4月13日 校長と……技術部?
新キャラ1人、投稿キャラ1人出ます。
4月13日、土曜日。晴れ。
「休み……というか疲れてる日であろう次の日に呼び出さないでください、な……」
「ごめんごめん、至急渡しときたいものがあってね」
何故か学園に呼び出される。俺何かしたか、な……?
呼び出したのは校長の有場 愛斗先生。見た目は20代、中身は50越えのめっちゃ若作りの先生で、いつも笑顔を絶やさず、元気でフレンドリーに接してくれる方。
……そういえば、確か黒須学園は総括の理事長の下に、初等部から高等部までの校長先生と大学部理事長が存在するんだっけ、な……今は関係ないか、な。
「コレ、渡しとこうと思ってね」
「な?」
そんな校長先生から手渡されたのは、辞書のような分厚い本。中を見てみると、どうやら黒須の怪現象に関して纏めてあるようだ。
「黒須の特異性は知ってるよね?」
「確か……あまりに怪現象が多すぎて、住んでる人は慣れてしまってあまり驚かない……ですか、な?」
「そう……そうなんだけど、言いたい所は怪現象の多さの方なんだ」
「なぁ……100ページ越えてますよね、な」
「うん。100件以上あるよ……僕からの依頼なんだけど、西京君に怪現象の調査も依頼したいんだ」
「多っ……調査自体は良いですが、なんで俺に頼むんですか、な? 研究所にもっと適正な人がいるのではないですか、な……?」
「今までの活躍の話を聞くと、西京君なら何があっても良い方向に話を収めてくれるだろう……というのと、友達から怪現象に関する話が入ってくる事も多いと思ったから、ね」
「なー……期待はしないでください、な」
「期待してるよ、って言うつもりだったんだけど先言われちゃったか。あっ、授業と被ったらできたら授業優先して欲しいけど、無理な時は公欠にするから気にしないでね」
「それで公欠取って良いんですか、な……」
「一緒に捜査した人も公欠にするよ」
「そこはありがたいですけど、な……わかりました、な」
本を受け取り退出する……学食で昼飯食べてから帰るか、な。
「西京か」
「楓?」
学食にて。席を探していたら楓と会った。既に席を確保しており、目の前が空いていたので座る。
「今日休みだよな、な……?」
「そっくりそのまま返したいんだが……折原とやらに呼ばれたんだよ。確かお前と出身一緒だろ?」
「和? 不思議だな、な……俺も行っていいか、な?」
「大丈夫なはずだ」
飯後。
技術部Kと書かれた看板が目の前にある。ここが呼び出された場所らしいが、な……この学校いくつ技術室あるんだよ、な?
「おかしいな……なんでここだけ部屋番号が英文字なんだ?」
「……な?」
「いや、それ以前に技術部ってなんだ。ここは確か、技術室11だったはずなんだが……」
「あー、研究バカが勝手に改名したんだよ」
「なっ!?」「誰だ!?」
突然の第三者に2人で振り向くと、制服を着崩している男子生徒と目が合った。腕につけている金属製の腕輪が目を引く……
「……春樹?」
「……なんで俺の名前知ってるんだ」
「知ってるも何も同じクラスだろ」
「……な? 4組?」
「ああ。須藤 春樹。自己紹介で名前だけしか言わなかったから覚えてた」
「どう言う覚え方だよ、な……」
「どうでもいいからどけ。入れねぇ」
と言うと、春樹は俺らを押し除けて技術室のドアを開ける……
「「「か……完成だッ!!!」」」
「なぁっ!?」「わっ!?」
「うぉわっ!? こ……この研究バカどもが……突然大声出すんじゃねぇ!!!」
と同時に、突然聞こえてきた声で俺ら3人はずっこけた。
「すまんすまん。前から練ってた奴がやっと完成してな」
「だからって突然大声聴こえたらびっくりするわ、な!!」
ここは、和が借りた……と言うより和のものになったらしい技術室。どうやらここに機械やらなんやら持ち込んで、色々開発してるらしい。
「ミスターKと合作する日が来るとは、流石のオレ様も思わなかったな」
「うんうん。これは私も分からなかったなー」
『完成して良かったです』
「……腕輪の情報要ったのか?」
「勿論、あれのお陰で軽量化に大成功した」
ここ、技術部の現在のメンバーはミスターKこと和、春樹、梨華、今日は居ない拓海に……狭霧 創聖という創造の天才と、
『そして西京先輩、お久しぶりです』
「テレワーク……じゃなくて遠隔参加してるとは思わなかった、な。空ちゃん」
折原 空。和の一個下の妹で、来年からこっち来る予定と言ってた後輩だ、な。
異能力は亜空間倉庫。空にのみ出し入れや操作ができる、無尽蔵の倉庫がある。和の発明品やらなんやら入れたりしてたな、な……
……まぁ、空の場合は逸脱者じゃないのに、マラソンを中心に陸上の記録を塗り替えまくる、強靭な肉体と体力の方がイメージ強いけどな、な。見た目からは分かり辛い……特に腹筋割れとかは普段は見えないし、小学生と間違えられる童顔、低身長だけどな、な……
『西京先輩、変なこと考えてませんでしたか?』
「考えてない考えてない」
「どうせ空がちっこいとか思ってたんだろ」
『ちっこいのは認めますが、それを私の紹介に使わないでください!!』
「紹介!?」
……俺の周りの奴ら、勘は鋭いし人しか居ない気がする。
技術部KのKはミスターKのKと、Kがアルファベットで11個目な事を合わせてるらしい。
「気を取り直して……ここで何してるんだよな、な?」
「これとこれ作ってたんだよ」
見せられたのは、リュックとネックレス。見た目からは特に変わりはないが……?
「リュックの方は分かりやすいな。中見てみろ」
「な? ……なっ!?」
「なんだこれ……中がめっちゃくちゃ広いんだが……」
「空の能力をなんとか再現しようとした……ま、無尽蔵は流石にできないが、かなり広い空間は作れた」
「なー……再現って言ったか今、な!?」
「再現だ……と言いたいが、実際は全然別のアルゴリズムを使ってる……と思う。誰でも中身いじれるしな。だが、重さはあまり感じないようにしてある」
「すげぇ……質量保存の法則どこいった……ん? これ人も入るんじゃねぇか?」
「やろうと思えば入れるし、自分から出られるな。リュック以上の大きさのもの入れるのは、あまりやって欲しくないが。引っ掛かったら悲惨な事になる」
「なー……で、こっちのネックレスはなんだよ、な?」
「翻訳機。外国語だけじゃなく、創作言語とかの存在しない言語でも、話し手の言い方とかから翻訳してくれる。その上相手に話すときも翻訳して伝えてくれる」
「なんだそれチートか」
「理論は聞くな。複製は出来るが理論の説明は俺らにも出来ん」
「……和の能力の問題点か、な」
……和は、発明こそできるが理論の説明は出来ないことが多い。能力によるものだからか、自身の理解を遥かに越えたものを作ってしまうことが良くあるらしい。拓海もそれで作ったって言ってた、な。
今の会話をまとめよう。和達が作ってたのは、『亜空間に物を仕舞える大容量リュック』と『翻訳ネックレス』らしい。
「リュックは複製が難しいが、とりあえず圭、お前にやろう。ついでにネックレスも10個くらい持ってけ」
「な? ……色々聞きたいことはあるが、な。出来たばかりの発明品をそうポンポン他人に渡していいんかよ、な?」
「もともと、リュックは事件に首を突っ込みたがるお前のため。で、ネックレスはすぐ周りに渡す機会が来そうだと思ったからだ」
「なー……そんな予想立てられても、な……」
「ただし英語の授業では使わないように……と言っても、話す聞くしか対応してないから、読む書くは翻訳せんぞ。現地の人に読んでもらえ」
「分かったよ、な。ありがとう、な」
「楓も。ほれネックレス」
「俺にもか……ってそうだよ、なんで俺呼んだんだ?」
……そうだった。ここにきた理由は楓だった。
「決まってるだろ、技術部入りだ。上からの指示もあるから拒否権はない」
「……はぁ!?」
「諦めろ。俺も似たような感じだ」
「……お疲れ様だ、な……」
「春樹も圭も、同情するんじゃなくてコイツに何か言ってくれ!!」
須藤春樹。
和たちに振り回されてるせいかキャラが崩壊しているが、普段は無口クールで口を開けば罵倒が飛び出るらしい。
彼の過去を知る人は居ない。聞くとだいたいキレて喧嘩になるんだとか……記憶喪失気味だと言う噂がある事、銃オタであるという話を行人から聞くのは、少し後の話である。
能力は、気付いたら持っていたという腕輪を利用した電撃操作。ただ飛ばすだけじゃなくて、武器の形にしたり血液に混ぜて飛ばしたり……その腕輪の情報と、本人の電撃操作技術から技術部に投げ込まれたとか、な……異能力判定出なかったから、春樹自体は異能持ちじゃなく腕輪の力らしい、な。
技術部を後にし、帰路に着く。
明日は完全にオフ……なはずだ、な。
明後日は黒須の施設紹介がメイン。火曜日から授業が本格的に始まる……はずだが、なんだろう、異能力関係の事件が多過ぎて授業にまともに出られる気がしないんだよ、な。
船で見えた謎の気配も気になる。剛と、かなえの事も気になる。技術部から出る直前に和から言われた一言も気になっている。
期待も大きいが不安も大きい。明後日から大丈夫か、な……?
『そうだ。圭、言っておきたい事がある』
『なんだよな、な?』
『裏関係者の情報はそこそこ調べてるんだが……お前の周りで1人だけ、中学までの情報が不自然に少ない奴がいる』
『留学生には気をつけろ』
須藤春樹fromエマーコール様|(旧作投稿キャラ)
投稿ありがとうございました!
校長はあまり出番ありません。