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無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第一部 生きている世界
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第二十六話 それぞれの祭り

「そういえば、みんなはなんで旅をしてるの?」

 湯船に浸かっていると、ネロがそんな質問をした。

「私たちはコア・シティを目指してるの。」

 アルンがそう答えると、ネロは驚いた顔をした。

「コア・シティって、少し遠いところじゃない。」

「えぇ、わかってるわ。でも、私たちは行くの。」

 ネロはしばらく呆気に取られると、黄色の髪をなびかせた。

「じゃあ、私から後でプレゼントをあげるわ。」

 パール達はそれを聞き、喜び、すぐにお風呂から出ていった。



「おーい、りーん!早く出てこーい!」

 ルーナの声が聞こえ、俺はお風呂から出ると、ルーナたちがニヤニヤした顔で待っていた。

「なんでニヤニヤしてるんだ?」

「ネロがな、プレゼントくれるんだってよ。」


 プレゼント?


 ルーナ達は楽しそうにネロの部屋へ歩いていった。

 ネロの部屋に入ると、早速ネロが大きい袋を渡してきた。

「なんだこれ、なにがはいって!?」

 袋の中身を見た途端、全員の目が飛び出す。

「こここここんなたくさんのお金......わわわわ悪いわよ。」

 パールが袋を返そうとしたが、ネロはそれを拒否した。

「いいのよ、この街を救ってくれたお礼。」

「そ、そう?なら、貰うわ。ありがとうね、ネロ。」

 お金の入った袋を時空収納にしまうと、ルーナが、

「なぁなぁ、街に行こうぜ。せっかくの祭りなんだから。」

 と言い、アルンの手を引っ張って街に走っていった。




 俺達も走ってルーナ達を追いかけると、既に2人はたくさんの食べ物を買っていた。

「ほほおはいはいふおうふあいへ。(ここのたい焼きすごくうまいぜ。)」

「あはひおひいほおふへ(私といい勝負ね。)」

 パールは呆れた顔をしながら、ルーナたちが手に持ってる食べ物を持った。

「おーい!早く来いよお前ら!!」

 いつの間に食べ終わったのか、ルーナは次の店に走って行ってしまった。

「あ、待ってくださいよルーナ!」

 ルーナに追いつけることが出来たのはターナ1人で、俺たちは途中で疲れて追いかけるのをやめてしまった。

「しょうがないわね、私達も色々回りましょうか。」

 パールがそう言い、歩こうとすると、ネロが引き止めた。

「ねぇパール、ちょっと寄りたいとこがあるんだけど、二人で一緒に行かない?」

 パールは俺たちの方を見たが、俺たちは気にせず行ってこいと言うと、パールはネロと一緒に歩いていった。

「ねぇ輪、私達も二人で回らない?」

 リオンがそう言い出すと、俺の返答を聞かずに、手を引っ張られ、走っていった。




「ここの飲み物すごく美味しいわ。パールも飲んで飲んで。」

 ネロが自分の分の飲み物をパールに差し出すと、パールはそれをひと口飲んだ。

「本当、美味しいわ。私の分もどうぞ。」

 パールが自分の飲み物をネロに差し出し、ネロはそれをひと口飲む。

「美味しい、すごく美味しい。パールと一緒だから、こんなに美味しいのかしら。」

 ネロがそう言った途端、パールは顔を赤くした。

「べ、べつに私がいようといまいと変わらないわよ。」

 パールの顔を見て、ネロはふふっと笑い、自分の飲み物を飲む。

 しばらく雑談をしていると、突然ネロが顔を落ち込ませた。

「どうしたの?私嫌なことでも言っちゃった?」

 パールは心配そうな顔でネロを見た。

「ううん、違うの。パール、私ね将来結婚するの。」

 思ってもなかったことにパールが少し驚くが、すぐにいつもの顔に戻った。

「あら、良かったじゃない。おめでとう。」

「でもね、私はその人と結婚したくないの。私、他に好きな人がいるの。」

 パールは困ったような顔をし、

「ええと、なら、その事をご両親に言ってみたら?他に好きな人がいるから、その人と結婚したいって。」

 ネロはしばらく、顔を俯かせていた。

「結婚相手は、私の両親が決めることになっているの。それに、私の好きな人は最近会ったばかりだから、両親もそんな人と結婚だなんて。」

 ネロがずっと悲しそうな顔をしているのを見て、パールは立ち上がった。

「外に出ましょうか。」

 ネロの手を引き、店を出てしばらく無言のまま歩いた。

「......」

「......」

(辛気臭くなっちゃったわね。)

 パールはネロになんて言おうかと迷っていると、ネロが話し出した。

「ごめんなさいね、突然こんなこと言い出して。困ってるよね。」

「いや、いいのよ別に。力になれなくてごめんなさい。」

 道端のベンチに座り、無言が続いていき、ふとパールがネロの顔を見ると、ネロは寝てしまっていた。

「ふふ、こうしてみると、普通のどこにでもいる女の子ね。」

 ネロのほっぺたをつんつんと指でつつき、パールは空を見た。

「いい天気ね。」




「ルーナ、待ってくださいよー!」

 一つのレストランの前でルーナが止まり、やっと追いついたターナは自分以外の仲間がいないことに気づく。

「あ......」

「ターナ、ここで飯食おうぜ!」

 ルーナはそう言って、レストランの中に入っていき、ターナもついて行った。

「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

「はい」

 お互いに料理の注文をし、料理が出てくるのを待っている間、ターナは落ち着かない様子だった。

「どうしたんだよターナ?」

「え、いや、えと、別になんでもないですよ。」

「そか、んでさぁ、私がドロップキックをサタールにかましてもあいつピンピンしててなぁ。」

 ルーナが一方的に話をしながら、ターナはそれをずっと聞いていた。

 しばらく経つと、料理が出てきて、ルーナが食べ始めた。

「うんまい、美味しい美味しい。」

 ルーナはどんどん食べていくがターナはあまり手をつけていなかった。

 そんなターナをルーナは心配し、

「なにかあったのかターナ?話してくれよ。」

 ターナはルーナの言葉を聞き、決心した様子で話した。

「あの、私は賭けの街で、あなたのご両親と戦いました。そして、殺しました。」

 ルーナは驚いた顔をし、食事の手を止める。

「本当にすみませんでした。戦いとはいえ、私はあなたのご両親を殺してしまいました。」

 ルーナはターナの話を真剣な顔で聞いていた。

「まぁでも、しょうがないんじゃねえか?」

 ルーナの言ったことにターナは驚いた。

「戦いなんだから仕方がない。その2人もそれを覚悟で賭けの街に火をつけたんだから。むしろ、ターナが2人を殺してなかったら、被害が大きくなってたかもしれない。だからターナ、お前は気にしなくていいんだぜ。」

 その言葉にターナは救われた。

「ありがとうございます、ルーナ。」

 ルーナは安心した顔をし、再び料理を食べ始めた。

「ほら、冷めちまうよ。ターナも食いな。」

「はい、いただきます!」

 それから2人は次から次へと運ばれてくる料理を食べていった。

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