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戦線貴族家三男は最弱最強の兵器 ー 兄二人が可怪しいです!助けて! ー  作者: たきわ優


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第31話 罪

登場人物のおさらい


アイク

ムカディエ家の奴隷の少年。黒髪で目は青い。ルキウスを信奉している。

 

イーサン

ムカディエ家の奴隷の少年。南部に協力し、映像と声を届ける魔道具を装着中。


ルキウス・ムカディエ

北部の中央にある北唯一の大国であるネッコ王国軍要職についてる貴族家次男。

 時は少し遡る。


 親友のイーサンが、ルキウス様の命により南の特区へ黄金人の方々の側仕えとして、同じ隔離場の奴隷数名と旅立った。


(羨ましい……)


 本当は、僕が行きたかった。

 ルキウス様のお役に立ちたかったが、ある事情で僕の願いは叶わなかった。

 その時の事を思い出す。


「ルキウス様、何故僕は側仕えとして認められないのですか?」

「アイク……辛い事だと思うが理由があるのだよ」

「理由ですか?」

「ああ。君の生い立ちは話したよね?」

「……ええ、それが理由ですか?」

「そうだ。君は、以前言ったように特別な立場だ。黄金人と南の血が混じっている。その特徴が体にあるね?」


 僕の髪の毛は南の特徴である黒色だ。

 だが、目の色は、畏れ多くもルキウス様達――黄金人と同じ碧い瞳をしている。


 初めてルキウス様にお会いした時にお話下さった。

 僕の母親は奴隷だが、父親は……どなたなのかは未だに教えて頂けていないが、黄金人でとても高貴な御方なのだと。

 聞いた時は、複雑だが、驚きも強くあった。

 僕が……いや、母さんもだけれど……隔離場で疎外感を感じていたのは、この瞳の色が原因だと物心付いた時には理解していたから。

 だって、僕だけが隔離場で瞳の色が違ったのだ。

 母さんに何度も聞いた。何で僕だけ目の色が違うの? と。

 母さんは、曖昧に微笑むだけで、決して理由は教えてくれなかった。

 隔離場で孤立しなかったのは、親友のイーサンやその家族が普通に接してくれたから。

 他の人達も、無視はしないし、虐められることはなかったけれど、どこか距離のある付き合いは、決してなくなることはなかった。


 だけど、ルキウス様の様々な教えのお陰で、僕は自信が持てるようになった。


 黄金人とは、女神様に祝福された尊い選ばれた種族。

 僕は、半分だがその血を引いており、それに、その血は、とても高貴な御方の物なのだと。

 南部との()()()歴史も教えてもらった。

 そうして理解した。

 南部の愚かさと、僕の血の半分を占める罪ある南の血の事を。


 だが、ルキウス様は、僕を“特別”だと仰った。

 更に、黄金人であるルキウス様は、寛大にも罪深き南の血を持つ僕等に慈悲を与えて下さると。


「この碧い目ですね」

「ああ。もしアイクが特区へ行ったらどう南は思うだろう? その瞳の色から、君の両親のどちらかが黄金人なのだとわかるだろう。まだ十二歳の君には酷なことだが、両親のどちらかが、黄金人に無理強いされて子供を作ったと思われ兼ねない」

「そんな……! 僕の母さんは聞いても答えてくれないけど……僕を授かって幸せだといつも言ってくれます! そんな誤解……なんて南の人達は愚かな考えしかしないんだ……ルキウス様……僕はこの血の半分にある罪が忌々しくて堪りませんっ」

「ああ……アイク。本当に君は特別な子だ。その血の罪をちゃんと理解しているなんて。だが、わかっただろう? 君が特区へ行けない理由は」

「……はい、ルキウス様」

「もう一つ、理由がある」

「もう一つ……ですか?」


 ルキウス様は、神妙な顔で頷かれた。


「神殿のお許しが正式にない事だ」


 この世界の誰しもが、女神様に祈りを捧げている。

 北部にも神殿は至る所にあるが、僕達奴隷は神殿に足を運ぶ事は許されていない。

 五歳で行う奉告の儀式で頂く女神様の祝福も、神殿でもない隔離場の荒屋で頂いた。


「今までアイクは、隔離場と私の屋敷だけしか行ったことがないだろう。それは、君を人目に晒すことが出来なかったからだ。これは、まだ君が特別な子だと理解を得ていない黄金人から護る為でもある。南の特区に行くことになれば、そういった黄金人から忌避される可能性が高い。黄金人の血が半分でも入っているのだと……君が特別な子だと正式に認められるには、神殿からのお許しが必要だ」

「どうしたら……どうしたらお許しが頂けるのでしょうか?」


 僕は、胸が張り裂けそうだった。

 罪深いこの南の血のせいで、ルキウス様のお役に立てないのが辛い。


「それは……神殿でその罪を償う裁きを受ける事だ」

「裁き……」

「そう。裁きは、心情的にも肉体的にもとても厳しいものだと云う。だが、罪に対し、真摯に受け止め、償うことで……君なら許しを得る事が出来るかも知れない。なぜなら君は――()()()()だから」


 ルキウス様の慈悲深い穏やかな表情に、僕は胸が一杯になった。


 きっとその裁きは、僕が想像するよりもずっとずっと厳しいものなのだろう。

 当然だ。

 だって、南の血は罪の証なのだから。

 なのに、ルキウス様は、僕なら出来ると信じてくれている。

 僕を“特別”だと言ってくれる。


 この世界で唯一、僕に価値を与え、僕の自信を取り戻し、僕の生きる道標となってくれた御方。


「ルキウス様っ……僕っ……僕、裁きを受け罪を償います! そして、必ず神殿のお許しを頂いてきます! ルキウス様のお役に立ちたいから! どんな厳しいものだって耐えてみせますからっ!!」


 涙を流し、盲目的に己を信じ切っている下賤な血を半分持つ愚かな少年に、ルキウスはとても慈悲深く声を掛けてやる。


「ああ、期待しているよ。アイク」

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