表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界三国記  作者: エラスティコ
第一章 転生編
4/8

第四話 お泊まり会 前編

 俺がこの世界に生まれて、はや7年が過ぎようとしていた。


 この数年にも色々あったが、少し紹介するとしよう。

 まず一つ目、去年の誕生日を迎えた後、俺に家庭教師が2人付く事になった。


 一人は武術の先生で、名前はガイルさん。どんな人かというと


「あ、ガイル先生、こんにちは!......どしたんですか?そのおでこ」


「やあこんにちはクロエくん。や、さっきいい風がふいてね、オルナさんのスカートがヒラっとめくれてねえ」


「で、覗こうとしてオルナに石でも投げられたんですか......」


「いやあいい投石だったよ!彼女はいいハンターになれそうだ。はっはっは!」


 とまあこんな感じのおっさんである。


 だが武術の腕は確かなようで、先生兼、外出時の俺の護衛でもある。ちなみに

 魔法術は気術メインで、火の変術も使えるなかなかすごい人なのだ。


 もう一人の先生は学問と礼儀作法の先生で、名前はサネラさん。

 以前はさる大貴族様のご令嬢の先生もしていた事もある、これまた優秀な先生だ。


 この二人が付くことに決まった時、俺は父と、ある約束をした。


「お父様、頑張りますので、ご褒美にいつか砦に連れて行って欲しいです!」


 そう、父が守っている国境砦はなかなか立派な砦だそうで、男としてはやはり興味のある所なのだ!


 が、仕事場でもあり一応危険もある場所なので、一度お願いした時ははぐらかされそのままだったので、頑張る息子を武器にねだってみたのだ。

 ここで断ったら息子のやる気はだだ下がりになっちゃうぜパパン!


「む... ではまずは一年、一生懸命がんばってみろ。そうすれば砦に連れて行ってやろう」


「一年ですね!分かりました、頑張ります!」


 一年もお預けとはなかなか長いが、まあしょうがない。のんびりと頑張るとしよう。




 二つ目、俺に弟が出来ました。じゃじゃーん


 名前はシロエスタ。クロエとシロエ、双子みたいだな。


 パッチリおめめで、ちょー可愛いです。


 前世では妹のみだったので、今から将来が楽しみなのだ。


 未羽は、あれはあれで可愛い妹だったが、ことあるごとに兄に暴力を

 振るおうとするバイオレンスシスターだったのでホトホト困っていたのだ。


 いつだったか、可愛さ余って憎さ百倍とばかりに、小さないたずらを仕掛けたら


「10倍返しです。お兄様。にこっ」


 と、どこぞのドラマに影響されたんだというセリフとともに10倍どころじゃない

 仕返しを受ける羽目になった。うう、古傷が痛むぜぇ



 という訳で、弟は素直に育って欲しいものだ...... 


 頑張って、尊敬できる素敵お兄ちゃんを目指そう。うん。




 他にもちょこちょこ色々あったが、今は置いておこう。


 そして今日、やっと俺は7歳の誕生日を迎えた。


 貴族ともなれば、ぱーっとド派手なぱーちーなんかやりそうだが、12歳で社交界にデビュー

 するまでは、王族やそれに連なる大貴族でもない限り、内輪でささやかに祝うものだそうだ。

 まあうちは元々派手なことが好きではないので、父や母の誕生日も内輪+父の部下や近所の人

 を数人呼んでの、割と質素な物なのだが。


「おーうクロエ!元気でやっとるか!」


「あ、おじい様!おばあ様も、お久しぶりです!今日はわざわざ来て下さってありがとうございます」


「あらあら、相変わらずクロエさんは礼儀正しいわねぇ。デンゼルの子供の頃とは大違いね」


「そうなのですか?」


「そうよ~勉強せずに遊んでばっかりなのに、いっちょ前に文句だけは多い、悪ガキだったのよ ふふ」


「...母さん、昔の話は勘弁して下さい」


 父がバツが悪そうに遮った。大丈夫だぜパパン、なんたって俺はもう27だからな!


「所でクロエよ。お前もう彼女とかできたの...」


 バキョッ!!


「おじいさん、クロエさんはまだ7つなんですよ 何をいってるんですか」


 おおう...おばあ様、にこやかだけど、その裏拳はハンパないぜ......

 じいさん鼻折れたんじゃないか?


「おおう、それもそうじゃの はっはっは!」


 あ、なんか平気そうだ。

 でもおばあ様には逆らってはならないと肝に銘じておこう。


 そんな事をしているうちに準備も整ったようで、パーティー開催となった。

 毎年、パーティー中は父の計らいで、メイナー家に仕えてくれている人たちも手を休め、

 一緒に祝ってくれている。大勢でわいわいやった方が楽しいからな。


 で、お楽しみのプレゼントの時間になった。


 まず、家臣団と先生二人からの合同で、代表のセバンツから渡された。


「ドルガーナのコートでございます。お気に召されれば良いのですが」


 わお、なにこれちょーかっけーです!


 ドルガーナというのは、隣のターフス領に店を構える、王国中にファンを持つ

 有名デザイナーで、母も思わず「いいなぁ、、」とつぶやいちゃうくらい人気のお店だ。

 見たこともない深く鮮やかなブルーの極上の生地に、所々キルティングと模様、少しの宝石

 をあしらった、素晴らしいコートだ。うーんステキ!


「ありがとうございます、すごく気に入りました。大切に着ます!」


 母からは、ペンダントだった。


「これは、中に結界術が封印されてるペンダントなの。万が一の護身用だけど、

 デザインが気に入ったのが大きいわ どうかしら」


 精密なレリーフの施されたイカしたデザインのペンダントだ。前世では、こういう

 のは全く似合わなかったが、今の容姿ならこういうのも似合いそうだ。早速装着。


「素敵なデザインですね!これもとっても気に入りましたお母様。似合いますか?」


「うん、素敵よクロエ」


「よかったなクロエルド。さて、私からはこれだ」


 といって父が差し出したのは、少し武骨な感じのするショートソードだった。


「これはメイナー家に代々伝わっている物の一つ。銘をアルナスという。

 治世という意味を持つ名でな、豊かな暮らしへと民を導ける、立派な領主

 を目指して欲しいという意味を込めて、代々嫡子へと受け継がれてきた剣だ。

 期待しているぞクロエ」


「...はい。頑張りますお父様」


 最初は現代チートを駆使していろいろやろうかと思っていたが

 領地経営も暮らしも問題ない状態で、無理に頑張らなくても

 のんびりやればいいか、というスタンスに落ち着いていたが

 こんな風にいわれるとちょっと考えてしまうな、、


 せっかくのこの恵まれた環境で、俺はどうしていくべきなのか、、



「さて、わしとばーさんからのプレゼントは外に用意してあるのじゃ」


 現代だったら乗り物系が出てきそうなセリフだな。ん、という事はもしかして...


「おお、これは!」


 外に居たのは、まだ若そうだが立派な毛並みとしっかりした体躯の美しい白馬だった。

 最後に最高のサプライズだぜ!


「早く乗りこなせるよう頑張ります!やったー!」


 その後は、爺ちゃんが酔いつぶれたり、なぜか執事のセバンツが泣き出したりと

 ハプニングもあったが、とても楽しい一時を過ごし、その日は終わった。









 ーーー



 誕生日がすぎ、いよいよ砦へのお泊まり会の日がやってきた。


 砦で2泊、父の出立から帰宅までの1サイクルにくっついていく形だ。


 先日貰った剣を腰に付け、ドルガーナのコートも羽織り、ペンダントも胸に輝いている。

 残念なのは白馬のユキ(俺命名、シンプルでいいだろ?)ちゃんはお休みだ。

 まだ長距離は自信が無いのよね。


 父の前に乗せて貰って、配下の騎士さん数名と半日ほど行くと、見えてきました

 国境砦!なかなか見応えのある外見だ。ワクワクが止まらないぜ!


 色々想像しながら砦を眺めていると、馬に乗った騎士さんがこちらへ走ってくるのが見え、

 騎士さんは此方に気付くと駆け寄ってきて大声で叫んだ。


「メイナー様、大変です!」


「どうした!?」


「第二王子、アルセル様がお忍びの査察に参られております!」



 ナ、ナンダッテー!










 急いで砦に駆けつけた父は、砦の外には絶対にでないように、と釘を

 差した後、王子の元へかけていった。


 さて、どうしたものか。

 父も大変だろうし、今はうろつかない方がいい気がするな。

 詰め所か休憩所でも探して、まってようか。


「ちょっと」


 ん?


「そこの青いコートのあんたよ!」


 俺の事か?

 声のした方を見てみると、同い年くらいの生意気そうな感じの

 銀髪の女の子が、こっちを睨んでいた。 何で俺睨まれてんの?


「ええっと、僕の事?」


「そうよ!なんであんたみたいな子供が砦にいるのよ」


 おめーも子供だろうが!というつっこみは子供には通じない。

 ってか何でこんな小さい子がいるんだ?俺と同じような感じなのかね。


「僕はお父様にお願いして連れてきてもらったんだよ。君はどうしてここに?」


「私も似たようなものよ。今暇だから相手してあげるわ。感謝なさい」


 シネーヨ...

 でも困ったな。遊んであげるのはいいが、今は王子様が視察中みたいだし、

 子供がうろうろしてるのを見られたらいい印象は無いだろう。

 この子も連れて詰め所で大人しくしてるかね。

 しかしお互いタイミングに来ちまったな、お嬢さん。


「えっとね、今はこの砦に第二王子様がいらしてるらしいんだ。子供が

 うろついてるとお互い親に迷惑かけちゃうかもだし、どこか休憩できるとこで

 一緒にまってよっか」


「は?大丈夫よ!あなたこの砦は詳しいの?案内しなさい」


 めんどくさい子供だなあもううう!


「いや、大丈夫じゃなかったらどうするの?お父さんが怒られちゃうかもしれないよ?

 そしたら嫌でしょ?」


「お父様を怒れる人なんていないわよ!それにアルセルお兄様はそんな事でいちいち怒ったりしないわ!」


 は?アルセルお兄様? ...え?


「ここにいたのか、ソラナ」


 ぬお!


 振り返ると、地味な服装ながら全身から貴族オーラを溢れさせた

 THE.王子!という雰囲気の青年が立っっていた。あ、後ろに困った顔したパパンもいるぜ。

 っつうか王女なら最初にいってくれよ。めっちゃタメ口で喋っちゃったじゃんよ... 


 取りあえず慌てて跪き、頭を下げた。


「あ、アルセル兄様!もう終わったのですか?」


「いや、これからだよ。ええっと、そこの子は?」


「ハッ私の息子のクロエルドですアルセル様。勉強の一環として、連れてきておりました」


「...ふむ、クロエルドくんか。ああ、そんな畏まらなくてもいいよ、今日はお忍びだしね。

 それと、丁度いいし、私が用事を済ませてる間ソラナの相手をしてやってくれないかな。

 この子は同世代の友達が居なくてね。遊んであげてくれると助かる」


 ツツシンデオコトワリタイデス......


「もう!お兄様、私が!この子と遊んで上げるんです!」


「ははは、じゃあ頼んだよ。ラズ、一応護衛についておいてね。

あ、ソラナ、マーサを少し借りるよ。じゃあ行こうかデンゼル」


「ハッ...クロエルド、くれぐれも失礼の無いようにな」


 そういい残し、王子と父は護衛のおっさんと王女を置いてさっさと行ってしまった。勘弁してくれ...









「...ソラナ王女、存知得なかったとはいえ、先ほどは非礼な言動をしてしまいました。

 どうかお許し下さい。」


 こうなりゃ、せいぜいゴマすって父の出世の足しにでもするとしようか。まずは詫びだ。


「いいわそんなの。それより、さっきから気になってたんだけど、そのコートどこで買ったの?」


 アリガトゴゼマス しかしこのコートで目をつけられたのか さすがドルガーナ。


「ハッ、このコートはドルガーナという洋品店に特注して作ってもらった物です」


「ドルガーナ!あそこって王専属になれっていっても頑として頷かないし、お店も王都から遠いから引っ越して欲しいけど動かないの!でもあそこのドレスはほんと素敵なのよね!」


「職人というのは頑固な者が多いと聞きます。ですがそういう所もまた、良い物を作る為の一つの秘訣

 なのかも知れませんね。」


「ふ~んそういうものかしら」


「ですが、たしかにあそこで作られる物は私のような者ではなく、ソラナ様のような

 気品溢れるお方にこそお似合いになるかと思いますよ!はい!」


 クロエのターン!必殺スキル「ヨイショ」を展開!


「そういうのはいいわ。っていうかそのしゃべり方もやめてさっきみたいに

 喋ってよ。なんか気持ち悪いわあなたのその喋り方」


 ミス!姫の反撃スキル「罵倒」が発動!クロエに瀕死のダメージ!


 ひどいダメ出しをされた。お父様、あなたの息子はゴマスリの才能はなさそうです。

 しかし王族にタメ口とかほんとにいいんだろうか。後ろのおっさんも何もいわないしいいか。


「じゃ、いきましょ!」





 そんな感じで、王女のちょっとした愚痴とか聞いたり砦について聞かれたりしながら

 砦内の散策をして回った。王女付きで気は使うが、初めて見る砦内の風景に

 俺は心を踊らせていた。やっぱこういうのは男の浪漫だねえ


 そして俺たちは、屋上に設置されているという兵器を見るために屋上へと移動。

 俺も初めての為、ダズさん(護衛のおっさん)が半分ガイドさんになっていて、教えてくれた。


「そういえば、あそこに見える森にある泉は大層美しく、精霊様が棲んでおられるとされていて、

 有名な彫刻職人によって造られた精霊像が奉られているそうですな」


 バリスタっぽいものを眺めて興奮していると、ダズさんがそんな事を行ってきた。


「へえ!ちょっと見にいきましょうよ!」


 う、俺も少し見てみたいが、たしか外には出るなっていわれてたんだよな。


「外には出てはいけないっていわれてるからダメだよ」


「ふん!私は言われてないし、ダズがいるから平気よ!ね?ダズ」


「ハッお任せ下さい」


 んー護衛もいるし大丈夫かね、機嫌を損ねても困るしな。


「じゃ、行くわよ!」


 全く強引な姫でござる。







 砦から出て、10分ほど歩きようやく泉のほとりに到着。

 上から見るとすぐっぽかったが割と遠かった。


「やっとついたわね... でも精霊像ってどこかしら。」


「そうですね。どこで...」


 その時、ほんとになんとなく、後ろが気になった。


 っていうかよく考えればおかしかったんだ。王都から来たはずなのに妙に砦の内容に詳しかったし、精霊像なんて、近くに住んでいる俺も聞いた事がなかった。














 ーー振り返ると、今まさに振り下ろさんと、剣を上段にかまえた、ダズの姿があった。


 またこのパターンっすか。




泊まってないっていう


ご意見ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ