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ロングソードから始まる物語  作者: Nexus
自由都市 「オーランド」
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仲間とギルド登録

取り敢えず、僕は冒険者ギルドへ向かう。 

歩いていくと、冒険者ギルドと書かれた看板を見つけ中へ入っていく。


オーランドの冒険者ギルドは、街の喧騒とはまた違う、熱気と期待、そしてかすかな緊張感が入り混じった場所だった。壁には無数の依頼が貼られたクエストボード、力自慢らしい大男や、鋭い目つきの魔法使い、軽やかな装いの斥候など、様々な冒険者が行き交う。

僕はその雰囲気に飲まれそうになりながらも、壁に貼られた案内を頼りに登録カウンターへと足を進めた。


すると、カウンターの手前で、自分と同じくらいの年の男女二人組が、受付票のようなものを手に何やら話し込んでいるのが目に入った。二人とも真新しい旅装で、明らかに僕と同じ「新人」だ。男子の方はややがっしりした体格で片手剣を腰に下げ、女の子の方は背に細身の杖を携え、不安げな顔でお互いを見合わせていた。


「ねぇ、やっぱり、三人くらいはいた方が安心だよね? 最初の依頼とか、一人だと不安すぎるよ…」


「そうだね。募集って書いてみる?『新人ですが、仲間募集!』とか?」


「それでいいのかな?」


そんな会話がロンの耳にも届く。どうやら彼らも仲間を探しているらしい。ロンが彼らの横を通り過ぎ、カウンターに声をかけようとした、まさにその時だった。杖を持った女の子がロンに気づき、ぱっと顔を明るくして声をかけてきた。


「あ!あの、すみません!あなたも、もしかして冒険者登録に来たんですか?」


ロンは少し驚きつつ、緊張しながら頷いた。


「はい、そうです。」


男子の方もロンのロングソードに目を留める。


「おお、やっぱり。剣士さんかな? 俺たちも今、登録しようとしてるところで、ちょうど三人目の仲間を探してたんだ。どうかな? もし君が一人なら、一緒にパーティー組んで、登録からやってみない?」


ロンは一瞬ためらった。一人で行くつもりだったし、見知らぬ相手だ。でも、彼らの真剣ながらも親しみやすい雰囲気に、胸の奥の冒険心がくすぐられる。それに、一人よりは心強いだろう。ただ、街でカモにされそうになったばかりだ。

だが、一人でやるより仲間がいた方が楽かもしれない。


「…はい。もしよかったら、僕も仲間に入れてもらえませんか?」


ロンの言葉に、二人はぱっと笑顔になった。


「やった!助かるよ、ありがとう! 俺はライ。こっちはメイジ希望のソフィア。君は?」


「ロン=ソウルと言います。」


「ロンね!よろしく! 俺、ラインズっていうんだ。ライでいいよ。そんで、ソフィアは魔法使いを目指してるんだ。ロンは剣士さん?」


「はい、一応。」


簡単な自己紹介を終え、ライが意気込んだ。


「よし、決まりだ! ロン、ソフィア、俺たち三人でパーティーだ! パーティー名は…まあ、後で考えるとして、早速受付行こうぜ! システムとかよく分かんないし、皆で聞いた方が確実でしょ。パーティー登録のメリットとかも聞きたいし!」


三人は連れだって受付へ向かう。受付の女性は優しげな笑顔で迎えてくれた。


「冒険者登録ですね。皆さん、新人さんかな? おめでとうございます。どうぞこちらの受付票にご記入ください。あ、お三方、ご一緒に登録ですか? パーティーでの登録も可能ですよ。その場合、いくつか利点があります。」


彼女は数枚の書類を差し出し、登録の手順、必要なもの、そしてランク制度(FからSまであること、最初はFランクから始まること)、クエストの受け方・報告の仕方、報酬の分配方法、そしてパーティー登録のメリット(クエストの共同受注、連携による評価向上、トラブル時の互助義務など)について、分かりやすく説明を始めた。


ロンはライやソフィアと一緒に、真剣な顔で説明に耳を傾ける。一人だったら聞き漏らしていたかもしれないことも、三人でいると互いに確認できる。心細さが薄れ、新たな仲間を得たことへの期待感が膨らんでいくのを感じた。


「ご説明は以上です。ご不明な点はありますか?」


受付嬢の問いかけに、三人は顔を見合わせる。


「いえ、大丈夫です!」


「ありがとうございます!」


「そう言えば、パーティー名って決めないの?」


そう僕が問う。


「パーティー名か…じゃあ、ロンが決めろよ!」


「僕が?」


「うん、ロン君が決めてよ!」


ラインズとソフィアに名前の決定権が委ねられる。

ネーミングセンスには自信はないが、せっかくの真面目に考えるか。

そうだな…


「パーティー名は、『始まりの戦線(ファーストライン)』っていうのはどうかな?」


「悪くないな!」


「私もです!」


これが、ロン=ソウルと、ラインズ、ソフィア。三人の冒険パーティーの本当の始まりだった。彼らは手に登録票を持ち、次なる場所、クエストボードへと目を向けた。

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