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GottJagd -神狩り-  作者:
巻き戻してやり直し
16/18

ラケル

「あー、笑った。」

「ぐぬぬぬぬ・・・」


アルギネは気が済むまでヘクターを馬鹿にして、スッキリしたようだ。

対象的にヘクターはアルギネに対するヘイトがマックスに溜まっていた。


「勝負しろ、アルギヌ!」

「いいわよ、ただし負けた方は以後、奴隷だから。」

「よーし、言ったな、取り消さねーぞ!」


結果、瞬殺。

もちろん、アルギネの勝ち。

ま、そうだよね、皆そう思ってたよね。

ここでヘクターの方が勝てば面白い展開だったけど、ちょっと期待しちゃったのは内緒だ。

確かにあの地下空洞ではヘクターの攻撃力の方が圧倒していたけど、神性を失ってこっちに来て、巻き戻ってからはアルギネに一日の長があるんだから。

一日どころじゃなく、かなりの開きがあるんだよね。

始めっからヘクターには勝ち目が無かったんだ。


「ま、奴隷は勘弁してあげるわ、いつも傍に居られたらウザいから。

 ただし、戦闘中は私の支持に絶対に従う事、これは厳守よ。」


容赦が無い。

パーティーの編成は、ボクとアーサーとヘクターが前衛、アルギネ一人が後衛。

3枚盾だ。

アルギネは魔法を3つ同時に詠唱出来るので、攻撃魔法と治癒が同時にこなせる。

イザとなったら、変身してブレス攻撃も出来る、超優秀後衛だ。

アーサーはタンクとしては攻守バランスが取れた人材なので申し分ない。

ヘクターも『ex防御』を失ったとは言え、元々防御力特化のキャラだったため、防御力ステータスは高いキャラなんだ。

こっちもイザとなったら『ひよこカトリス』に変身してブレス吐けるしねー。


問題なのは、ボク。

アーサーのデコピンで死んだ位だから、敵の攻撃が当たったら、多分即死。

よく見て、また必死に避けるしかないのかー・・・

絶対、一番弱そうなボクに攻撃が集中するに決まってるんだよね。


他の二人の防御組は敵の攻撃が当たっても大丈夫だとは言え、多少はライフ削られるんだよね。

その点、避けたり回避出来れば、敵の攻撃を一回無駄にさせられる。

その一回無駄にさせたモーションの隙きに、他の人が攻撃を当てられるというわけ。

あ、『避ける』と『回避』は同じ意味だと思うけど、このゲームでは、ちょっと意味が違います。

自動的に、回避パラメーターでの確率的な計算で攻撃が当たらないのが『回避』。

自分でキャラを操作して手動で動かして避ける事をボクは『避ける』と言っています。

『避ける』には、キャラの素早さパラが高いほど素早い動きが出来るので、画面をよーーーく睨んで、敵がこっちに向けて何かする気配を感じたら、ちょっと横とか後ろに動いて避ける感じです。

これ結構疲れるよ。目も疲れる。

中の人の腕しだいだよね、文字通り。


アルギネに聞いたんだけど、アナログスティック付きのコントローラーをパソコンに繋ぐと遣り安いとか言ってた。

足も自由に動かすには、ゲームの設定からモードを切り替えて、テレビとかの大きなモニターにカメラを付けて、全身を映すようにして、無線コントローラーを持つという方法もあるみたい。

なんか、余計なお金かかるなー・・・お父さん、もうお金出してくれそうも無いや。



さて、第四戦。

あ、今度の相手はスケルトンばかりの5人チームだ。

前衛に剣を持った骸骨が2人、後衛の左右にフードを被った骸骨が2人、その真中に子供の骸骨が1人。


「「「あ・・・」」」

「え、なに?」


アルギネとアーサーとヘクターが同時に呟いた。

ボクだけがわからない。


「真ん中の子供の名前を見てみろ。」

「『Rachel』ラチェル?知らない・・・」

「ラケル。敵側の神だよ。

 あ、そうか、ワールドボイスで通知が会った時にお前は居なかったんだっけ」


ワールドボイスというのは、全ワールドに向けて通知される声の事で、たしか、ボイスオブザホウルワールド ・・・なんとかインフォメーションだったっけ、なんか、そんな感じ。略してワールドボイス。

神が生まれた時に流れた、GMからのお知らせなんかがそれ。


「名前からすると、女性ね。

 骸骨じゃ性別分かりづらいけど。」

「そうなんだ」

「私の名前と同じで、向こうはダイヤのクイーンよ。

 私はクラブのクイーンで、アルジーヌ。」

「アルギヌじゃないんだ・・・」

「アルギネじゃないんだ・・・」


色んな国のプレイヤーが集まって、言語翻訳でプレイしているゲームだから、それぞれ国での呼び名で呼ばれてもあまり気にしてないらしい。

ラケルもレイチェルと読む人も居るって。

じゃ、アルギネは今までどおりアルギネで。


「骸骨も男と女でちゃんとグラ変えてあるんだぞ。細かい拘りだけど。」

「へー、そうなんだー。」


向こうの住人だったアルギネとヘクターは、何かと薀蓄があるみたい。

あ、向こうの神がトランプシリーズという決まりが有る訳じゃ無いって。

偶々だそうだ・・・って、あれ?


とにかく、パワーレベリングしていたのは向こうも一緒だった。

向こうが5人でこっちとマッチングで釣り合ったという事は、最低二人は高レベル者と見て間違いないらしい。


「お前ら、どいつが高レベルか分かるか?」

「んー・・・、見分けられない様に装備を揃えて来てるわね。」

「分かるぞ、前衛の右と後衛の左のやつがそうだ。知ってる奴だ。」


最近まで向こう側の住人だったヘクターは、高レベル者は大体名前を知っているらしかった。


「ねーねー、ここで神対神の戦闘やっちゃってもいいの?国消えない?」

「なんだよ負けるつもりか?

 心配無い、戦争以外で緩衝地帯での戦闘ではそれは無いから心配するな。

 じゃないと、神キャラはレベル上げ出来ないだろ?

 ここでなら死んでも蘇生魔法で生き返ることが出来るから、思いっきりやっていいぞ。」


そうは言われても、心配になっちゃうんだよね。

ボクだけの体じゃないから、・・・って、妊婦さんみたいなセリフでちょっと赤面した。

死んでも大丈夫と言われると、ちょっと気が楽になった。


「ラケル以外を倒したら、ボクと1対1で戦ってみたいな。」

「お、面白そうだな、やってみろ。」

「仕方ないわね、なるべく魔法を当てないようにやってみるわ。」

「うひょー、面白そうだなー。」


戦闘前にそんな相談をしていたら、相手チームの人がプルプルし出した。


「何勝手な事をほざいてるんだ!」

「それはこっちのセリフだ!」

「お前ら全員、ラケル様の生贄にしてくれる!」


戦闘開始。

敵の前衛の2体のスケルトンがボクを目掛けて剣を振り下ろす。


(あれ?落ち着いて見ると、意外と動きが遅いのかな。)


緊張が解けたのか、相手の動きがよく見える。

しかも、相手が動き出してから避けても十分間に合う感じがした。

ボクはちょっと閃いて、普通なら横か後ろに避ける所を前方向に走り、前衛2人の間をすり抜けてラケルの眼の前まで来た。

ラケルはびっくりした顔をしている。

骸骨でも表情が分かる。まるで、某3D映画みたいだ。


「こんにちはラケル、ボクの名前はダイスケ。」

「デイシュキー・・・」

「ダ・イ・ス・ケだよ。」


虚を突かれた相手パーティーは、全員ボクに注目した。

前衛の2人なんて、完全に後ろを向いてしまっている。

アーサーとヘクターは、前衛の片方のレベルの低い方を二人がかりで屠ると、アルギネが残りの3人に向けてバインドの魔法を一瞬で掛けた。


「え、えっ?」


ラケルは目を白黒させている。

ボクはラケルの手を引いて、更に奥の方へ走った。

というか、巻き込まれない様に離脱。

そこへドラゴン化したアルギネが纏めてブレス攻撃。

生き残りにアーサーとヘクターが止めを刺して、ラケルを残して殲滅完了。

ここまで僅か10秒。

最初の予定通り、ラケルとボクとで1対1対決に持ち込んだ。


「おまえ、おまえー!ずるい!ずるいぞ!」


地団駄を踏んでるラケル可愛い。


「なんでヘクターまでそっちに居るんだよ!

 アルギヌとヘクターの裏切り者チームじゃないか!

 私だけ残して、なぶり殺しにするつもりかー!うわーん!!」


泣きべそをかき始めた。

うわー・・・日本以外ではR-15のはずだよね・・・


「あ、あのね、GvGの模擬戦やってみたかっただけなの、ごめんねー。

 みんなは手を出さないから安心して。」


ラケルの中の人、歳下に慰められてるなんて、ボクの本当の年齢知ったら赤面かも・・・


「ほんとに?」

「ほんとほんと、バ◯カン人嘘つかない。」


右手の指を揃えて、中指と薬指の間を広げて∨サインする、バ◯カン式の挨拶をした。

何で知っているのかって?おじいちゃんがトレッキーで、お父さんがトレッカーなんだよ。

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