉に全員がはっとし、すぐにおいかけようとしたが、ターナ以外の3人は体の傷で追いかけることが出来なかった。

「輪、無事でいてください。」







「はぁ!はぁ!はぁ!」

 ゼロはあの4人から逃げるために森の中を走っていくと、力尽きたのかその場に倒れた。

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 しかし、しばらく休めばまた動けるので、倒れたままでいると、

「見つけた......」

 完全に理性をなくしたゼロが恐怖するほど、後ろから殺気が漂っていた。

「殺す......殺す......」

 俺はふらふらと歩きながらゼロの体に近づくと、残った右手で、ゼロの右腕をちぎり、左腕もちぎる腹を破り内蔵をばらまくと、今度は目を取り出した。そして、何度も何度も、ゼロの腹の中や目玉、舌、をちぎってちぎっていくと、ゼロは完全に動かなくなった。それでも俺が色々な箇所をちぎったりしていると後ろから声がした。

「輪!」

 ターナの声だ。その言葉で我に返った俺は目の前の物体を見て、吐いた。

「おえっ!おえー!!」

 俺が、やったのか?俺が、殺したのか?

「うぅ、おえっ!うぅ。」

 泣きながら、嘔吐を繰り返す俺の体をターナは揺すり、俺を背負ってみんなの元へ戻って行った。その間、俺は意識を失った。








「またか。」

 もう既に見慣れた景色である真っ暗な空間で俺は先程のことを考えた。

 俺が殺したんだ。俺が......

「う、うぅ。」

 目から涙を流し、その場にしばらくうずくまっていた。

 その後、俺はあることに気づく。

 いつもこの空間にいた女性が出てこないのだ。

 なんでだろう、いつもいたのに。

 そんなことを考えていると、俺はまた意識を失った。



「輪!起きたんですね!よかったー!」

 目を覚ますと、そこは森の中のようで、アルン以外の全員が集まっていた。

「えと、どうなったんだ?」

 俺がターナに聞くと、

「ゼロは倒しました。今は、みんなで戦いの傷を癒しているんです。」

 見ると、パールの両目に包帯が巻かれており、ルーナの両腕にも包帯が巻かれていた。

 俺の体にも右目に包帯が巻かれていた。

「しばらくはここで野宿をしながら、みんなの回復を待ちます。」

「わかった。」

 しばらく経つと、アルンが戻ってきて、みんなに伝えた。

「ゼロの死体から調べたけど、やっぱり百鬼夜行っていう暗殺チームは世界最高との呼び声も高いチームなんだそう。さらに、私たちの両親からの刺客みたい。」

「つまり、私たちはその刺客を返り討ちにしたってわけだ。いいねぇ!」

 ルーナが喜ぶ顔を見せると、ラノとリナもお互いにハイタッチをした。

「しかし、こうなると、アルンたちの両親も死にものぐるいでアルン達を捕まえようとしにきますね。ルーナの両親と百鬼夜行のチームを返り討ちにしたのですから。」

 ターナがそう呟くと、パールが起き上がり、

「えぇ、そうね。一刻も早くコア・シティに行かなくちゃ。私たちの傷が治ったら街にはよらずに直行でコア・シティに行くわよ。」

「大丈夫だ、私たちはあの百鬼夜行を倒したんだぜ?私たちならどんな敵も倒せるさ。」

 そして、俺たちは森から出て、山へと入っていった。

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