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ある者の胸中
ーーーーー異国の神が我らを奪う。
私は真実を隠す。
残す為に。
奪わせぬ為に。
同胞にも祖先にも私は許されぬだろう。
今、誰からも理解されずとも
後世の誰かが知る事を願って。
永遠なれ、我らが――――――
何処か遠い世界の遠い時代の話。
幾つもの集落、小国を飲み込んで作り上げられた大国は、統一のために他文化を徹底的に排除した。信仰は縛られ、言葉は取り上げられた。建物は砕かれ、芸術は燃やされた。抗う者は晒され、知ろうとする者は厳しく罰せられた。
人々は忘れていく。祖先達が育んできた、文化の匂い、かつての営みを。
変革の時代の最中、ある者の胸中にあった思い。
この思いが実るのは、100年も後のことーーーーーー