表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無幻の黄昏   作者: ふみりえ
第一部 生きている世界
24/76

第二十三話 魔

「みなさん起きてくださーい!」

 料理のいい匂いがし、目を開けると、テーブルに目玉焼きと厚切りベーコンとお米が置いてあった。

「おはようターナ、今日はターナがご飯作ってくれたのか。」

「はい!この宿はご飯は自分で用意するようなので。久しぶりに作ってみました。」

 いつの間に起きたのかいつもの3人も顔を洗いに行き、食卓に全員揃った。

「いただきます」

 ソースをかけ、まず目玉焼きの白身の部分を箸で切り、口に運ぶ。

 美味しい。

 黄身の部分を切ると、そこから固まってない黄身がとろとろと流れてきた。

「半熟だぁ。」

 ふと、他の奴らの食い方を見てみる。

 ルーナはパン派のようで米ではなくパンを食っていた。

 パンに目玉焼きと厚切りベーコンを乗せ、一気にガブリと噛み付く。

「美味いなぁ。やっぱターナの飯は最高だ!」

 パールは少食のようで、目玉焼きと厚切りベーコンだけ食べていた。

「......美味い....」

 俺も全員の食べ方を見終わると、すぐに目玉焼きと厚切りベーコンを食べていった。




「ではでは、私とパールとラノは図書館へ、ほかの人たちは街の中央広場に。」

 ターナとパールとラノが図書館に歩いていき、俺達も中央広場の断頭台を見れる場所で時間を潰していた。

「やっぱさぁ、こっそりみんなを外に連れ出すのがいいと思うんだよ。」

 店の外のベンチで飲み物を飲みながら、断頭台を見張っている途中、城に捕まっている女性たちをどう助けるかを話し合っていた。

「でもそれで助けられたとしても、いつかはまた捕まっちゃうよ。この街に住んでる限りは。」

「じゃあじゃあ、いっその事城をぶっ壊しちまえばいいんじゃない?」

 リナがトンデモ発言をし、ルーナだけが賛成していたが、俺たちは直ぐに却下した。

「やっぱり、この街の人たちがどうして魔女を毛嫌いするのか分かってからじゃないとなぁ。」

 あまりいい考えが浮かばず、俺たちが頭を悩めていると、リオンがある提案をした。

「この街の人達に聞けばいいんじゃない?」

 全員がそれだ!と言い、早速ルーナが近くの人に聞いてきた。

「なぁなぁ、なんでこの街はそんなに魔女を嫌っているんだ?」

 聞かれた男は嫌そうな顔をしながら、

「あ?そんなの魔女がいたらこの街が滅びるからに決まってんだろ!魔女なんて言葉、二度と聞かせるんじゃねぇぞ!」

「あぁ、まだちょっと聞きたいことが。」

 ルーナの静止にも聞かず、男は遠くへ歩いていってしまった。

「どうやら、この街は偽魔王の言う通り、魔女をガチで嫌っているみたいね。私とルーナとパールは正体を隠さなきゃなぁ。」




「この段ね。」

 パール達は図書館に入り、早速この街の歴史の段を探した。

「街の歴史、魔王様の歴史、魔法の歴史、う〜ん、魔女の歴史があれば手っ取り早いんだけど......」

 とりあえず、歴史の本を数冊テーブルに持っていき、それぞれ読み出した。

「ダメです。どれもこれも魔女については全然書かれてません。」

 諦めずに他の本を読んでいると、周りから視線を感じた。

「この本も魔女については書かれてませんね。まったく、どうしてこの街の人たちは魔女をあんなにも嫌っているので」

「魔女魔女うっせーぞ!」

 パール達を見ていた人が突然叫び出し、3人はびっくりした顔をした。

「え?あぁ、すいませんでした。」

 ターナが謝ると、その人は不機嫌な様子で図書館から出ていき、それに続いて他の人たちも図書館から出ていってしまった。

「魔女って、そんなに嫌なのかしら。」

 パールが歴史の棚をもう一度、見渡すと、ひとつの本が目に入った。

「魔の歴史....」

 その本を3人で全て読むと、

「あぁ、そういうことだったのね。だとしたら、まずいわね。」

「やばいですよね。これは......すぐに輪達に知らせなくては。」

 すぐに3人で図書館から出て、中央広場に向かった。




 俺たちは一日中、中央広場にいたが、処刑が行われることはなく、何杯目か分からないジュースを飲み干した。

「もうそろそろ帰んねぇか?」

 ルーナがそう言い出し、周りの人たちもいなくなってきたので、帰ることにした。

 すると、パール達が俺たちのところに走ってくるのが見えた。

「パール、終わったの。何かわかった?」

 アルンがそう聞くと、パールは息切れを起こしながら、ゆっくり話そうとした。

「と、とりあえず、宿に戻りましょう。ぜえっぜぇっ。」

 疲れているパールをルーナが背負い、全員で宿に戻った。

「それで、何がわかったの?」

 全員がパールに目を向け、パールが話し出す。

「まず、この街の魔女なんだけど、私たちの知ってる魔女とは違う魔女なの。」

 俺達は疑問そうな顔をしたが、すぐにパールがわかりやすく説明した。

「私たちの知ってる魔女は最初に魔法を生み出した人たちってことよね。でも、この街の人たちが言ってる魔女とは魔法を生み出した人たちとは違う、名前が同じなだけの無関係な人なの。」

「あぁ、だから最初の日パールが処刑されそうな人は魔女じゃないって感じたのか。」

 パールは続けて言う。

「それで、この街の言う魔女をどう判別するかを調べたのだけど、判別方法は、体のどこかに紋章があるかどうかよ。」

 紋章?

「ある日、突然体のどこかに紋章が現れるの。それが魔女としての証。そして、紋章が現れた人がこの街にしばらくいると、この街は滅びる。」

 滅びる....街の人もそんなこと言ってたな。

「滅びるってのは、街の人も言ってたな。どう滅びるんだ?」

「それは、紋章が現れた人がしばらくこの街にいると、体が爆発するの。それも、この街の規模ほどの、そういう呪いとしてね。」

 パールの言葉に、全員が絶句した。

 しばらく経つと、アルンが昨日処刑されるはずだった女性のことを聞いた。

「えぇ、いつ爆発してもおかしくない状況よ。」




 俺たちはあれからすぐに女性がいる城に向かい、警備の隙をついて、牢獄に向かった。リオンとラノとリナは宿で俺たちが帰ってこなかった時用に待機をすることに決めた。

「それで、どうやって爆発を防ぐつもりなんだ?」

 俺がパールに聞くと、

「私とルーナとアルンの魔法でこの街の呪い自体を消すわ。今回も時間がかかるからその間、誰かが来ないか見張っていてちょうだい。」

 牢獄に着き、3人は直ぐに魔法の詠唱を開始した。その間、俺とターナは城から誰かが来ないか見張っていると、城から誰か来る気配がした。

「輪、誰か来ます。まず私が行きます。」

 ターナが走り出し、城から牢獄に入ってきた警備を峰打ちし、次に俺が縄で縛る。

「大丈夫です。しっかり気絶してます。」

 それからも次々と来る警備を気絶させ、縄で縛り、魔法の完成を待っていた。

 すると、後ろからパールが走ってきて、

「あとはあの二人で大丈夫よ。私と輪はここの女性たちを家に帰す経路を探すわ。輪、着いてきて。ターナはここでまたルーナ達を守っていて。」

 パールと共に牢獄から城に戻り、脱出経路を探しながら、軽い雑談をした。

「ねぇ、輪。聞いてもいいかしら?」

「何?」

 パールは申し訳なさそうな顔をしながら質問した。

「最初、私と輪が出会った時、あなたの過去を見させてもらったけど、嫌だったかしら。」

 思いがけない質問に俺はしばらく唖然としていたが、

「うーん、最初はちょっとだけ嫌だったけど、全部見たわけじゃないし、必要な事だったしな。全然大丈夫だよ。」

「そう。じゃあ、もう1つ。確かにあなたの過去を全部見た訳では無いけど、一つ気になるものがあったの。銃って何?」

 またも思いがけない質問に唖然としたが、すぐに俺は銃について話した。

「そう、そうなのね。なるほど、じゃあその部分を魔法で応用すれば....」

 パールがブツブツと話しているのを見て、今度は俺が質問した。

「銃が好きなの?」

 パールは顔を赤らめながら答えた。

「いや、違うの。ほら、私ってルーナやアルンみたいに戦闘向きな魔法を持ってないじゃない?ルーナだったら槍、アルンだったら弓矢みたいな。それで、銃みたいなものがあれば、2人みたいに戦えるのかなぁって。べ、別に銃が好きってわけじゃないのよ?ただ戦闘向きだなぁって。勘違いしないでよね。」

 あぁ、パールは銃が好きになったんだ。

 経路を探している間、パールは魔法で銃を夢中に作っていた。その間のパールの目は最初に出会った頃の目とは違う、キラキラしたような目だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ