第7話:『王都の陰謀と森への侵攻』
辺境の森。
朝の光が差し込む中、リリアーナはフェンリルとルナ、そして森の仲間たちと共に魔法と錬金術の練習をしていた。
「今日も訓練ね、みんな」
リリアーナは笑顔で手を掲げる。掌から小さな光が飛び出し、森の小動物たちに魔力を送る。
しかし、その平穏は長くは続かなかった。
「……森の入り口に……!」
遠くで、人間たちの足音が響く。鎧を着た兵士たちと魔法師の集団――王都からの侵入者だった。
「リリアーナ様、王都の兵士です!」
フェンリルの低く響く声に、森の生き物たちがざわめく。
「……来るのね」
リリアーナは小さく息を吐き、心を落ち着ける。
「でも、私たちには仲間がいる……森を守るんだから!」
森の中で戦闘態勢に入るリリアーナ。
フェンリルは前衛、ルナは飛行魔法と炎でサポート、小さな動物たちも補助魔法や奇襲で参加する。
「火よ!光よ!みんな、集中して!」
掌から飛び出す光と炎、森の精霊たちの力が魔力と一体化し、侵入者に向かって炸裂する。
兵士たちは驚き、後退しながら魔法を放つ。だが、リリアーナの周囲には結界と動物たちの援護があり、次々に攻撃を防ぎながら反撃することができた。
「私……本当に強くなったんだ……」
リリアーナは微笑む。森の仲間たちの存在が、自分の力を倍増させているのを感じる。
王都側では、王太子が玉座の間で苛立っていた。
「……リリアーナが森で兵士たちに打ち勝つとは……」
補佐官は冷や汗をかきながら報告する。
「陛下、森の力は想像以上です。従魔の存在も確認され、普通の軍では太刀打ちできません」
王太子は歯を食いしばり、拳を握る。
「……このままでは、令嬢に国の威信を奪われる……!」
森の戦いは激しさを増す。
ルナの炎が木々の間で光を描き、フェンリルが地面を蹴って兵士たちを吹き飛ばす。小さな子狼やキツネ、フクロウも全力で援護し、リリアーナは魔法の流れを巧みに制御する。
「集中……今よ!」
掌から巨大な光の魔法を放つリリアーナ。その光は森全体を包み込み、侵入者を押し返す。
兵士たちは恐怖で逃げ去り、森は再び静寂を取り戻した。
戦闘後、リリアーナは森の仲間たちを見渡す。子狼やキツネ、フクロウ、ルナ、そしてフェンリル――皆無事だった。
「よくやった……みんな」
リリアーナの瞳は喜びと安堵に輝く。
「森を守れた……私たちは本当に強くなった」
フェンリルは静かに頷き、ルナも炎の尾を振って喜ぶ。
そして、リリアーナは小さくつぶやいた。
「王太子……もう、私を侮れないわね。森と仲間たちがいる限り、私は負けない」
森の木々が夕日に染まり、銀色のフェンリルが森の入り口を見張る。
最強賢者としてのリリアーナとモフモフ従魔たち――彼女たちの絆は、森の平穏を守るために、ますます強固なものとなった。