自由都市オーランド
オーランドの門番がいる所までたどり着く。
「自由都市オーランドへようこそ!街に入るのに500コイン掛かりますが、大丈夫ですか?」
お金は用意していたので、500コインを支払う。
「払ってから一ヶ月間は再入場してもお金は掛からないよ。また、払った証明としてこの紐をつけてくれ。」
紐を貰い、腕に付けるとよく見ると入った日が書かれている。
「あと、この街の冒険者や住人になれば入場料は免除されるから、頭に入れておいてくれ。紐の管理のために名前を聞いているんだが、名前は?」
「ロン=ソウルと言います。」
「ロンか、いい名前だな!それでは中へ!」
オーランドの巨大な門をくぐった瞬間、僕は圧倒された。
村の何倍もある建物、行き交う人々の波、耳慣れない怒号と笑い声。空気そのものが、故郷とは違う、活気に満ちた、しかしどこか危うい匂いがした。
圧倒されつつも、まずは冒険者ギルドの場所を探そうと、人の流れに沿って歩き始める。ロングソードは背負い、ゴブリンの魔石と拾った棍棒が入った袋をしっかりと握る。
慣れない街並みに気を取られていると、不意に後ろから肩を強く叩かれた。
「おっと、すまねぇな、坊主。大丈夫か?」
見上げると、人の良さそうな笑顔の男が立っていたが、その目は笑っていない。同時に、腰の辺りに誰かの手が伸びてきた気配を感じる。
来る日も来る日も続けた素振りと、初めてながらも乗り越えたゴブリンとの戦いが、体が覚えている反応を引き出した。声をかけた男の腕を払い、同時に腰に伸びてきた手を剣の柄で弾く。
「へっ…? チッ、気づきやがったか。」
男は舌打ちをして、もう一人の仲間らしき人物と顔を見合わせる。まだ14歳の僕を、簡単にカモにできると思ったのだろう。
囲まれそうになるが、通行人の目が集まり始めたのを見て、男たちは慌てて人混みの中へ消えていった。
初めての街は、歓迎だけでなく、こういう危険も潜んでいるのだと肌で感じた、苦いけれど貴重な最初の洗礼だった。