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日常 後編


「いらっしゃい、剣聖さま」


 レナはそう言うと、紅茶を差し出し着席をうながす。

 クリスタルは勧められた椅子に座り、紅茶を一口飲む。


「すごく美味しい。レナさんは実家のメイドより入れるのが上手いな」

「ありがとう、剣聖さま。」

「私のことは二人とも、クリスタルとよんでくれないか」

「承知しましたわ、わたくしの自己紹介は不要ですわね」


 クリスタルとイザベラは、王城で開催されるパーティーで何度か会い、少しの会話はしたことがある。


「そうするね。クリスタルは聞きたいことがあって来たんでしょ?」

「たくさんあって、何から聞いたら困っていたんだ」


 3日前に来たばかりだ無理もない。少しは勇者が説明したが、全部を理解するには時間がまったくたりない。


「……さっきのアレはなんなんだ?」

「あー、予備知識無しでは旦那様がクロエに非道な事をした様にしか見えませんわね」

「あれはゆーしゃさまの世界の『お笑い』って芸なんだよ」

「あ、あれが??」

「クロエちゃんは、怒ったり傷ついたりしてないから安心してねー」

「まずは、芸のひとつ、として眺めていれば良いですわ」


 余計に分からない気がするクリスタル。とりあえず頭の奥にしまうことにした。

 本当に聞きたい事を投げ掛ける。



「だ、旦那様のアレ、普通なのか……?」



 あやふやな質問を吟味する、レナとイザベラ。しばし思案し、2人同時に思い付く。


「「ゆーしゃさま(旦那様)の、一物ですか」」


 ぼんっと音が聞こえそうなくらい、一瞬で顔を真っ赤にするクリスタル。


「ぁぅぁ、うん……」


 赤面したまま大きな身体を縮め、もじもじしてる。なんだこのかわいい生き物。


「せ、性教育で教わったのと違う……あんなにおおきいなんて」

「ゆーしゃさまのは特別だね。ゴブリンの倍はあるかなっ」

「ごほっ、レナ? まだ付き合いの浅いクリスタルが反応に困るから、自分ネタはお止めなさい」

「ごめんごめん、ゆーしゃさまがずーっと毎日のように『クリスタルはねぇさんそっくり』 『生きて動いて嬉しい』 『ねぇさん分も幸せになって欲しい』って繰り返してたから、勝手に勝手に身近な気がしてたー」


 ケラケラ笑うレナ。ひとしきり笑うと真顔になる。


「『普通の会話も出来なくてさみしい』『ねぇさんに嫌われたようで悲しい』『一度だけでいいから笑いかけて欲しい』とも……」

「っ!…………」


 ズキッ!っと胸が痛み手で押さえる。


 レナに見据えられ、目が離せなくなるクリスタル。イザベラにも睨まれている気がしてくる。

 何も言えずにいると、ふっと圧が無くなる。


「なーんてね。小姑のイヤミでーした」

「ですわね」

「ゆ、ゆ許してもらえるものなのか……?」


 すっかり小さくってしまうクリスタル。


「ゆるすも、ゆるさないも、もともとないんですよ。今のは、ゆーしゃさまがクリスタルには言えない気持ち。おぼえておいて」


「そして甘えさせてあげて? 甘えてあげて。 愛されて、愛してあげて」


「クリスタル。貴女も家族になるのだから」


 圧倒される。

 目の前の、私よりずっと体の小さい少女に。見えない魔力ではない、オーラのような気配に。

 王のカリスマのような、自然と頭を垂れたくなるような存在感。

 あぁ、『正妻』の器と貫禄なのかと理解する。レナさんには絶対に敵わない。


「改めてよろしく。レナさん、イザベラ」

「よろしくね、歓迎するよ」

「えぇ、よろしくですわ」


「さて、なんの話しをしてたんだっけ」

 ぬるくなった紅茶に口をつけながらレナが聞く。


「そうだっ、だ旦那様のアレ…………な、ななんなのだ、まるで破城槌ではないかっ!」

「国防を司る辺境伯の娘らしい表現ですわね」

「ゆーしゃさまはちゃんと優しくしてくれましたか?」


 またも赤面してしまうクリスタル。 


「二桁越えると次の日、立ち上がれませんねよ?」

「え?2回であたまとろけちゃって……旦那様にがまんさせちゃってる……?」

「大丈夫だよ。クリスタルの大事なはじめてだから無理させないようにしたんだよ」


 感情の振れ幅が大きいなぁと思う2人。


「溜まっていたとしても、先程連れていかれたクロエで発散されてますわ」

「あの流れだと、『地下牢でオークに犯されるエルフ姫騎士』っ設定かな」

「え? え? ちかろう? オーク? お、おか?」


 正確に屋敷内で行われているであろう『なりきりエッチ』を予想する2人。ついていけずパニックになるクリスタル。


「わざわざクロエとするために造ったからね」

「エロに全力過ぎですわよね」

「? え? え? え?」


「『ぶひぶひ、殺されたオークの倍の数は孕んでもらうぞ』とか言って始まるのでしたか? オークはぶひぶひは兎も角、しゃべりませんののにね?」

「あたしの時もたまに使うよー『オレノ子を孕めゴブ!』って。ゴブリンもしゃべんないし、語尾がゴブ…………あははは」

「うふふふふ」

「……………………」


 許容量をはるかに越え、おめめぐるぐる剣聖さま。残る2人は思いだし笑い。


「ニホンではたくさんの人がエロ本とか娯楽小説で知ってるっていうし」

「ニホンは魔界か魔境なのかしら」


 どうしよう。あしたからがふあんだ。わたしもそんなになっちゃうのかな……ぶるぶるぶる



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