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アラクネ族 ティサキルエダ


 今日の注文票を確認する。主のシャツと下着が3点ずつ。クリスタルのドレスが1点とな。

 ドレス、ドロドロにしたんだな。何でとは聞かないがなっ。わかってるしな。


 山吹色でゆるいクセのあるロングヘアーを作業の邪魔にならないように、後頭部でリボンで1つにまとめる。お仕事の時間だな。



 うちは人蜘蛛と言われたアラクネ族のティサキルエダ。名前が呼びにくいから「ティサ」と呼ばれる事が多いな。


 アラクネ族てのは、蜘蛛の頭に女を生やしましたって感じだな。魔物では無い、ちゃんと人種のひとつだな。

 アラクネ族の中でも、蜘蛛部分の違いは大きいな。今は亡き族長は主に言わせると「女郎蜘蛛」タイプだな。

 ちなみにうちは「蝿捕蜘蛛」タイプ、ずんぐりして脚は短めで沢山毛が生えてるな。ちなみにうちは髪と同じ山吹色と黄色、黒色の虎模様の蜘蛛ボディなんだな。


 主、いわく「ネコハエトリグモ」と言う種類で、主が1番好きな蜘蛛なのだそうだな。

 感極まった主は五体投置したあと、ネコハエトリグモのアラクネとか神かよ!と叫びたおしたな。


 主、まぢ変態な。


 蜘蛛ボディと言えば、人族の太股にあたる部分は蜘蛛の鋏角……獲物に毒を流し込む為の鎌状の脚が1対付いてるな。

 歩くのに使う歩脚が4対、うちの上半身に腕が1対、手足合わせて6対12本だな。


 毒、狩りに便利な麻痺毒、その他に致死性の強い毒や眠らせるだけの弱い毒、うちは自由に分泌できるな。

 今、思い返しても、やっちゃったな。うちは主に鋏角を突き立てた事があるなー。



 

 目をつむれば今でも村が滅びたときの光景ははっきりと浮かぶ。

 滅茶苦茶にされた集落。ズタズタに斬られた族長。バラバラになってた隣のお姉さん。全部の脚を斬られてから首を斬られた母。。ただひとり生き残った…………うち。


 地獄の真ん中、集落の真ん中、黒髪の人族がいた。あいつがみんなを!!


 まったく動かない主は、うちの鋏角を避けもせず、全力の麻痺と致死性毒を受け入れていた。両胸に突き刺さり、ドクドク血はながれている。


 ただただ痛みやうちの罵声を受け入れる主に、なにがなんだか分からなくなったな。




 アラクネ族は女しか生まれない。男は他所から調達するしかない。数百年前なら、高い木の実や大型の動物を狩り、農耕をしている人族と物々交換の際に種付けしてもらうのが普通だった。


 人族が村から町へと人口が増え、人族が文明と文化を育み始めた。町が国になり、何時しかアラクネ族の様な人族と容姿が大きく異なる種族を嫌悪するようになった。


 繁殖が出来なくなったアラクネ族の村は、ゆるゆると滅亡へと向かっていた。行き倒れた旅人や怪我で冒険者などを助ける代わりに、種付けをしてもらっていた。

 助けられた者の中から「アラクネに無理矢理種付けをさせられていた」と言う者が出たため、冒険者ギルドが討伐隊を差し向けた。


 高ランク冒険者に滅ぼされた村。すでに冒険者は街へ帰還し無人の村に、遠くから立ち上る煙を見つけて立ち寄った勇者。

 狩りが下手で獲物が取れず、夕暮れになり諦めて村に帰ってきたティサキルエダ。


 村の有り様を見て勇者の所業と決め付け襲い掛かったのだった。




 

 罵声が尽き「殺せ」「皆の所へ送れ」しか言わなくなった、うちに主は『魅了』を掛けたな。

 『魅了』されたうちは、やっと主の話を聞ける態勢になれ「皆を埋葬しようか」との言葉で自分の誤解と仕出かした事に気付き、慌てて鋏角を抜いたっけな。


 何も言えず後悔の涙を流しおろおろするうちの蜘蛛脚を撫でたあと、蜘蛛の体毛に顔を埋めるように抱き締められたな。

 しばらく大泣きし、泣き止んでから2人でアラクネ24人の遺体を埋葬したな。


 その後は、主の屋敷に転移し風呂に入れられたな。頭の整理がつかず、ただされるがままにしてたな。

 やたら楽しそうに蜘蛛な下半身を洗う主。そんな様子が信じられず「どうせ人蜘蛛なんて抱けないクセにな」と呟いたな。


 結果、メチャクチャ抱かれた。


 初めてだったから優しくはしてくれていたが、何度も気絶したな。蜘蛛の体をナデナデモミモミされながらな。胸じゃないのかな?とも思った、結構大きさと形に自信あったんだけどな。


 後日、奥方とサキに風呂場での件を話すと、あたしらとおんなじパターン!と笑われた。

 主に「どうせ醜いと思ってるくせに」「穢れた女なんて抱けないくせに」は、お持ち帰りまたは即抱きスイッチらしいな。




 と、思い出に浸っているうちに注文の品が完成する。ほつれやレースの付け忘れなどか無いか確認する。ばっちりだな。


 主の屋敷で皆の服を作ったり修繕したりして暮らす生活にも慣れたな。ここの皆はアラクネなうちを嫌がったりしないしな。


 最近は村の滅ぼされた光景を夢であまり見なくなったな。以前は悪夢に跳ね起き、半狂乱で部屋をぐちゃぐちゃにすることも多かったな。

 主と奥方には迷惑ばかりかけてたな。再度眠りに落ちるまで、朝までだって抱き締めてくれた2人。感謝しかないな。


 悪夢に代わり最近は暖かい夢を見るようになったな。村の皆の面影のある子供のアラクネと遊ぶ主と、母の面影のある赤子を抱き、お腹が大きくなった身重のうち。

 しあわせなゆめ。



 夢の話を主にしたら『目指せアラクネ村復興!』と書かれた鉢巻を頭に結ぶと、メチャクチャされたな。


 ヤバいスイッチを押したような。きっと主は、25人以上産ませる気だな……。持つかな、うちの身体。




 でも、しあわせなしあわせな未来だな……。

 うちもがんばろうかなっ!





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