4月11日-2 再会と集会
新キャラ2人出ます。
4月11日、木曜日。合宿3日目。晴れ。
午後。
「おっ、圭! こっちこっち」
「本当にいやがった……」
「そんな幽霊見たような顔をせんでもいいだろ、な……?」
「本当に会ったことあるんだ……」
洋輝に呼ばれ、向かった先にいたのは……見覚えある2人と何故か居るひい。
洋輝……正確には海里とは異世界で会ったが、その時海里と一緒に居たメンバーだ。ひいはあの時居なかったから、な……
「そういえば決着付いてなかったな。いつやるか?」
「……だから戦う約束からしてないって言ってるだろ、な!?」
だから戦う前提で話すな、な!!
……と、初っ端からバトルしようって言ってきたのは地上 震也。
名前的に俺と同じ土に関する超能力者……ではなく、炎を操る超能力者。パイロキネシストって奴だ、な。
事あるごとに勝負を吹っかけてくる戦闘狂。その手に炎を纏わせて殴ってくる近接の鬼。性格は単純バカで読みやすいが、読む読まない関係なしに火力放ってくるからあまり関係なかったり。正直戦いたくない。バカとは言ったが、行動が読みやすいだけである。
「……お前、今妙なこと考えてなかったか?」
「いや考えてねぇよ、な」
……ついでに勘も鋭い。
「ふむ、震也の事を単純バカとか思ってただけじゃないか?」
「オレはバカじゃねぇ!! ……覚えることは苦手だけどな……」
「それは知ってる」「だな」
「龍も洋輝もひでぇ」
……これはひどい。そして俺の心を読むな、な。
最後の1人は風祭 龍。
仙人のような雰囲気を出す、灰色の長髪の男。何事も外からの目線で見る、冷静な思考を持っている。そんで空を翔ける超能力者である。正確には空気に乗って浮かんだりできる能力を持っていて、それを応用して空気を蹴って空中を走ることが出来るらしい。見せてもらった事はあるが、詳しい事は分からんな、な。
洋輝達の住んでる町にある、『風祭孤児院』を経営する一家の子で、洋輝と震也はその孤児院で養護されているらしい。この3人、綺麗に海陸空だから領域トリオって言ったことがあるが、トリオはともかく領域って言われたのは初めて、って言われた、な……
「……っと、ひいはなんでここにいるんだよ、な?」
「ふぇ? 震也君に誘われたんだよ。クラス一緒だから」
「一緒?」
「うんうん。出身の話になった時に、圭君の名前が出たからびっくりしたよ」
「まず何があって出身の話になるんだよ、な?」
「自己紹介の時に班が一緒だった」
「なるほど、な」
……ちなみにこの班、後で分かるが魔境であった。
改めて自己紹介などをし、3人組と別れた後。俺とひい、ついでに行人と会ったので3人で雑談をしていた。
「でねー、直也君を庇ってね、圭君イノシシに突撃されちゃってね……」
「後から思うと死んでてもおかしくなかったな、な」
「そんな笑顔で言われても」
「ここからが凄かったんだよ。圭君、突撃されて上に飛ばされたのを利用して、近くの木に登ってね、上からグサリ」
「ヒェッ」
「必死すぎてその時の事あまり覚えないんだよ、な……返り血でやばかったらしいが、な」
「うんうん。一時期トラウマになってた人もいたよね」
「いた、レベルじゃなくてひい以外全員なってただろ、な……」
「色々ツッコミ入れたいけど、柊すげぇ」
「……しかし、あの時の怪我背中全体打撲で済んだの奇跡だよな、な……」
「圭君体丈夫だし、治りもおかしいくらい速いからね」
「いや、それで話が済むのはおかしい」
「自分の事だが俺もそう思う、な……な?」
行人から頼まれ、過去話に花を咲かせていると、順……と腕組みしてる女子が通りかかった。
「ん? 圭と行人か」「ひいちゃん?」
「バカップルじゃねぇか」「かな子ちゃん! 例の彼氏?」
「そーだよー」
「……前言ってた彼女か、な?」
「おう」
……ふむふむ、江上 かな子。順の彼女でひいと同じクラス……というか同じ班。またか。
順とは幼馴染で、順が好き過ぎて古谷家と共に引っ越してきた恋する乙女……の域超えてないか、な? 皆に好かれるアイドル的存在でもあり、隠れファンクラブがあるとか和から聞いたな、な……かな子本人や順を害する奴は許さない、的な過激派も多いとか。かな子自身は順と家族に嫌われなきゃ良いって性格だからか結構迷惑してるっぽい。
……ひいとかな子が恋する乙女同士で会話に入ってしまった。ひいも異世界にだけど彼氏いるからな、な。
「で、お前らは何してたんだ?」
「雑談」
「……他クラスの女子引っ捕まえての雑談?」
「ひいは俺と同じ中学校出身だよ、な」
「俺は圭と柊の過去話聞いてただけ」
「はー、なるほど……俺も聞いてみたい」
「イノシシに襲われて死にかけたってだけだな、な」
「は!?」
夕方。
あの後ひいとも別れ、行人と2人で行動していたんだが……泉先生に呼ばれ、個室の1つへ向かった。
中に入ると、拓海、麗華、洋輝、ほのか、彩花がいた。なんだコレ……拓海以外、異能判定が出てたメンバーだ、な。クラスの見えた人全員じゃないけどな、な……
「洋輝、さっきぶりだ、な……どういう組み合わせだよ、な?」
「いや俺らも知らん」
「圭君も来た事だし、説明しようかしら……黒須の異能力研究所の事をね」
「……な?」
……研究所?
「……先生、それって、な……」
「圭君、心配しないで。今日のうちに2人増えるとは思ってなかったけど……今ここに居るのは、1組で既に裏に繋がってる人よ」
「……先生、裏ってどう言う事ですか?」
「私達が把握してる……あっ、拓海君はちょっと違うけど。全員異能者よ」
「……えっ!?」
いまの一言で、俺たちは顔を見合わせる。異能判定は出てたけども、まだ能力に目覚めてないと思ってたんだよ、な……
「圭さんと洋輝さん、麗華さんは知ってましたが……まさか他にも既に裏に繋がってる人がいるとは。全く思っていませんでした」
「彩花ちゃんは知ってたけど……ほのかも?」
「実は今日見え始めたみたいで……わ、私は圭君達にびっくりしたんだけど」
「行人は今日目覚めたばっかだ、な……なるほど、増えた2人は行人とほのかか、な」
「……圭しか知らんかったんだが、こんなに居たのかよ」
「能力者って、血筋じゃなくて土地で出やすいのは知ってるんだがなー……俺等出身別よな?」
「色々話したいのはわかるけど、先に黒須の話をしてもいいかしら?」
「「「ごめんなさい先生」」」
「……謝る事はないわよ?」
裏関係の説明が終わった後、飯まで交流時間となった。先生は予定あるらしく説明したらすぐ出て行ったけど、な。
「……何が一番びっくりって、拓海がロボットだった事なんだがなぁ」
「和さんも『人に寄せた』と仰ってましたから、仕方ないと思います」
「いやいや、寄せたというか人にしか見えないんだけど!? ロボットらしい所って、見た目だと耳くらいしか無いけど……」
「……あー、ヘッドフォン外した所見た事なかったんだが、もしかして耳の代わりかそれ。なるほどだから外せないのか」
「確かに集音器の役目はありますが……外そうと思えば外せますし、内側に擬似耳もありますよ」
「……ってあるのかよ!! なんで外さないんだ!?」
「データの入出力デバイスも兼ねてるので……例えばこんな感じです」
「うぉっ!? 壁に何か……」
「……プロジェクター!?」
「その通りです」
「……(学校で要るのかなぁ)」
他のメンバーが拓海の機能で盛り上がってる中。俺と麗華は少し離れて話し込む……
「ねぇ……圭、彩花ちゃん達の能力も知ってたの?」
「……いや、俺の目は『持ってるかどうか』が分かるだけだから、行人やほのかみたいに目覚めてなくても、判定してしまうんだよな、な……」
「……そういえば言ってたわね、ごめん。素でびっくりしてるように見えたから、ちょっと驚いて」
「な……なー……」
「……どうしたのよ?」
「なんでもない、な……他に見えてた人を思い出してな、な……」
「クラスで?」
「な」
「……ちなみに誰?」
「まだ言えない、な……目覚めてるかどうか分からないからな、な」
「……それもそうか。聞いちゃうと変に意識しそうだしやめとくわ」
……麗華、すまん。能力について伝えてない部分があるんだよな、な。そのせいで変な返事をしてしまった。
いや、麗華だけじゃない。研究所にも、ひいたち宮風組にも言ってない事がある。この事を知ってるのは、両親と実家にいる妹だけだ、な……
この目で見たとき、超・霊・魔なら赤青緑みたいな決まった単色、それ以外の異能力なら様々な色の単色で見える……んだが、例外もある。
鏡越しなら自分も見れるんだが、俺の能力はどれに分類されるのか実はよく分かってない。単色じゃなくて、マーブルのように混ざった色に見えるんだよ、な。前者を単色、後者をマーブルとでも言っとこう。俺の場合は超能力と異能力の色が混ざっている。
俺以外でマーブルが見えた人はつい先日まで居なかった。異能力を2つ以上持つ人にのみ、マーブルで見えるんだろうなとは分かってたんだが、な……俺が例外すぎるから、誰も居ないと思ってたんだよ、な。
ここまで出てきたメンバーのうち、1組のメンバー……クラスメートだけ抜き出してみよう。
さらに、ロボットである拓海も抜こうか、な。
俺こと西京圭、
海道洋輝、
古谷順、
パトリシア・F、
矢島行人、
村上かなえ、
石崎剛、
白銀ほのか、
近江彩花、
そして、宮野麗華。
このクラス……いや、この学年には、マーブルで見える異能力者が10人いる。
旧作投稿キャラ1人出てないけど、出るのは宿泊学習から帰ってきてからです。宿泊学習中に絡めるタイミング見失ったのです。