4月16日-1 始まりの数字は氷漬け①
ちょっと短いです。理由は次の話で。
4月16日、火曜日。晴れ。放課後。
一度帰宅した後、準備を済ませ……俺、行人、ひいに加え拓海の4人で、例の氷柱の元へ向かっていた……長い階段と共に。
「なかなかの階段量だよね。地元にもここまで長いところ……あったような……」
「ビルの非常階段を60階分登り続けるより楽じゃないか、な?」
「どういう例えだ」
途中で芝生の広い公園を見つけ、バレーの練習に良さげだな……とか思いつつ、更に登っていく。
「……見えました。あそこに建っているのが黒須山神社ですね」
「名前調べた時も呟いたが、そんままだな、な」
「そんなもんだろ……あれ、誰かいる?」
神社が見えてきたと思ったら人影も見えた。しかも複数人。
「人? ……って圭君達?」
「こんにちは、彩花先輩の知り合いですか?」
「こんにちは、な……このメンバーは……?」
「美術部だよ、中等部と高等部の。神社描こうって思ってね」
簡単に自己紹介を済ませる。美術部の方々は、神社を模写しに来てたらしい。
……異能力者、ついでに言えば裏関係者らしい人が多いな。紹介はいつの日かになりそうだが、な……
※メタい話ですが、まだ美術部側のキャラクターが確定しておりません。申し訳ございませんが、美術部員側のキャラクター紹介は後に回させていただきます……
「圭くん達はどうしたの? 入部希望って訳では無さそうだけど……」
「それなんだが、な……ちょっと彩花さん借ります、な」
少し階段を降り、会話が聞こえない程度に他の美術部員から距離を取る。
それから、ひいも異能者である事を伝え、目的を話す。
「へー……裏に道なんてあったかな?」
「な?」
「いや、俺登ったし写真もあるぞ?」
「あれ……? 私も気になるし、付いて行っていい?」
「なー……まあいいか、な」
神社の裏。
彩花の言う通り、行人の写真にあった道……階段はなかった。
……が。
「……埋め立てられた跡がありますね」
「木が不自然に生えてない場所があるな、な」
「誰かが道を埋めたってこと?」
「な……上に続いてることを知ってないと、気付かない程度には隠してあるな、な……」
「……って、キリを地面に刺して何してるの?」
「俺の能力は地面の解析もできるんだよ、な」
「へ、へぇ……」
剣の代わりに、最近持ち歩きはじめたキリを地面に刺す……そして、階段状に丸太が埋まっているのを確認する。
……なんでキリを持ち歩いてるかって? コッソリ能力を使えるようにだよ、な。大剣は大き過ぎて出し辛いんだよな、な……
それはともかく。
「時間かかるかもだから、先に帰っててもいいよー」
「はーい」
ほかの美術部員に彩花を連れて行くことを伝え、埋め立てられた階段の上を歩き、更に上を目指す……
後で思えば、ここで彩花を連れていくより、行人を置いていく方が正解だったのかもしれない……結果論だけどな、な。
「うわぁ……」
「すごい……」
そして、俺らは氷柱を発見した。
氷柱の中には、行人が撮った写真と同じ石碑がある。本だと氷の中まで見えてなかったんだよな、な。
「不思議ですね。この氷はどこから生まれているのでしょうか……? ……ダメです、解析不可能です」
「石碑が凍ってる……んだよなコレ? どう言う状況だよ?」
触っただけでこちらも凍りそうな氷柱……だが、冷気の超能力者であるひいは、自ら氷柱に触れる。
そして、小さく疑問の声を上げ、こちらに顔を向ける。
「この氷、たぶん石碑が生み出してる」
「な?」「嘘だろ?」
「……って、なんでわかるの!?」
「さっきの圭君と一緒で、能力を利用して冷気の流れを見たんだよ。そしたら……」
「石碑から冷気が出てたって事か、な」
「それだけじゃない。多分、氷……水分自体が石碑から出てきてる。私の能力も水の出所分かってないけど、それに近い感じがする」
「ますます不思議ですね……地面から吸い上げてるのでしょうか?」
俺が地面の状況を見れるように、ひいも氷や冷気であれば解析できる。だが、石碑の中までは分からないらしい。
分からんものは分からん。別の方面から調べよう。そう思い、例の魔法陣が描かれた本を取り出して見比べ……
「……な?」
取り出した瞬間、本の魔法陣が光り始めた。
それと同時に、石碑の魔法陣も光り始めた。
更に、石碑を中心に、足元に大きな魔法陣が展開された。
「えっ、なに!?」
「コレやばいんじゃねぇか!?」
「やばいって思うなら早く魔法陣から---」
出ろ、の言葉が出る前に、一際大きく魔法陣が光った。
-----中断-----