人格形成 2
細切れになるかもしれません。修正加筆すると思います。
クラスメイトや友人とは適度な距離感を保ちつつ、俺は中学を卒業した。
特に自分から遠ざけるようなことは無かったのだが、何せ学校が終わればバイトバイトの日々。学校の終わる夕方から、深夜帯ギリギリの時間、そして早朝もバイトをしてから学校に行くほどの有様。学校では成績を落としていなかったので、バイトがバレる事はなかったが、それでも友人と遊びに行くような時間などは到底作ることは出来なかった。
なので、学校に行けばクラスメイト等とは言葉を交わすが、特にそれ以上の何かも無かった。
高校は、教師達には県内トップの進学校である私立高校を熱心に勧められたが、無論私立校に通うだけの学費はまかないきれない事は判っていたので、教師の反対を押し切り、比較的「色々な意味で緩い」近くの公立高校を選択した。
要するにバイトに割く時間を減らしたくなかったのと、電車などを使って通学費用が発生するだけでも死活問題となるためである。
近所の高校ということもあって、中学からそのまま一緒に高校に行った奴も大勢いたが、やはりバイト漬けの日々もあってか、中学までの距離感が変わることも無く、また、高校から同じ学校になった奴も結構居たので、そういう連中とは特に関わり合いになることもなく、俺は勉強とバイトに精を出し続けていた。
しかしまあ、学校では特に目立たず、ややもすると授業中寝てばかりいる奴が、なぜか定期テストになると上位、それも1位か2位を取り続けていると、次第に学校の中で「アイツ、一体何者なんだ?」という空気が醸成されるまでにそれほどの時間を要さなかった。
最初の頃は、同じ中学だった連中が、俺について色々説明してくれていたようだが、話に聞くだけでは信じられない、きっと家では物凄い時間の勉強をしているに違いない、と妙な誤解をする連中が増え、何とか俺の成績を落とそうとする優等生グループに最初に目を付けられた。
「広田、お前勉強してないとかいって、実は家庭教師でも付けられて物凄い勉強してんじゃないの?」
「いや、俺は特にそんなことは・・・・」
「嘘付けよ。でなきゃあんな毎回毎回良い成績取れるわけねえじゃん!」
「本当に特に何もしてないんだ。悪いんだけど用事があるんで・・・。」
「そんなこといってこの後すぐ塾とか家庭教師なんだろ?俺らにもコツを教えてくれよ。」
バイトの時間も差し迫っていたので、早く切り上げたくてイライラしてきた。
「くどい奴だな。何もしてないって言ってるだろ。そもそもお前の成績が俺を上回れないのは、俺のせいじゃない。お前の努力の問題じゃないのか?」
この一言がいけなかった。
相手は顔を真っ赤にして、俺に殴りかかってきた。