幸せの湖
掲載日:2026/04/07
特別な湖。湖水を飲むだけで幸せになれる。
でも、濁ってきてしまった。どうしよう。
村人たちは水を浄化しようとあらゆる手を尽くした。
だめだった。村人たちは不幸になった。
村に立ち寄った旅人は呟いた。
「湖の濁りは魔力の源が消えてしまったからだ」と。
なら、その源は何処に言ったのだろうか?
ある年老いた村人が決めつけた。
「村に馴染めず、森の外れに追い出した夫婦が盗んだんだ!」
「あいつらの息子を湖に返せば濁りは戻るはずだ!」と。
しかし、夫婦は息子を村に渡さない。
ならばと村長は夫婦を殺し、息子を奪った。
息子を奪えば水は浄化され、村人は幸せになれる。
そう信じて……。
優しい夫婦の声に代わり村人の怒号が響き渡る。
迫る村長の手、僕は逃げられない。
小柄なその肢体は宙を舞い、湖に沈む。
――かつて美しかった湖は濁りきった。




