生徒会長さん
「あれ?成瀬さん?」
声の方向を見ると茶色がかった髪の男の子が立っていた。
(あ..待って見たことある!えっと確か....)
「同じクラスの生徒会長さんだ!」
「正解!同じクラスの聖 乃蒼です。」
「そう!聖くん!ごめんねとっさの事で名前が出てこなくて...」
「いや、覚えててくれただけでも嬉しいよ」
「それはこちらこそ!覚えてくれてたんだ...でも話すのは初めてだね?」
聖くんはうちの学校の生徒会長だ。
クラスメイトの男子と関わりがほとんどない私でもさすがに知っていた。
ていうか私ちゃんと覚えられてたんだな...嬉しい
「成瀬さん有名人だから知ってて当たり前だよ。まぁいつもはなかなか話しかけられなくてね...」
「あ〜弟が有名だから知ってるのか!いつでも話しかけてくれていいのに」
「成瀬さん自体も有名なんだけどな...そういえば今日は誰と来てるの?」
「弟たちと!うち5人姉弟なんだ〜」
「そうなんだ、じゃああの弟くんも来てるってことか...」
聖くんがなにかぼそっと呟いている。
「ん?何か言った?」
「いや!なんでもない!せっかくの休み家族で楽しんでね、また学校で!」
「うん!話しかけてくれてありがとう」
行っちゃった...
でも私普通に話せてたくない!?成長!!
聖くんと話すのは初めてだったけど話しやすかったなぁ。今までどうして話してこなかったんだろう。
ゆかはそれが弟が原因だということを知らない。
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「ごめん!お待たせ〜」
聖くんが行ってすぐに弟たちも温泉から出てきた。
「おかえり!温泉満喫できた?」
「それはもちろん!最高だったよ」
双葉がにこにこと答えてくれた。
ほかの弟たちも満足そうだ。
「それより結構待たせちゃってたかな?変な人に声とかかけられなかった?大丈夫?」
「大丈夫だよ!双葉たちならともかく私みたいなのに声かけないよ」
「いや姉貴かわいいから」
「そうだよ!姉ちゃん美少女って分かってよね!」
「うんうん」
瞬の言葉に優と怜も続いて賛同する。
「それにたまたまクラスメイトの子がいて話しかけてくれたの!」
「女の子?」
「いや、初めて話したクラスの男の子」
その瞬間空気が凍りついた気がした。
(もしやまずいこと言ってしまった?)
「やだ、姉ちゃんほかの男と話すのやだ〜」
「男は悪魔だって言ったじゃん!信じちゃダメだよ」
優にぎゅっと抱きつかれた。
それに続き怜もそっと抱きついてきた。
「いやいや悪魔って!普通にいい人だったよ。私のこと知ってくれてたし」
「普通知ってるに決まってるでしょ!可愛いんだから」
話したことを言っただけでこうなってしまうとは...
弟たちは私が思っている以上に私のことが好きらしい。
これはこの先恋をするとしたらこっそり行動しなければならないな。
そう学んだゆかであった。
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一方その頃瞬は
(え!?姉貴が男と話した!? 俺が長風呂していたばかりに... 今までどうにか関わりを持たせないように阻止してきたというのに。これまで以上に警戒していかなければならないな)
内心パニックになりつつもそう1人で決心していたのだった。