マトリョーシカになりたい。
基本的に、コメディーの作品ですが、最後はホラーが少し入りますので、
苦手な方は、読まないようにお勧めします。
何時かなれるかな? マトリョーシカに...。
僕は憧れている。ロシアの人形だ!
胴体の部分で上下に分割でき、中には少し小さい人形が入っている。
これが何回か繰り返され、人形の中からまた人形が出てくる。
これを、僕自身がしたい! 僕の中から、僕が出てくる。どんどん、
小さくなっていく僕を......。
~~~
...そんなある日、突然! 僕の肩を軽くたたくおじさんに出会う!
髪が白髪で、もしゃもしゃした感じ、何処かの研究所で働いているのか?
真っ白の研究衣を着ていた。
そのおじさんが、何故か? 僕に話しかけてきて......?
「キミは、マトリョーシカになりたいんだろう?」
「突然! 何を言ってるんですか?」
「そんな事は、どうでもいい! マトリョーシカになりたいんだろう?」
「えぇ! まぁ、そうですけど...?」
「なれるぞ~! マトリョーシカに...!」
「本当ですか!?」
「もちろんだーー!!」
「でも? どうして、僕がマトリョーシカになりたいとわかったんです
か?」
「ジャジャジャジャーン! 何処でも? 誰でも? 人の気持ちがわか
っちゃう~ 道具を使ったからだーーーーーーー!!」
「はぁ? さっぱり、言ってる事がわかりませんけど...?」
「だから~ わかっちゃう訳だよ~ 人の考えてる事が!?」
「いやいや? それって? 違法ですよね~」
「そんな事は断じてない!」
「ただの? 危ない人なんですか?」
「キミ! 失礼だぞ~! 未来のノーベル賞を取ろうとしてる者に!」
「いや? そっちこそ! 盗聴器でも、僕につけてたんじゃないの?」
「まぁ、びっくりするのもわかる! ちゃんと、話し合おう!」
「あのう話? 嚙み合ってないと思うんですけど...?」
「.......」
「えぇ!? 無視?」
「まぁ~ いいよ! 話しぐらい聞くよ。」
「良かろう!」
「自分勝手なおじさんだな~」
「実はな? マトリョーシカになるには、分子細胞まで......」
「難しいよ~ 簡単に説明してくれる?」
「所謂! 分身の術だー!」
「分身するの?」
「しかも? どんどんちっちゃくなる分身の術だ!」
「しかもだ! 上下 『パかっと』開くんだぞ~! イイだろう~!」
「それ? いいねぇ~」
「よし! 今から、やろう!」
「今から? 大丈夫なの? 」
「大丈夫だー! 俺に任せろ!」
「う.うん」
~~~
そして、そのおじさんが働いている研究所に行って、実験がはじまる。
僕もとうとう? マトリョーシカになれると喜んでいた。
いざ! 始まってみると...?
「バキバキ、ボキッ! バキバキ グッ!ゴボッ...」
「ウーーーー!! ギャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「胴体と下半身が......取れた!?」
「でも? 両方とも動かせる!?」
「バラバラに動くのか? どうなってるんだ~!」
「これは凄いな~ やるな~ 博士!」
「でも? 博士! 小さい僕が出て来ないけど......?」
「しまった! 失敗した......。」
「えぇ!? どういう事!?」
「ごめん、失敗した。本当にすまない!」
「どうするんだよ~ 胴体と下半身がバラバラになったけど? 元に
戻るんだよな~」
「本当にすまない.......!」
「何言ってんだよ~ 元に戻せよ~」
「まだ、今の段階では...元に戻す研究が進んでいない。」
「ふざけんなよ~ この状態で、外歩けないだろ~」
「そこは、何とかするよ!」
......僕はどうなるんだ? 『胴体と下半身がバラバラ』って? 化け物
じゃないかー! こんな体にされて、どうしたらいいのか?
~~~
結局、元に戻す事は出来なかった。彼は、このままの状態で、人の目が
届かないところで、ひっそりと暮らしている。
『マトリョーシカになり損ねた化け物として...。』
最後までお読みいただきありがとうございました。