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4月15日 謎の本と不思議スポット

4月15日、月曜日。晴れ。




「……今日はここで解散よ」


「「「ありがとうございましたー!」」」


各クラスに分かれて、黒須学園の施設の紹介が行われた。


元私立、しかも大学部まで抱えてるだけあって、施設の数やレベルはとても高い。1日かけて行われたが、実際に行ったのは高等部周りの施設のみ。大学部向けの施設……先日行った港近くには学園の水族館があるし、別の場所には動物園や遊園地、博物館などもあるらしい……はビデオでの紹介に留まっている。一度は行きたいな、な。


俺ら1組は、高等部近くの図書館入口で現地解散になった。地元の図書館ですら、体育館2個分はあったのに、その倍以上の広さで4階建てって……なー……


……午後も特に無いし、何か面白い本が無いか探してみるか、な。




「……な?」


図書館へ入って10分ほど経った頃。


よく読んでる推理小説の新作が入ってる事を知り、その棚へ……って行くと、不自然に壁が露出している所があった。周り見ても全部本棚で埋め尽くされているのに、そこだけ棚1個分以上の露出があったんだよ、な。


いつもなら気に留めないんだが……推理小説の影響を受けてたのか、何かありそうとそこを調べた。


……あったんだよな、な。壁じゃなくて本棚の側面だったけど、スイッチのようなものがあった。押してみると、ロックが外れるような音ともに、本棚が少し動いた。


思い切って引っ張ってみると、本棚が動き……後ろの壁が出てくる。そこには1つの引き出しが隠れていた。


中には、古びた辞書のような厚さの本が一冊。持ってみるとそこそこ重い。題名とかは何もなく、表紙と裏表紙に魔法陣のような模様が描かれているだけ。中身は……なんだこれ。黄ばんだ紙……なのはいいとして、どのページにも何も書かれていない。ただの自由帳か?


……そんなわけないよな、な。そうだとしたら、なんでこんな所に隠されてたんだよ、な……


「……けー、何してるの」


「な?」


突然小声で話しかけられた。


「ひいか……そっちこそ、ここで何してるんだよ、な?」


「本借りに来た以外にある? ……何それ?」


「同じか、な……俺にも分からん、な。なんか見つかったんだよ、な」


「なんかで見つける辺り、圭君らしいよね」


「……それは褒めてるのか貶してるのか、な……」


「毎回だけど、ただ困惑してる」


「……そうか、な」




「この本バーコード付いてないんですが、借りてもいいですか、な?」


「バーコード無し? そんなわけ……本当だ。どこで見つけたの?」


「本棚の裏に隠された引き出しです、な」


「なにそれ……写真で対応するから学生証を出して。あと、何か分かったら連絡するね」


「わかりました、な」






図書館から出たところで、校長先生から怪現象の本を貰っていた事を思い出す。何か書いてあると良いが、な……


「なにそれ」


「黒須の怪現象を纏めた本。校長先生から頂いたんだよ、な」


「へー……圭君ストップ、そこの記事」


「な?」


ひいに言われ、記事に目を通すと……『黒須図書館に纏わる話』と書かれていた。


「なー……な? 『図書館に眠る財宝』?」


「見せて見せてー……『図書館には、謎に包まれた財宝が存在する?』そんなありきたりな」


「……『用途不明の魔道書』……これっぽいが、な……説明は無いし写真も絵も無いしで結局分からない、な」


「用途不明の時点で、色々ツッコミどころあるんだけど……」


「……別の場所に書いてある可能性もあるな、な……見てみるか、な」


「一緒見ても大丈夫?」


「大丈夫だ、な……流石に立ち読みは腕がきついな、な……落ち着ける場所を探そう、な。」


「……大剣振り回す圭君でも、腕の疲れ感じるんだ」


「流石に持ちっぱなしはきついぞ、な……」




「……圭と……柊だったっけ。なにやっとんの」


「な? 行人?」「行人君?」


数分後。ベンチか何かないかなと思い探していると、行人と出会った。


「この本どこで読もうかって考えててだ、な……行人はどうしたんだよ、な?」


「なんだその鈍器……あー、筆箱を学校に忘れてなぁ……帰りだよ」


「おぅ……」


「なー……そういえば、行人は黒須出身だったよな、な?」


「突然どうした?」


「図書館に纏わるオカルト系の話って知らないか、な?」


「いや知らんわ……って思ったけど、財宝が眠ってるって話は聞いたことある」


「……そこそこ有名なのか、な?」


「実際に1回……いつだったかな、改装工事してたら、金の延べ棒が見つかったって話」


「な!?」「すごっ」


「それから、他にもあるんじゃねぇかって話はあったなぁ……思い出した。中1の時だ」


「3年前!?」


「そう。……で、その鈍器がさっきから気になってるんだが……」






「ただいまー」「おじゃましまーす」「お邪魔します、な」


「お帰りー……あら? 後ろの2人は……?」


「今年から黒須に来た同級生で、男の方がクラスメート。ちょっと勉強教えてもらおうと思ってなぁ……」


「良いわねぇ……あっ、行人の姉の日向です。よろしく」


更に10分ほど後。行人の家にお邪魔していた。


本の説明をしたら、『俺もそれ読みてぇ……なぁ、俺の部屋貸すから一緒読んでいいか?』と言われ、お邪魔する事になった。本の事を愚直に説明する訳にはいけないので、行人の家族には勉強会と言うよう伝えてある。


「……あれ、お袋は?」


「買い物行ってるわ。卵切れちゃったみたい」


「りょーかい。なんかあったらノックしてくれ」


「分かってるわよ」




矢島(ヤジマ) 日向(ヒナタ)。大学部3年、獣医学部。行人の姉。


……獣医学部って、それだけで天才な事が分かるんだが、な……


「綺麗な方だねぇ……」


「おう。自慢の姉だよ……圭、どうかしたか?」


「なー、なんでもない、な」


「……圭君がなんでもないって言う時絶対何かあるよね?」


「……日向さんから受ける視線が、な……一瞬、妙な敵意を感じたんだよな、な」


「本当に行人君の友人なのかって思っただけじゃない?」


「そうだと思うけどな、な……まあいいか、な」


「そうか。机出すから端っこ寄って」






「……コレ、全部読んでたら日が暮れるよなぁ」


午後4時。かなりの時間読んでたからか、目が乾いてきた気がする。


「けどすっごく面白いよこれ! 校長先生、私にもくれないかな?」


「表紙とかしっかりしてるし、普通に売ってるんじゃないのか、な?」


「売ってるの見た事ねぇなぁ……売ってたら買うわ」


……後に確認したが、この本は献本で超能力公開後辺りに発売予定らしい。


次のページを開くと、学園周辺で発見された物について特集してあった。


「謎の巻物……忍者でも居たのかな?」


「こっちは用途不明の巨大な機械か、な」


「この機械ってあれか……多分場所知ってるわ」


「本当か、な?」


「剛の姉さんが纏めてる不良グループがあるんだが、その溜まり場にあった機械だと思う」


「……しれっとすごい情報出てきたね」


「色々ツッコミ入れたいが、まずこの街に不良グループあったのか……」


「と言っても、外から来たヤの付く奴らを撃退してる位しかやってねぇらしいし、警察も監視程度に収めてるんだよなぁ。集まってるだけで剛の姉さん含めて普通に働いとるし」


「よく知ってるな、な?」


「剛からの繋がりで話聞くことが多くてなぁ……」


「なるほどー……」


「……昔話してたら全く読み終わらねぇ。いつか詳しく話すわ……って、この作者不明の石の剣と台座は……」


「確かに……ってこれも知ってるの?」


「恐らくあれだな……近所の公園に埋まってたらしくてな。人集りが出来てるから覗いたら丁度掘り出してる最中だった」


「へぇー」


「黒須の博物館に持ってかれた筈だから、見に行こうと思えば見に行ける筈だ」






「……ん?」


数分後。別のページを読んでると、行人から疑問の声が上がる。


「な?」「どうしたの?」


「ちょっとよく見ていいか?」


行人に渡すと、ページのある写真に顔を近づける。


話のタイトルは『夏でも溶けない! 山奥にそびえ立つ氷柱』。駅方面にある山の上の方に立ち入り禁止区域があるんだが、そこに突然3メートルほどの氷柱が出来たとか。


「……やっぱりあそこだよなぁ……」


「もしかして見たことある?」






「んにゃ。だけどここ行ったことあって、その時は氷柱じゃなくて石碑があったはずなんだよ」


「石碑?」


「ん。昨年の3月だったかなぁ……山の麓の方が公園、その上の方に神社があって、その裏に道あったから登ったんだよ」


「で、この場所を見つけたって訳か、な?」


「その通り。規制テープとか無かったはず……あっ!」


写真を撮っていたのか、スマホを取り出す行人。見せて貰うと、確かに神社から裏の道、そして本の写真と同じ背景に、氷柱ではなく石碑がある画像が出てきた。






そして、石碑を拡大した瞬間……俺と、恐らくひいも軽く衝撃を受けた。


「け、圭君、これって……」


「なー……」


リュックに入れていた、図書館で見つけた本を取り出す。


「のあ!? びっくりした、お前鈍器2冊も持ち歩くなよぉ……ってちょい待て」


「……似ているよな、な……」


「うん……というか外枠が一緒だよね……」











石碑に描かれていたのは、魔法陣のようなもの。


そして、図書館で見つけた本の魔法陣と、外枠が一致していた。











**以下、カットシーン**






圭達が図書館から出た頃。


「うーん……この前は白雪姫、その前は……赤ずきんとラプンツェルだったかしらね……」


「泉さん記憶力良いですね……」


「記憶力もなにも、『絵本の誤字脱字が、突然大量に現れた』とか、覚えてしまうわよ……」


図書館の職員と話す赤羽。その手には、人魚姫の絵本が握られていた。




※旧作ネタ。柊ではなく、赤羽と会っていた場合、人魚姫の物語に取り込まれる事になります。

2021/01/18

謎の本を圭が泥棒してた事に気付き修正。後に圭に譲渡されますがこちらは書くか不明。

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