実は美少女の姉
翌朝起きるといい匂いがした。
「お姉ちゃんおはよう」
双葉は誰よりも早く起きていつも朝ごはんを作ってくれる。 姉弟の中で誰よりも料理が上手い。
「双葉おはよ〜今日も朝ごはんありがとね!」
「姉貴、双葉おはよう」
相変わらずぼーっとしながら瞬も起きてきた。
「瞬おはよう。眠そうだね〜」
「うん。夜更かした。」
「あらら、とりあえず顔洗ってきなさい。」
「ん、わかった。」
そう言うと瞬はふらふらしながら洗面台に向かっていった。
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私と瞬は同じ高校だ。
瞬ならもっと賢い高校に行けたはずなのに私がいるからという理由だけで高校を決めてしまった。
「いってきまーす」
「姉ちゃん兄ちゃん行ってらっしゃい」
ちょうど起きてきた双子たちに見送られながら家を出る。
登校は瞬も一緒だ。瞬が高校に入学してきてはや1ヶ月。もう学校では有名人なのである。
そのため一緒に登校していると私まで見られている感じがしてしまう。
1度それが嫌で登校は別にしようと行ったのだが断固拒否されてしまった。
私が一緒に登校してくれないと高校を同じにした意味がないらしい...。
「ゆかちゃんおはようー!」
「あ!琴葉ちゃんおはよう!」
元気な声で挨拶してくれたのは七森琴葉ちゃん。
琴葉ちゃんは高1の入学式で出会ってから仲良くなった友達だ。今年も同じクラスで気軽に話せる1番の親友。
「そういえばはじめましてだよね!こちら弟の瞬。」
瞬はぺこりと一礼する。
「うん!初めまして〜。てか今日も相変わらず注目されてるね、さすが美男美女!」
「みんな瞬に注目してるんだよ〜学校の有名人だからね。」
「いやいや!ゆかちゃんも十分美人で有名だからね?」
「それは断じてない。」
琴葉ちゃんはよく美人だと言ってくれるがそれは絶対にありえない!だって私全然モテないもの...。
これまでの人生1度も告白とかされたことがない。
「もう〜なんで信じてくれないの!瞬くんからも何か言ってやってよ!!」
「え..。姉貴はかわいい。でもモテるのは許さない。」
(なにか黒いものが見えるような.. まさか...)
琴葉は色々察したらしい。
実際、ゆかはすごくモテる。 ロングの美しい黒髪に整った顔立ち、真っ白で透き通った肌。どこからどう見ても美少女なのだ。
しかし弟たちの手によって男子たちのアピールを防いでいた。まず弟たちがイケメンすぎてかなうわけがないと自分から諦めていくのだ。
「ん?琴葉ちゃん?どうしたの?」
「いや!なんでもない。さあ、いこっか!」
(うしろ!ゆかちゃんうしろ!おたくのイケメン弟すごく怖いオーラ出してるから〜)
瞬の圧により、琴葉がゆかに真実を告げることはなかったのだった。