第24話 魔王とのダンス
普通の人間に見えるように魔法をかけているという魔王と一緒に夏至祭を楽しむことにした。
出会いが最悪だったけど、それからはほとんど被害は無いし、そんなに悪い奴じゃないと思うんだよねえ。更に言えば、ここで私が騒ぎ立てても、誰も信じてくれないというパターンになりそうというのもある。
まずは、スージーと私で作った冷製スープをいただくことにする。裏ごしを頑張っただけはあって滑らかな舌触りだ。
「やっぱり冷たくて美味しいねえ」と、スージーと冷製スープを堪能していると、魔王も一緒にスープを味わい、そして呟く。
「ヴィシソワーズか……美味だな……」
そう言えば、それが正式名称だった。おじさん達にしっかり名前は教わったはずだったんだけど、スージーも私も名前を覚えるのが面倒で、冷製スープで押し通していたのだ。
それにしても、魔王は意外に物知りだ。いや、魔王だから物知りなのだろうか……
魔王の白い横顔を眺めながら、様々な疑問が浮かんでは消えていく。
なんで、私は特別なんだろう?
魔王は、なんで、こんなところで私と一緒にいるんだろう?
本当に結界から出てきてしまっているんだろうか?
色々聞きたいことがあるんだけど、聞くと怒り出してしまうかもしれないから聞きづらい。それに魔王が本気を出したら、誰も止められないだろうし……
それでも、
聞きたい聞きたい聞きたい……
どうにかして、真相に迫る方法は無いものかと魔王と食事をしながら思う。
色々考えた挙句、考え付いたのは、何も言わずに見つめる作戦だった。
質問させてもらえないのなら、向こうから話したくなるように仕向けるのだ。
そう言えば、同級生にこういう子がいたなあ、と思い出しながら、私は小首を傾げながら魔王を見つめる。
魔王は、私の視線など一切に気にせずに食事をしている。
むー、なかなか手強いなあ。
「ダンスが始まるようだぞ。踊るか?」
私は一応、母からダンスも教わっているので、踊れなくはない。
「ええ、お願いします。スージー、ちょっと踊ってくるね」
「へえ、レイチェルたちはダンスができるのか……貴族様みたい……」
とスージーはびっくりしていた。
母から仕込まれたステップを踏んでいく。やはり一通りは覚えていた。そもそも、大広間とは言え、一般市民で溢れかえっていて本格的に踊るようなスペースはないので、誤魔化しは効くんだけどね。
やっぱり魔王の体はひんやりして気持ちが良かった。
少し余裕が出てきて、周りを見回しながら踊っていると、宮廷魔術師のクリスさんがこっちを見ているのに気が付いた。




