第22話 異常
「失礼します。リア様は大丈夫そうです。先程、おやすみになりました」
「そうか、リック。早速だが、今回のリアの件について話し合おう」
奉告の義で、予想外に眩い光を放ったリア様は、眠るように意識を失われた。その後もなかなか目を覚まされず、三時間後にお目覚めになり、お食事をされまた眠くなったようで、先程お休みになったところだ。
私も、奉告の儀では、列席させて頂いたが、ご家族と家臣の皆様方の更に後ろ。リア様とは離れた後方に使用人八門は並んでいた。
リア様の唯一の側近でありながら、リア様がお倒れになった事すら遅れて知る事になり、距離が離れていたとは言え、いの一番に駆け付けれなかった自分に不甲斐無さに悔しくなる。
ルーク様が一番に気付かれ、直ぐ様駆け付けて下さらなければ、リア様は床に体を打ち付けお怪我をされた可能性もあったのだ。
若様への感謝と、やはり自分の情けなさに悔しくなる。
家族用の談話室に、旦那様、奥様、マルス様、ルーク様と私、リック含めそれぞれの側近が集まっている。
「まず、リック。リアから何か話は聞けたか?」
旦那様や奥様よりも、一番側にいる私が、あの時何かあったか……何故眠るように意識を失ったかをリア様に聞きやすい、リア様が話しやすいだろうと、そのお役目を賜った。
「はい。リア様が仰るには、ぽかぽかと温かくなり、奥様に抱き締められた時のような幸せな気持ちになり、急に眠くなったそうです。ご自身が光を纏った事もご存知ではなかったようです」
「まぁ!私に?!」
笑顔で「ええ」と答えれば、奥様が嬉しそうに目を細められる。
「なるほど。温かくなったと言うのは、奉告の儀で女神様の祝福を受けた際に殆どの者が感じるから問題ないな。だが、その後の幸せな気持ちになる点と急激な眠気は、私の知る限り聞いたことがないな……。マルス、ルーク、お前達の時はどうだった?」
「私は温かくなったのみです」
「父上、俺も兄さんと同じです」
「なら、リアが特殊と言う事か……」
旦那様の質問に、次代様と若様がお答えになるが、このお二人よりも特殊な状況だったことに正直驚いた。
お二人程の方々なら、女神様から神託があったと言われても納得出来る程の御方達なのだから。
「あとは、あの光の柱か……」
「「……」」
全員が黙り込む。
光の柱とは、リア様が眩く光り輝いた時の出来事だ。
次代様も若様の時も、遠くからでもわかる程に光が放たれたが、それは、ご本人を中心とした半球状だった。
だが、今回のリア様の場合は、それらとは異なる。
神殿程の光の柱が、天に向け空を貫く程に立ったらしい。
私含め、この場に居る全員が神殿内にいたので、実際には確認は出来ていないのだが、領都民の殆どが目撃しており、まだ確認は取れてはいないが、規模的に燐領からも確認出来たのではないかと言う。
「リック、普段のリアの様子で何か気付いた事などはなかったか?小さな事でも何でもいいから教えて欲しい」
「そうですね……。特に特別な事はなく、最近は色々な事に疑問をお持ちで、お言葉も達者になり、よく質問をされる事が増えた程度でしょうか。ですが、年齢的にも可怪しな事とも言えませんし……普段と変わられた事はやはり特に無いかと思われます」
「そうか。マルスやルークが特異な事はまあ……許容範囲だが、リアがなぁ……普通の子なのになぁ……」
「父上、言い方に棘があります。まぁ、マリアの未来の夫として、常人以上の能力を持つ私と、自慢の弟が神の如く優秀で特異なのは認めますが、言い方に棘があるのは如何かと思いますがっ!」
「はぁ……まず、常人などと言う言葉を使うな! 二人共優秀なのはわかってはいるが、お前達、最近は軍規違反ばかりではないか! 特にマルス! つい先日も未成年のルークを無断で特区まで一人で送り込んだな! 兄弟揃って毎回毎回毎回っ! 奉告の儀があったから後回しにしたが、罰は免れんぞ、反省しろ! はぁ……今はリアの件だ。余計な話を挟むなよ、マルス」
「……わかりましたよ」
次代様側近のマーク以外の側近達が揃って目を逸らす。
御二人の暴走を毎回止められず、今回もかなりきつい説教を各門の長からそれぞれ受けたと聞いた。
将来リア様がお二人の暴走に巻き込まれないようにしなければと決意を新たにする。
「神殿から新しい情報はあったか?」
家令のジーク様が答える。
「残念ながら光の柱など知る限りない、と。大神殿の方に問い合わせ中とのことです。古文書などを調べて頂くとのことで、少々お時間がかかるかと……」
「そうか……。光の柱か……やはり、リアもマルスやルークのように魔力量が多いと言う事なのだろうな。だが、柱か……何故リアだけ異なるのか……」
「魔力量……柱……あ!」
「ん? あ、ああ、そうか!」
若様が何かに気付き、続いて次代様も同じ何かに気付いたようで、お二人で傾き合われる。
そんなお二人に旦那様が「どうした?」と問うと、次代様が「私から説明しましょう」と次のように語られた。
「まず、前提として……リアは異常です」




