鯉は恋をした※本家

深い林の中——そこには大きな湖があった。
その湖の中には、周りの魚達とは似つかない一匹の鯉が住んでいる。

ある日、鯉は湖の沖で泣いている少年と出会う。
少年の名は――海渡。
鯉は泣いている海渡を励ますうちに、少しづつ海渡と仲良くなる。やがて、友情の印として海渡は鯉に〝雫〟と、名前を付けた。
海渡と過ごす日々は、鯉にとってかけがえのない物へと変わり、そして、いつしか己の気持ちに気がついた。
『海渡が好き』という気持ちに。
その気持ちは自然と魔女に届き、魔女は鯉の願いを叶えてやると言った。
鯉は魔女に願う――人魚にしてほしい、と。
恋人として寄り添えることができなくても、友として話をしたい鯉は、魔女の魔法により人魚になる。
しかし、人魚になっても、鯉は自分から話しかける勇気を出せずにいたのだった。

そして、人魚の噂話を聞きつけた謎の男が現れて――！？