表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
一章 Reunion 4月
5/137

第5話 「前世」と「今世」

「おはよっ!転校生。

 急がないと遅刻するぞっ!」

ふいに後ろから声がした。

俺が振り向くよりも先に

その声の主は颯爽と俺の横を走り抜けていった。

黒く長い髪が風になびいていた。

あの後姿は。

記憶の糸がすぐに彼女を手繰り寄せた。


奥川暁子おくがわ あきこ


クラスでも特に目立つ少女だった。

彼女はクラスで一番美しかった。

大きな目に小さなピンクの唇。

艶のある真っ黒なロングヘアーをかきあげる

彼女の仕草が子供ながらに妙に大人ぽく見えた。

彼女はクラスの女子の中で最も成熟していた。

それ故に早熟した一部の男子の視線を

一身に集めていた。


俺は走り去っていく奥川の

ミニスカートから覗く白い太ももに

目を奪われていた。


しばらくその場に立ち竦んでいた。

気が付けば

周りを歩いていた子供達の姿が

遥か視線の先に見えた。

駆けていく奥川の姿がその中に消えていった。

俺はふたたび歩き出した。


しばらくして、

遠くでチャイムの鳴る音が聞こえた。


以前の俺の人生を「前世」と、

そして。

今の俺の置かれた状況を「今世」と

呼ぶのであれば、

「前世」での俺は

教師からも一目置かれる優等生だった。

文武両道。

品行方正。

当然、無遅刻無欠席。

そんな俺が早くも「前世」に

泥を塗ることになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ