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文学部石川助教授の静かな日々

初めての……

作者: 桐原草

『おでここっつんしている』『薫子』を描きor書きましょう。 #kawaiiCP http://shindanmaker.com/62729


昨日はキスの日というのを、今日になってから知りまして、遅ればせながら投稿です。

以前に投稿した「SCOTCH AND RAIN」の桐原クンと薫子ちゃんのイメージで書きました。


 手を普通につながないで、指と指を一本ずつ絡めてつながれた。私がびっくりして見上げると、彼はささやくように顔を近づけて教えてくれた。

「恋人つなぎっていうんや」

 ギュッと力を入れて握りしめられたとたん、心臓のドキドキが止まらなくなった。汗がじんわりにじんでくる。

 手にも汗をかいている気がする。気持ち悪いって思われないかな。嫌じゃないかな。そんなことを思って手を離そうともぞもぞしてみるけれど、彼の指が絡みついて離れない。

 彼から目が離せない。どうしよう。彼の瞳にも私が映っているのが見える。ゆらゆら揺れている。

「なあ、キスしてもええ?」

 心臓の辺りで大きな音がボンと鳴った気がした。きっと彼にも聞こえているだろう。こんなに近いのだもの。

 口を開きかけたそのとき、空いていた彼のもう一つの手が私を抱きしめ、唇が私の口をふさいだ。

 もうだめ。目を開けていられない。足もがくがく。初めて触れる彼の唇と舌はぽってりとして、やわやわと暖かくって、私はもうとろけてしまいそうだった。

「がまんできへんかった」

 彼の言葉が私の唇を柔らかくついばんでいる。私は立っているのがやっと。彼の腕がなかったら崩れてしまっていたかもしれない。

 彼の唇がすうっと離れていった。一瞬寂しい、と思ったけれど、彼の目は私をじっととらえていて離さない。そんな目で見られたら今の気持ちも見抜かれてしまうかも。

 やだ、もう恥ずかしくてたまらない。顔が熱くって汗臭いんじゃないだろうか。嫌われちゃったらどうしよう。

 不意に彼がふっと笑いをこぼして、おでこで私の額をコツンとした。

「顔が真っ赤だ」

 そう言われて余計に恥ずかしくなって、たまらなくて、下を向いてしまう。

 いつの間にか離されていた、つないでいたはずの彼の手が、私の体をぎゅうっと抱きしめた。

「大好きだ」

 耳元でささやかれて、私は今度こそ座り込んでしまった。

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