第15話
「こちらです」
クリスさんを我が家へと案内する。
街中をクリスさんと歩くと皆が振り返る。やはり銀髪というのはドラフォレス王国でも珍しいのだ。父によれば、世界には全員が黒髪黒目の国もあるということだけれど、そんな国にクリスさんが行ったら珍獣扱いされてしまうのではないだろうか?
それにしてもクリスさんの髪は綺麗な銀髪で、しかもサラサラのストレートだ。このサラサラのストレートというのが、癖っ毛な私としては心底羨ましい。
「どうしたんですか?」
私の視線に気づいたようで、クリスさんが聞いてきた。
「クリスさんの髪は綺麗だなあと思いまして……」
私は正直に感想を言う。
「白い髪がですか……」
「え、銀髪じゃないですか」
「まあ、見ようによっては銀髪ですが……」
クリスさんはあまり自分の髪が好きではないようだ。
「でも、サラサラで素敵ですよ」
「ありがとう」
クリスさんはニコッと笑顔になった。クリスさんの笑顔にはいつも癒される。
あまり、よそ見をしていたせいで、道路の敷石につまづいた。
ああ、転ぶなあと思って手をつく準備をしようとしたら、クリスさんが助けてくれた。
「ありがとうございます」
「構いませんよ。できれば、あのときにも助けられたら良かったのですが……」
クリスさんは、未だに私が魔王に突っ込んで行ったときのことを後悔しているのか……
「本来、宮廷魔術師である私がアルベルト様をお助けすべきところを……私が攻撃魔法が得意ではないばっかりにレイチェルには大変な思いをさせてしまいましたね……」
クリスさんがどんどん暗くなる。私はなんとか明るい方に話を持っていこうとして急いで聞いてみた。
「ええと、クリスさんは、どんな魔法が得意なんですか?」
「私は魔道具の作成の方に特化してしまっているのですよ」
そう言えば、父が言っていたな。魔道具を使用すれば魔法が使えない人間でも一時的に魔法が使えるようになると。
「クリスさんが、自分で作った魔道具を使う訳にはいかないのですか?」
クリスさんは、赤茶色の目を大きく見開く。
「まさに今、それができないか検証しているところなのですが……レイチェルはときどき物事の核心を突きますね」
そんな話をしているうちに我が家に着いた。
呼び鈴を鳴らすと、父と母が迎えに出てきた。
「クリス様ですね。ようこそ、いらっしゃいました」
大仰な仕草でクリスさんを迎え入れる。もう母の独壇場だ。
今日の晩餐も、母の1人舞台になるだろうなあと思って、少しだけ溜息を吐いた。
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