表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

3、また、遊ぼうね

 女は生え始めたばかりの草を踏んでいる。 赤レンガの屋根に、クリーム色の外壁の小さな家が目の前にはあった。


「ありがとうございます」


 女は控えめに微笑んだ。穏やかそうな眼鏡をかけた男性と話し込んでいるらしい。


「いえいえ、これぐらいおやすいごようですよ」


 男と女は家先で、互いに挨拶を交わす。

 今にも日が暮れてしまいそうだ。




 一陣の風が、黄金色の稲穂たちを揺らす。


 温かくて、いつでも優しかったなぁ、と女は思った。

 泥だらけになりながら、一生懸命に墓を作り、花を供える。


 女はぽろぽろと、涙をこぼした。

 可愛がっていた猫が、亡くなってしまったから。


『さようなら、また、遊ぼうね』




 1匹の愛らしい白い猫が、女の目の前を通り過ぎていく。


「・・・・・・あっ!」


 女は、何かに気が付いたようだった。




 ――残す記憶はあと一つ。


 もうほとんどない記憶に、女はしがみついていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ