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辞書的彼女が笑うまで  作者: 小狼
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第六版

それは夏の暑さがやってくる前の、もっとたちの悪い梅雨の時期だった。

俺はすれ違いざまに出会った化学の先生に頼まれた返却期限を過ぎている本を図書室に届けたときのこと。

本田 桜は汗を流しながら、国語辞典・第六版を一心不乱に読んでいた。


「……宿題かな?」

そうはいったが、彼女の周りには教科書は元よりプリント類さえ見当たらない。

ただ、メモをすることのなく、読んでいる。

恋愛も、謎解きも、ワクワクもない、無機質な”辞書”を。

「まあ、いいか。さっさと本返して俺も帰ろう。」

本を返し終えて、再度彼女を確認する。

姿勢は変わらず、まばたきも必要最低限で、ページをめくる指だけが動いている。

「せっかくだし、何か本見てみるか。」

本を読むことは結構好きな方であり、偶々来ることになった図書室の本々に興味があったのは嘘ではない。

しかし、誤解しないのでほしいが、俺は辞書を読み物として読んでいるらしい彼女に少し興味があった。

再度言うが、別に彼女の容姿は確かに可愛いがそれに魅了されたわけではない。

「あ、この本、最新刊出てたんだ。」

俺は彼女を別に監視しているストーカーというわけではないが、目に入る位置で手に取った本を読み始めた。

「それにしても……暑いな。」

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