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第20話

「クリスさん、夏至祭の準備もありますので、これで失礼します」

「そうですね。頑張ってください」


クリスさんと、ありきたりな会話をして別れた。スージーが私の顔を見ながらニヤニヤしている。


「スージー、クリスさんは私の父と話をしたくて、私の家に来たんだからね……」

と、私が釘をさそうとするのに、スージーは

「いいって、いいって」

と取り合わない。うーん。これはダメだな。また、話のネタにするに違いない。


ここはガツンと言ってやらないとダメかなと気を引き締めようとしたとき、


「ああ、ここにいたのか!」

と、凛々しい声がした。なんとアルベルト様だった。夕日がアルベルト様の髪を照らして、キラキラしている。


そして、

「明日の夏至祭は出られるかい?」

と聞いてきた。


うーん。今日の準備の進み次第かなあ。

スージーの顔を見てみると、やっぱり難しそうな顔をしていた。


「私たち、冷製スープの担当になったので、その準備の進み次第ですね……」

「そうか……冷製スープの担当になったんだね。あれはいつも人気だから頑張って」

と、アルベルト様は見るからに残念そうにしながら、激励してくれた。


「ええと、できるだけ出られるよう、上司と相談してみます」

「そうか!」

アルベルト様は人の良さが溢れんばかりの笑顔になった。きっと、素直で優しいんだろうなあ、と思う。


「じゃあ、僕も準備があるから、これで」

と、アルベルト様は行ってしまった。


アルベルト様の準備ってなんだろう?

王族の方には王族の方にしか分からない苦労があるんだろうなあ。


厨房に戻る途中、なんとなく気になって、スージーに聞いてみた。

「ところで、スージーには好きな人はいるの?」

「べ、べつに、アタシは好きな人なんか……」


スージーは、綺麗な赤毛もビックリなほど真っ赤になった。なんと分かりやすい。

でも、スージーの好きな人って誰だろう?

スージーの身近な男性というと、一番身近なのはジョン主任だけど……

それはないかな?


明日が夏至なので太陽はまだ出ているけれど夜は短い。早く準備を終わらせないと……


スージーと私たちは早速準備にとりかかる。ジャガイモの皮を剥いて細かく切って、同様に細かく切ったタマネギと一緒に炒めて、これに前から準備してあるスープを加えて煮て裏ごしをして、冷暗室に持って行く。


この繰り返し。


さっきから何度も繰り返しているけど、持って来たジャガイモが全然減らない。これは地味にツライなあ。


ただ、周りを見ると、みんな真剣に明日の準備をしている。私たちも頑張らないと。


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