第33話 火山の封印
対策会議の後、カイン様、アン様、アルベルト様、それに私で、ドラフォレス城の裏手にある風穴に来ていた。
対策会議の後、自然災害では火山の噴火が一番の問題ということになったのだが、カイン様が言うには風穴の奥には封印があり、噴火を抑え込んでいるとのこと。
それを確認するため、風穴に来ていたのだ。
風穴の奥には王族のみが入れることになっているため、この畏れ多いメンバーとなったのだ。
当然、私は付いて行けないのだと思っていたら、付いてきて良いとのこと。
あれ?
良いのかな?
と思いながら、一番後ろから付いて行く。
風穴を少し進むと道が崖で途切れていた。ここが前回、私が落っこちた場所だろう。アルベルト様は灯りをカイン様に手渡すと、慣れた手つきで傍の壁を押した。すると壁が滑らかに動いて階段が現れた。
凄い!
私が感動していると
「レイチェル、そろそろ階段を降りてくれないかな?」とアルベルト様に言われた。
はい。すみません。
カイン様やアン様に続いて、階段を降りる。アルベルト様が手を離すと、壁は滑らかに元の場所に戻って行った。
「誰にも話しちゃダメよ。話したら……」
アン様が指で首を切るマネをする。
うわあ、まあ、そうですよね……首筋に感じる風穴の風がやけに冷たい……
そこにアルベルト様が間に割って入ってきてくれた。
「姉上、レイチェルをそう怖がらせないでください」
「あら、大事なことよ。それよりいいの? 貴方がここにいたら、カイン様が先導することになってしまうわよ」
アン様に言われて、アルベルト様は先頭に戻って行った。
それから先も色々な仕掛けがあったが、それらをアルベルト様が外していく。随分、慣れているように見えた。
初めのうちは感動していたが、だんだん飽きてきた。仕掛けがワンパターンなんだよね……
丁度良いので、聖剣授与について、アン様に聞く。
「聖剣授与ね……アルベルトは貴女に出席して欲しいと頼んだ訳ね」
「はい」
アン様は暫く考えて込んでいたが、徐に問いかけてきた。
「ねえ、私が第1王女で、アルベルトが第2王子って変だと思わない?」
そう言えば、ドラフォレスには第1王子はいない。第1王女がいるのだから第1王子はいないのだと思っていたけれど、考えてみれば変なのかな?
「ドラフォレスは男女平等……王女でも王子でも平等に王になる権利がある……そのことを示すために、王子王女に区別無く生まれた順番で呼ぶのよ」
アン様は更に続ける。
「それでも、王女が王になることはあり得ない。あの重い聖剣を振り回すことなんて、女の私に出来る訳がない……これで、アルベルトが聖剣授与を行ったら、私は王位継承権を失うことになる……」
アン様が顔をそっと見た。灯りは持って来ているけれど、アン様の顔は暗闇に隠れて、どんな顔をしているのか分からなかった。けれど、表面上の平等に、憤りや悲しみを感じていることは声色から十分に聞き取れた。
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地下奥深くにまで潜ると、広い部屋に出た。
その中央に精緻な紋様が描かれている。魔法陣というやつだろう。大人の男性が手を広げたよりも大きいくらいの精巧なモノであった。
「時間が経つと魔力が弱まり風化してしまうのでな。何十年かに1度は書き換えねばならぬが、今はまだ大丈夫なはずだ」
カイン様は説明する。確かに描かれている線は鮮明で、風化しているようには全く見えなかったし、なにより、私でさえ魔力が循環しているのが良く分かった。
これなら噴火は起こりえないだろう。
そう、思っていると、頰に風を感じた。
あれ?
なんだろう?
こんな奥の部屋なのに……




